c - Rakuten Inc
100万ポイント山分け!1日5回検索で1ポイントもらえる
>>
人気記事ランキング
ブログを作成
楽天市場
000000
ホーム
|
日記
|
プロフィール
【フォローする】
【ログイン】
Rainbow Seeker
その2
その2
5時頃にはホテル・アストリアに戻っていたと思う。娘の鞄の置き忘れ事
件が一段落してスペイン行きの準備を始めた。大きな鞄は私のブルーの大き
なリュックだけにし、鍵付きのトランクはここに置いておくことにした。後
は妻のショルダーバッグと私のそれである。できるだけ荷物を減らした。夜
8時発の寝台車特急タルゴに乗ることになっていた。チケットは日本で飛行
機の場合とは異なる別の旅行社で購入しておいた。何があるか分らないので
余裕をみて早い目にホテルを出た。
メトロの電車がバスティーユ広場を過ぎ、そこで地上に上がりさらに高架
を走り、ケ・ドララペ駅に着いた時、セーヌ河の向こうにまさに赤い夕日が
沈もうとしているのが見えた。秋のパリの黄昏。心に染み入るようだ。美し
い。次がオーステリッツ駅だ。この駅はまた地下に潜っていて、下車後、指
示板にしたがってSNCF(国鉄)の中央付近に向かってどんどん進んだ。
うまく地上に上がり、ちょうど良いポイントに出た。もうあたりは暗かっ
た。夏と違って日が落ちてから暗くなるのが早い。中央カウンターで切符に
日付を記入してもらった。予約はしてあるのだが、ユーレイル・フレクシー
パスとかいってユーレイルパスに似た切符なので、スタートの日付記入がど
うしても必要なのである。それが普通乗車券にあたる。日本ですでに予約さ
れたコンパートメントの部屋番号が記入されている特急寝台車の切符は見せ
るだけでよかった。これでOK。ホームにいってみると「マドリッド行きタ
ルゴ・20時発」と掲示板が出ていたが、列車はまだホームに入っていなか
った。2人がトイレに行っている間、ベンチに座って駅の構内をじっくり観
察した。全体的にライトが暗い。そのためか、人々の表情が険しいように見
える。ひとりの日本の女性が同じ列車に乗るらしく、黒字に白字で書かれた
掲示板を写真に収めている。
私の持っているオーステリッツ駅のイメージは夏の夕暮れ、若者たちで溢
れたもっと賑やかで動きのあるものだった。たいていの若い旅行者は、18
時発のプエルタ・デル・ソル号の6人部屋の寝台車に乗るのである。みんな
思い思いの格好で何らかの荷物を持っていてごった返している。私が初めて
スペイン入りした1978年の6月の上旬のある夕方もそうであった...。
以前も言ったように、その頃の韓国とスペインとの間にはビザが必要であっ
た。スイス、イタリア、ギリシアもまた必要であった。当時スイスのビザだ
けは日本で前もって取っておいたが、スペイン、イタリア、ギリシアは取っ
ていなかった。
その2ヶ月程前にパリに到着した時はスペイン、イタリアへはすごく行き
たかったけれど、ビザを取得するのがたいへん面倒に思えたので諦めてい
た。(実は何ら厄介なことでないことは、妻と4年後再びスペインを訪れ、
マドリッドにあるポルトガルの領事館において、訪問目的、訪問期間等の項
目に随時記入するといった簡単な事務的手続きと、いくらかの費用でもって
ポルトガルの査証を取得できた時初めて分ったのだが)その気持ちが変わっ
たのは、北欧を単独で訪れ、そこで斉藤さんに出会ったときだった。彼とは
コペンハーゲンのユースホステルで会った。夕食後リビングルームへ行く
と、大きなテーブルを囲んで様々な国からやって来た若い男女と話し合って
いる日本の若者が4人いた。彼はその中の一人でやたら英語がうまくて私の
興味を引いた。
私もその自由な雰囲気の会話の中に入って英語で話した。一種の情報交
換の場で、例えばノルウェーのベルゲンは素晴らしい港町だとか、ストック
