ガードマンのつづる日常

ガードマンのつづる日常

2005/1/20 大寒より



横浜駅・東口 国道1号線 分離帯にある共同溝入り口警備の時に

1)地下街で うろつきながら 暖をとる

                  お昼休みは プレホームレス


2)タマちゃんが 来た事もある 新田間川(あらたまがわ)

                  国一が通る ゴールデン・ポート・ブリッジ(金港橋)


3)スカイ・ビル バスターミナル ここにあり

                  そごーの隣に 成田空港


4)1000円の 盛り合わせなり シュウマイが

                  一度は 食べなきゃ 崎陽軒本店


5)行列は 美味しいお店の 証明か

                  少ないだけさ テーブルの数


6)ラーメンと カレーライスに トンカツと

                  いつダイエットするの 回転寿司


7)風ぬける 国道1号 日がさせば

                  暖かくなる 中央分離帯


8)タクシーの 客待ちシートで タバコ吸う

                  けわしい顔の 負け犬予備軍


9)新星堂 だれのアルバム 買おうかな

                  カエラかみゆき 百恵にマリア


10)丸善で 語学テキスト 手にとって

                  その分厚さに そっと棚にもどす


11)いつもなら 三台は通る この時間

                  大きな音の 救急車両


12)遠景に みなとみらい見え 空の雲

                  夕陽に 映えて 赤いろ染まる


1・21

13)一日を 思い巡らし 熟慮する

                  日記代わりの 三十一文字


14)寒いねと 声を一言 かけただけ

                  心暖か 出会いそのとき


15)マフラーの 模様はドクロ 趣味があう

                  笑顔の彼女は ロックンローラー


16)可愛いね 子供にかける その言葉

                  私にも言って ママになっても


17)東風吹かば においおこせよ 桜咲け

                  湯島の絵馬は 合格祈願


18)駅のベンチ 缶コーヒーを 飲み干して

                  ノートを開き カエラ詞(うた)聴く


1・22

19)明け六つの 鐘があいさつ 空みれば

                  明き縁どり 日の出の気配


20)昼休み 句をひねり出す お遊びは

                  悪態がでる ストレス解消


21)親方と 携帯で相談 職人さん

                  段取り悪く 帰るしかない


22)良い天気 富士山を見に 一廻り

                  桜の季節 待ちどうしい


1・23

23)日曜日 そうじの時間 九時を待つ

                  いてつく寒さ 誰も出てこず


24)正直に 心をみつめ 文字にする

                  飾ることば こころ動かず


25)同人誌 通信コピー コンビニで

                  伝言手書き アナグロ楽し


26)封筒に 切手を貼って 計算する

                  なるほど安い ネット通信


27)シンスケが あんたもかいな ほっとする

                  韓流スター ヨン様ニュース


28)マネージャー 叩かれるのも 仕事なの

                  一発幾らか 弁護士同行


29)暮れ六つの 鐘が聞こえる 日曜日

                  昼寝ぐっすり 句もまた浮かぶ
1・24

30)職長は 方向音痴らしい 現場まで

                   何時着くのやら はじめての街


31)道端で モデルルームは 何処と聞き

                   来た道刺して信号の横


32)誘導は ベテランみたい 職長は

                   テキパキさばく 交差点の中


33)あれこれと 意見言わずに よかったよ

                   場数ものいう 現場の仕事


34)お仕事が 昼過ぎおわり 喫茶店

                   句を書く前に コーヒーゼリー


35)亡き友と 議論交えた 喫茶店

                   生き長らえて 書く三十一文字


36)膝治療 痛みがとれても 違和感が

                   あともう一息が 何時まで続く


37)検索で 図書館行かずに 資料確認

                   自分の日記が データにこわい


1・25

38)兆民が 龍馬のつかい 嬉々として

                   十九の長崎 タバコ買い行く


1・26

39)バイク便 カップラーメンで お昼かな

                   十五時四十分 コンビニ前


40)思い出が 走馬灯のよう 駆け抜ける

                   雪の神楽坂 東五軒町


41)どうしてか 古い町名 残ったね

