風とこころ

風とこころ

3魔王、荷造り。

3魔王、荷造り。(何






『それでは、行きましょうか。』

『はあ。(チッ、面倒なことになったな)・・・その前にちょっといい?』

『はあ、何ですか?』

『持っていきたい荷物があるから、家に一回行ってもいい?』

『え;』

美少年は明らかに困った表情になった。一刻も速く私を連れていきたいのだろう。

『駄目?(駄目なのかよ。)』

『う~ん・・・。』

そんなにまで少年を駆り立てるものは何なのか、知りたい気もするがその前に聞いておくべきことがあったの思い出した。

『そういえば、名前はなんて言うの?(聞くの忘れてたし。)』

『あ、僕ですか。僕はゼロス・サリオスです。どうぞ、お見知りおきを。陛下。』

一礼する美少年。もとい、ゼロス・サリオス。・・・ん?ゼロス??

『ええっ;ほんとにゼロス!?(゜ O゜ ;)』

『え、まあ。そうですけど何か?』

『(世の中不思議なこともあるもんだ。私の好きなキャラに似ているなとは思っていたが、[似ているところ:オカッパ、ですます口調。])まさか、名前まで・・・。』

『?』

少年が細い首を傾けると、髪がさらさらと流れた。

『あっ、いや。なんでもない。(汗)』

『・・・そうですか。』

驚きの余り思っていることを口端ってしまったようだ。不覚。

『(・・・まあ、いいか。)それで、家に行ってもいいの?』

『あ、はい。まあ、確かにいきなり何も持たずにいくのは不安でしょうしね。』

『(おっしゃ!さすがゼロスという名を持つ奴だ。気前がいいね♪)ん、わかった。』

『・・・ですが。一応言っておきますけど、逃げようとかそういうのはやめてくださいね?』

『(チッ、そんなのわかってるよっ。)・・・ん。』



『ただいま~』

ガチャンとドアの閉まる音に続き、居間のテレビの音と弟の壁から覗く半身が出迎えてくれた。

母親は、リビングにある大きなテーブルに雑誌を載せ、椅子に座り読んでいたようだ。ついでにテレビも付けているという贅沢ぶり。

私の存在に気付くと笑いながらおかえりと言った。

――――――いつもの風景である。――――――

私は、二階に行き荷造りを始めた。

『(えーと、長袖、長ズボン、あと、何だっけ?ああ、半袖とブラと下着とピコピコハンマーと。制服持ってこうかな?あと、歯ブラシ(一応)とネックレス(いらんと思うが)と本・・・あ、くろちゃん(友達)に本、返さなきゃな。あとは・・・)』

『あの~、まだですかあ?』

長い荷造りにしびれを切らし、訪ねる美少年。もとい、私の好きなキャラと同じ名前のゼロス君。(おかっぱ。)

『(ああ、すまんなゼロス。待て。おすわり。お手。なんちゃって。/笑)もう、ちょっと。』

『もしかして、行くのを長引かせようとしてるんじゃないですよね。』

疑いの目で見るゼロス君をよそに、私は荷造りをしながら普通に言った。

『べつに?』

『・・・・・。』


本心からであったし、別にここに未練もない。あ、いや。○○に会えなくなるのは、残念かな・・・?(笑)