ホルムから少し上がったところのウプサラにあるユースは男女のペアが個室
を利用して宿泊できるとかいった内容だ。後で私たち5人でいろんな話をし
た。3人は東京出身なのに対し口髭をたくわえ陽によく焼けた斉藤氏は徳島
の人だった。サファリルックといった井出たちで万事すごく旅慣れていて動
きがしなやかだった。翌日私がこのユースに来る途中、たまたま一緒になl
ったオーストラリア出身のキャシーという女の子と男5人でコペンハーゲン
の駅のすぐ隣にあるティボリ公園を明るい北欧の日差しの中散策した。
その時斉藤氏と2人でゆっくり話す機会があり、その中で私がこういった
理由で「あなたがいいというスペイン、イタリアへ行きたいのだが行けな
い」と言うと、彼曰く「私が初めてヨーロッパを訪問した頃もあなたの場合
と同様、日本のパスポートも追加国記入が必要だったが、自分で勝手に記載
したりしてずいぶん悪いことをして入国したものだよ」という話を聞いて、
俄然元気が湧いてきて「よーし俺も行くぞ」という気になった。公文書をい
じくるという違法行為はしないで、ダメでもともとだと思って、このままビ
ザなしで入国することにした。
さて話が長くなったが、もう少し続けると新たに使用するユーレイルパス
に日付を記入してもらおうと国鉄の窓口の女性に頼むとそれはしなくて良い
と言うので、おかしいなあと思いつつごったがえすプエルタ・デル・ソル号
に乗り込んだ。案の定列車が出発して間もなくチケットをチェックしに来た
とき、スペイン人の車掌に呼ばれて日付記入していないのは違法で罰金もの
だというので、それはおかしい、こうこうでこうだといきさつを怒りを込め
て説明すると「今回は許してやる。以後注意するように」と言われた。あの
窓口のフランスのおばちゃんが憎らしかった。これも私がパリで女性の窓口
に行かない裏付けの一つの実例なのである。
その後パスポルテを預かるから出せと先ほどと同じ車掌が言うので、驚い
て他の人がどうするのか見ると、みんな渡しているのでよかろうと思って渡
した。ビザがないことで呼び出されるのを覚悟して、3段ベッドの一番上で
ベージュの天井を間近に見ながら横たわっていた。熟睡できないまま、途中
乗っている列車が持ち上げられるように揺れるのを感じて目覚めた。時間は
真夜中で、後でわかったのだが、スペイン、ポルトガルは他のヨーロッパの
国々とは違って線路の軌道巾が広いのでスペイン入国の際に乗り換えるか、
又はプエルタ・デル・ソル号とかタルゴ号のように持ち上げて車幅を調節す
るのである。本によれば普通のヨーロッパ諸国の軌道幅が1435ミリに対
して、スペイン、ポルトガルのそれは1674ミリであるそうだ。
その一連の作業が終わったところで入国審査があった。要は問題のない客
にさきほど預けたパスポートを返してくれるのである。私は緊張して待って
いたが、何も言われずすっと返却してもらった。ほっとする反面何か拍子抜
けした。そして、やった~!マドリッドに行けると心の中で小躍りした。チ
ャレンジ精神を持って行動することの大切さを学んだ。やってみないと分ら
ない。もっとも不必要な体験はしないに限るが。フランスからイタリアに入
る時もサンレモかどこかだったと思うが、入国審査官が「ブオンジョルノ
ー!パスポルテ・ポールファボーレ」と、あ、これがイタリアやねんなと思
わずこちらもブオンジョルノと応えてしまうぐらいめっちゃ明るく挨拶しな
がらコンパートメントを開けた。
早朝で、同じコンパートメントに京都から新婚旅行にやってきたというカ
ップルがいて、他にアメリカ人一人、地元イタリア人一人、そして私が座っ
ていたが、彼は我々の方を見ると「ジャポネーゼ、ジャポネーゼ。ジャポネ
ーゼ 」と訊いたので、彼ら2人が「シ、シ」と応え、私も便乗して「シ」
と言った。すると彼は我々のパスポートを見もせず次の部屋へ行ってしまっ