                   神楽坂界隈 新宿区内


42)ライバルだ 電話の工事 出版界

                   ネットは栄え 印刷滅ぶ


43)重い紙 どの会社にも フォーク・リフト

                   ネット社会は 光ファイバー


1・27

44)バイク便 ゆげカップメン 美味しそう

                   おそいお昼は コンビニ前


45)ヘビさんが 多くなったと 苦情でる

                   山切り拓く 宅地開発


46)夜な夜なに ヘビの家族が 引っ越した

                   6メーター道路 横断歩道


47)朝の9時 ガコガコガアガ 何しゃべる

                   カラス十二羽 営業会議


48)竹林 ここもマンション 予定地で

                   タケノコ取りも 今年が最後


49)空気澄み 冷たい風も 心地よし

                   日差しは春を 告げる勢い


50)熊笹の 下には落ち葉 うず高く

                   次の世代に 養分を残す


51)一掻きで 4トンすくう ユンボの手

                   10トンダンプも 二掻きと半


52)紅白に 染め分けられた 腕廻す

                   タワー・クレーンは 現場の主役


53)つる草に 巻きつかれたる 木々林

                   根こそぎ倒す ブルの馬力で


54)急変す 寒気と暖気の せめぎ合い

                   季節の変わり目 一月早い


55)足悪い 黒猫通る 太りすぎ

                   減量したまえ 食べ過ぎ注意


56)缶コーヒー 器械相手に 問いかける

                   選ぶ楽しさ 飲んでガッテン


57)十字架に カラスが一羽 カーカーと

                   仲間を呼ぶか 夕暮れの里


58)読んで直ぐ 売りに行くなら 貸本と

                   同じ事だと 気づくブック・オフ


59)無期限の 貸し出しをする ブック・オフ

                   書庫だと思う カード作って

60)曙橋 何年ぶりかの 来訪か

                  ドトール探し あちらこちらと


61)大通り 真ん中占拠 作業帯

                  電話工事だ マンホール開け


62)三叉路に ロータリーつくる 手際よく

                  車の流れ 止めることなく


63)おまけつき 仕事があるよ 定時まで

                  車で移動 東京見物


64)最優先 救急車に 道あける

                  ありがとうの声 マイクが響く


65)商店街 変化したのは 名前だけ

                  雰囲気レトロ 昔なつかし


66)工事中 都内幹線 あちこちで

                  やたらに目立つ 警備員の数


1・30

67)川柳は 俳句と同じ 五七五

                  狂歌だ狂歌 三十一文字


68)サイトみて 間違い気づく 恥ずかしい

                  川柳俳句 狂歌に短歌


69)極寒の 用法はハズレ 日差しよく

                  昼の散歩は 足取り軽く


70)香をたく 煙は部屋に 広がって

                  家人の苦情 タバコと同じ


1・31

71)昼休み 交替でとる 作業帯

                  日差し暖か 風つめたし


72)ゴービンと 町田名物 数あれど

                  米軍夜間 飛行訓練


73)黙示録 イラクに散った カメラマン

                  走馬春花 笑顔を残す


2・1

74)歴史説く 疫病神だ 義経は

                  和尚の毒舌 時空を超える


75)寒気団 日差しが勝る 暖かさ

                  春の訪れ 暦通り


76)夏のよう 雲浮かびたる 青空に

                  光線受けた 飛行機一機


77)寒気団 カラスも飛ばず ひきこもり

                  上空通過 輸送機二機


2・2

78)涼しいね 若い監督 言い放つ

                  小雪ちらつく ゲートの前で


79)残業か 生コン足りず 追加待ち

                  監督腕組み 空は夕焼け


80)外車かな うしろの表示 カローラだ

                  売れるはずだよ トヨタの車


81)恵方巻き 立春に食べ 残り福

                  冷凍保存 考新メニュー


2・4 立春

82)立春に 庭木剪定 美しく

                  土壁(つちかべ)にかかる 表札を見る


83)鳩の群 天敵のカラス 退治され

                  優雅に暮らす 公園の昼


84)立つ春は 春の始まり 春は何処

                  日差しの中に 弾むこころに