『ふ~。』

少し疲れたような溜め息を付いた私に、美少年はますます訳がわからないといった顔で尋ねてきた。

『なぜ、ですか。』

『(何が?)?』

『普通、こんなこと言われたら付いて行こうだなんて思わないでしょう?なぜです?』

『・・・嫌気が指したからだよ。』

ああ、そんなことか。というような顔で答えられたゼロスは、首を傾げた。

『?』

『この世界に・・・ね。』

ゼロスにそう言ってみせた、笑顔は冷たく凍れるようだった。

『・・・・・・。』

『ま、別にあなたが気にすることはないですよ。命令なんでしょ?(スレイヤーズのゼロス君と同じく。/笑)』

荷造りを続けながらゼロスに言う少女。

『・・はあ、そうですが。』

『・・・私が、どんな理由で決まった(選ばれた)のかは知らないけど、ちょうどいいかなと思ったからね。(つまり、ラッキーてこと。)』

『・・・・・どんな所へと連れていかれるか、わからないのにですか?』

少女は荷造りをする手を止めた。

『?』

・・・・恐くないか、という意味だろうか。恐くないといえば軽い嘘だが、恐怖より期待感のほうが強い。

『うん。まあ・・・。(つか、何でそんな事気にしてるんだよ。関係ないだろ。)』

『・・・そうですか。』

『(そうなのよん♪気にすんな。・・・よし!準備オッケー)ゼロス・・・さん。』

『あ、ゼロスでいいですよ。陛下。』

『う~ん。その陛下ってのは辞めれないのかな?』

『嫌ですか?』

『いや・・・というか何というか。(別にいいけど、何か呼ばれても気付かなさそうだな。)』

『では、何と呼べばいいんですか?』

『あ~、そういえば。まだ名前言ってませんでしたね。(忘れてた。)かんりにん りな[管理人 里菜]って言います。よろしく。(夜露死苦。/笑)』

笑いながら言った少女、りなに美少年ゼロスは聞いた。

『管理人様とお呼びすればいいですか?それとも、りな様?』

『・・・(どっちも、なんか嫌だ。ゼロス、ホテルマンみたいだし。「管理人様、どうぞ、こちらです。お荷物運びましょうか?」って言いそうだし。/爆)』

黙っていると、ゼロスは私が悩んでいるのだと思ったのか、そのことは聞かずにこう言った。

『お荷物お持ちしましょうか?』

『(来たー!!やっぱ、ゼロスはホテルマン決定!!/笑)・・・。』

『?』

私が無意識のうちに、にやけていたのかゼロスに怪しい人物を見るような目で見られた。(爆)

『何、にやけてるんですか?』

やっぱり。(笑)

『なんでもないよ。ゼロスさん(笑)それじゃあ、行きましょうか。』

『はい。』

もう、戻ってこないかも知れない長年使ってきた部屋をあとにし、一階にこそこそと降りて荷物をゼロスに渡して、最後の言葉かも知れないひとことを母親に言いに言った。

『お母さん、』

テレビを見ていた母親が振り返った。滅多にお母さんと言わないのを少し違和感を感じながら。(普段はさん付けで名前を呼ばれている。)

『りなちゃん・・・旅に出るわ!』

『はあ?( ̄口 ̄;)』

注意:りなが、自分で自分のことをりなちゃんと言ったのは気にせずに。(爆)

『旅ってどこに?』

『結構、遠いとこ。』

『なんで?』

『なんとなく。』

母親は訳がわからないという顔である。

『それで、いつ帰ってくるかわからないけど、家出じゃないから捜さんといてね。』

『えっ?!本当に行くの!?』

『うん。○○によろしくって言っておいて。んじゃ。』

少女は居間を出た。
『ちょ、待ちなさい!りな!?』

玄関のところで荷物をもってその呼び掛けを待っていたかのように、少女は言った。

『なに?』

『本当に行くの?』

『うん。』

『学校は?』

『一ヶ月以内に帰らなかったら、ずっと休みにしといて。(そのうち留年になると思うし)んで、二年になる前に帰ってこれなかったら、まあ、それなりに。(笑)』

『荷物は?』

『いるもん(いらないものもあるけど)は全部詰め込んだ。』

『お金は?』

その時、少女はちらりと横にいるゼロスを見た。さすがに魔王になってくれと言ってきたやつか。母親には見えないらしい。

ゼロスは首を降り、お金はいらないというしぐさをした。しかしながら、お金はいらないというのも怪しまれるだろう。一応それなりに持っている、とだけ言っておいた。

『そんなんで大丈夫なの?』

『あー、たぶん大丈夫だわ。それじゃ、もう、いくね。』

『え、ちょっ・・・』

少女は扉を開き、始まりの第一歩を刻んだ。

そしたら、玄関の扉の向こうはなが~い通路で。つーか、闇で。光輝く人生の第一歩どころか、泥沼一生負け組人生へゴーゴ、ゴー!てな感じで今現在進行中なわけ。

んで少し入ったところで、ゼロスに手繋いでくださいって言われて、

『(ぎゃー!!マジ無理。めっちゃ無理!伊達に生まれてこのかた彼氏いない暦16年(進行中)じゃなくってよ!(何故かおネエ言葉。/爆)つーか、マジで恥ずかしいんですけどっ!!(//△//))』

とか思ってるうちに手繋がれちゃったし。(爆)

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つづく。








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