た。ラッキー!このようにしてイタリアも入国してしまったのである。
妻と娘がトイレから戻ってまもなく、濃紺とクリーム色のツートンカラー
のTARGOが入ってきた。(以前マドリッド~パルセローナ間で乗ったの
は朱色とシルバーのツートンカラーだったが)なかなか堂々としている。さ
っそく中に乗り込む。その前に記念に妻が私と娘をタルゴをバックに一枚撮
る。私たちのコンパートメントは一番端に位置していた。室内は素晴らしく
綺麗でゴージャスだ。熱いお湯が出る洗面も付いている。やはり薄いクリー
ム色に濃紺が基調になっている。普段はソファーとして使用されている部分
で下のベッドを一つ作り、背中の部分に見事に填めこまれているベッドを倒
して上のベッドを作るようになっていた。素人が扱うには少し難しすぎる気
がした。ゆっくり動き出した。くつろいでいるとノックがあり、開けると夕
食のメニュが配られた。
今夜は食堂車で食べることにしていたので、メニューを研究した。メニュ
は2種類あって、一つはステーキがメインでもう一つはタラがメインであっ
た。安い方のタラ中心の方に決めた、どんな料理か楽しみだ。まもなく今度
は車掌が訪れチケットのチェックをした。かなりお腹の出た、この職業を最
高の名誉に思っていることが物の言い方や表情に満ち溢れている。スペイン
で最もよく見かける典型的中年男性だった。太い声の早口のスペイン語を聞
くと、エスパーニャの領域に入ったと実感し安心感と懐かしさが私たちを包
む。妻もスペイン大好き人間でスペインの食文化には多大な関心を寄せてい
る。娘にマドリッドを見せたい以上に私たち自身が最も長期滞在したマドリ
ッドを再訪することを渇望していた。妻は9年前最初にヨーロッパを訪れる
前、実に熱心にスペインのガイドブックをアンダーラインを引きながら熟読
した。そして、彼女の知識が旅行中大いに役立ったのである。
そろそろ食堂車へ食べに行こうとした頃、娘が眠いと言い出して困った。
食堂車に入ってみると満席だった。実にてきぱきとした動きをするウェイタ
ーがやってきて、ここに座ってくれと目と手で示した所にはすでにコーケイ
ジャン(白人)のカップルが向かい合って食事を始めていた。白いクロスが
敷かれた4人掛けのテーブルに私たちも向かい合って腰掛けた。妻は娘を胸
に抱きながら、比較的若い白人の女性と並び、私はあごひげのある茶色っぽ
いブレザーを着た、明らかに彼女より一回りは年上の中年男性の隣に一声か
けて座った。何かサラダが出た後、メインのタラと芽キャベツとジャガイモ
にガーリックを強烈に効かせた炒め物でおいしかった。後にコーヒーが出
た。
食事をしながら隣の男性と話した。私から英語で話しかけた。彼らはドイ
ツ人で、彼はフランクフルトの大学で教えている教授で、彼女も同じ職場の
人とのこと。夫婦ではなさそうだ。3週間の休暇をとってゆっくりスペイン
を回るつもりとのこと。私は自己紹介をし、「今回は残念ながら2日しか滞
在できないが、以前は長期に渡ってスペイン国内を旅行したことがあるの
で、よろしければ私のお薦めの町をお教えしましょうか」と言った。彼らの
肯定的な返事に応えて、グラナダやマルベージャやサンティアゴ・デ・コン
ポステーラといった町の名を挙げながら、スペインの魅力の広さと奥深さを
力説した。私の話が終わった後、彼は私たちがいつも個人で旅行しているの
かと尋ねた。そうだと応えると、彼の知っている日本人は必ずグループで行
動しているのだと言った。彼女もそうだと同意した。彼女が今回のスペイン
旅行を計画したとのことで、スペインについて彼よりも詳しかった。また英
語も上手だった。
娘は起こしても起きなかったので、妻は抱きながらの食事を強いられ、お
まけに彼らに話しかけられる場面もあったりで落ち着いて食べられないよう
