みらくるん

みらくるん

大嫌いだった父親


 でもね、ほんとは大好きだったんだ
 晩年の父親はやさしかった。
 中小企業の社長で、いつも社員ひとりひとりのことを、心配してた。
 自分の家を、良くすることよりも社員の家が建つことを望んでた。
 だから、うちはぼろやしき。ぜんぜんかまわない。
 だから、父の車は、軽四のぼろ車。3万円だってほんき自慢してた。
 だから、遊園地とかぜんぜん連れて行ってくれんかった。
 だから、わたしのランドセル!けっちって安物
     表面がつるつるじゃなくってざらざら
 だから、いつもおにいちゃんのおさがり

 でもね、映画大好きだった。小さい頃から、映画館ひっぱりまわされてた。
     小学生が、「ドクトル ジバコ」なんかわからん
     小学生が、「風とともに去りぬ」なんて理解できん
     小学生が、「禁じられた遊び」なんて、ミッシェルがかわいい
          っておもうくらいだよ。

 いろんなこと、押し付けられた この本良い本だから読め=!!!とか
     「海流」新田次郎
     「メナムの残照」トム ヤンティー
     「パイプのけむり」    などなど・・・わすれた。

 ほんとは彼はロマンティスト。
 ほんとは彼はさみしがりやの弱虫
 ほんとは彼は人にとっても優しい
 ほんとは彼はわたしを大事に思ってくれてた。


 いつのまにかわたしは映画好き。古い映画大好き!イングリット・バーグマン
                ハンフリ。ボガード
                マレーネ・デェートリッヒなどなど
 いつのまにかわたしは本が大好き

 実はぜーんぶ、父の影響   

 ときには、わたしの夢のなかにでてきてもいいよ。  


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