85)立春は 朝の香りか 夜明け前

                  庭先に咲く すいせんの花


86)旧正が まだ来ないのに 暮れのうち

                  オニを惑わす 春立ちぬ


87)春うれし 新しき年 立ち上がる

                  何を誓うか 弾むこころに


88)冬至より 一年の計 考えて

                  練りすぎてまだ 言葉にならず


89)正月は 待てば良いのに 追い越して

                  春を告げるか どうして急ぐ


90)春立ちぬ 雨水啓蟄 春分けて

                  清明穀雨 夏立てるまで


2・5

91)太陽が 顔赤らめる 地平線

                  電車から見る 日吉の日の出


92)日吉とは 日の出の里か 昔より

                  回峰の行者 走りたる丘


93)散歩する その青年は 20年

                  アメリカにいた 浦島太郎


94)玉手箱 あけないつもり その決意

                  訳を聞かずに なぜか納得


2・7

95)現場移動 朝のラッシュ 乗り継いで

                  ドア際に立つ 技術忘れず


96)冬木立つ つぼみ膨らむ 枝ぶりは

                  探幽描く 襖絵のよう


97)盆栽か 紅梅が庭に 咲く家は

                  サザエさん住む 磯野家のよう

2005・11・18

番外1)捨てゼリフ 拾い集めて 我が想い

                    君に贈ろう ジグソーパズル


番外2)冬の日に 別れを知らず あいさつは

                    明日も会えると おやすみなさい


番外3)街道に 昔の姿を 映し出す

                    人のこころに 木々わたる風


12・12

98)街宣車 ビルの谷間に こだまして

                    聞き取り不能 韓国訛り


99)久しぶり お堀端から 見えるビル

                    外資系列 看板目立つ


12・18

100)紙運ぶ トラックの下 電話線

                    アナログの敵 デジタル走る


101)大型車 右折カーブに 大曲

                    標識横を ミリも違わず


102)歩行者を 待ての合図に 左折車は

                    先を急ぐか 無視するタクシー


103)小田原の 青き海見る 波白く

                    微かに写る 大島の影


104)朝日さす 神社への道 文学碑

                    尾崎一雄が 虫と戯れ


105)ミカン山に 大きな貯水 タンク2つ

                    地下トンネルで 相模原まで


106)富士山に 追っかけられた 御殿場線

                    東海道で にらめっこする


107)鴨宮 平岡邸まで 近いかな

                    仕事で下りる 伊東行き列車


108)旅気分 仕事で来ている 里山に

                    ブルーベリー林 下草はハーブ


109)里山に ふみわけて読む 文庫本

                    文士いとなむ 本郷冨士ホテル


110)後から 早足の音 振り向かず

                    道を開けます 走る人行く


111)畑には 大根の葉が 生い茂り

                    まいたけ予約 農家の庭先


112)立て札が なければ気付かぬ 水路横

                    里山の道 落ち葉の絨毯


113)森林浴 解説する友 既に亡く

                    20代の君は 笑顔で語る


12・29

114)秋空に 鳥もつつかぬ 渋柿か

                    たわわに実る 二階屋を越え


115)環七は 車が主役 大渋滞

                    世田谷線も 信号で待つ


116)キサラギは 二月のはずが 霜月で

                    衣の追加 デニムのシャツ


117)はじめたり 五七の歳に いにしえの

                    ひとに習いて 歌を詠み合う


118)ひとが皆 われよりバカに みえる時

                    友の描いた 絵妻に贈る


119)朝夕に 時を告げます 鐘の音

                    谷を渡り来て 窓越しに聞く


120)クリスマス 元は冬至の 祭りとか

                    日の出の前に 通勤急ぐ


121)仮住まい 道行く人に お地蔵様

                    微笑かける 夕暮れの里

122)うる覚え 般若心経 口にする

                    地蔵仏が 姿勢を正す


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