だった。ウェイターが僕の隣のドイツ人男性の皿を下げようとした時、彼が
腕を回して皿を抱きかかえるようにして、まだ食べるというジェスチャーを
し、それに対して、ウェイターが差し出した手を私の目の前で躊躇しながら
出したり引いたりしたのには笑ってしまった。ラテン系美男子の彼のウェイ
ターとしてのふるまいは一寸の狂いもなく、少しユーモラスで、見ていて実
に爽やかだった。食後、右横の2人掛けに座っていた老人がなにやら私に話
しかけてきた。彼の向かいに座っている孫息子が片言の英語で通訳するには
「あんたはそんなにこのスペインが好きか。それは良いことだ。わしはあん
たが気に入った。わしの住んでるセゴビアも良い所だよ。ところであんたは
どこから来たのか?」
最後の質問は予測していた。ほんとうにこれはスペインでは特に老人によ
く訊かれる質問だ。「ハポン」と答えると、なるほどと至極納得していた。
どういったタイプのアジア人が中国人、韓国人、日本人、あるいはフィリピ
ン人であるのか研究し類推し、言い当てるのがもはや趣味になっているのだ
ろう。コーヒーを飲み干し、彼らに「じゃーまた」と声をかけて席を離れ
た。彼らはまだワインを飲んでいた。
コンパートメントに戻るとベッドメイキングがきちっとなされていた。そ
してまもなく娘が目覚め、お腹が空いたという。幸いその日買っておいたパ
ンとサラミとオレンジ、それにアグア(水)等があったので、その場は切り
抜けられた。歯を磨いて私は上の、そして妻と娘は下のベッドに寝た。それ
にしてもガーリックが無茶苦茶効いていた。寝る前にトイレへ行って戻る
時、さっきの教授にまたでくわした。お互いニコっとしながら「Good
night」と言って別れた。各ベッドの上には小型ランプもちゃんと付い
ているし、身長180センチの私が十分足が伸ばせるほど広く、至れり尽く
せりだ。鍵を再度チェックして横たわった。定期的に起こる列車のガタンゴ
トンという音と揺れが心地良いが、だんだんエスパーニャに近づいていくと
思うと、興奮で寝付けない。この機会にさきほど後で話すと言っていたタベ
ルナについての思い出話をしよう。
次のページ
へ
ジャンル別一覧
出産・子育て
ファッション
美容・コスメ
健康・ダイエット
生活・インテリア
料理・食べ物
ドリンク・お酒
ペット
趣味・ゲーム
映画・TV
音楽
読書・コミック
旅行・海外情報
園芸
スポーツ
アウトドア・釣り
車・バイク
パソコン・家電
そのほか
すべてのジャンル
人気のクチコミテーマ
風水について
人生の好転が止まらない7サイクルの…
(2024-12-03 00:00:14)
今日のお勧め
今日のおすすめ
(2024-12-03 12:30:39)
収納・家具・インテリア情報
「障子紙」「障子のり」[大掃除 関…
(2024-12-01 22:14:22)
© Rakuten Group, Inc.
X
共有
Facebook
Twitter
Google +
LinkedIn
Email
Create
a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧
|
PC版を閲覧
人気ブログランキングへ
無料自動相互リンク
にほんブログ村 女磨き
LOHAS風なアイテム・グッズ
みんなが注目のトレンド情報とは・・・?
So-netトレンドブログ
Livedoor Blog a
Livedoor Blog b
Livedoor Blog c
JUGEMブログ
Excitブログ
Seesaaブログ
Seesaaブログ
Googleブログ
なにこれオシャレ?トレンドアイテム情報
みんなの通販市場
無料のオファーでコツコツ稼ぐ方法
無料オファーのアフィリエイトで稼げるASP
評判のトレンドアイテム情報
Hsc
人気ブログランキングへ
その他
Share by: