c - Rakuten Inc
100万ポイント山分け!1日5回検索で1ポイントもらえる
>>
人気記事ランキング
ブログを作成
楽天市場
139122
HOME
|
DIARY
|
PROFILE
【フォローする】
【ログイン】
丸ゴリ婦人の新婚劇場
そして恋愛成就
裕と会うまでの1週間は、長いようですごく早かった。
まだ月曜日、まだ水曜日・・と思ううちに、あっというまに金曜日はきた。
明日、明日だ。仕事が終わったら、また会える。
当然ながら、会えるまでの1週間は毎日メールをしていた。
時間を惜しむように、私は仕事中もパソコンからメールを送った。
土方仕事の裕は、ちょっとした合間を見計らっては返事をくれた。
「いま休憩中!」「さっきカエルみつけた!」「残業や~」
そんな意味のないメールが、丸ゴリはいちいち嬉しくて
仕事中もメッセンジャーがメールの着信を知らせると、自然とにやけた。
ある日、「また、今度海とか行こうな!」というメールが届いた。
海?「また」ってどういうこと??と思って
「メールの送る相手間違ったんじゃない??」と返信したことがあった。
私は、きっと他にもメールする相手くらいいるだろうと思って言ったのだけど
これはあまり良い印象の返事じゃなかったと、後でわかることになる。
裕はとにかくお酒やビールといったアルコールが大好きだ。
初対面で飲みをしたのも影響したのか、
その後、私たちは会うたびに居酒屋へ行くようになる。
2度目の今回も、例にもれず裕は仕事後の一杯を楽しみにしていた。
「今度会う日に飲む場所、おれが探しておくから♪」
そんなメールが届いた。
今になって思えば、もしかして楽しみだったのは
「私と会うこと」ではなくて「飲みに行くこと」だったのかなぁなんて考えたりする。
だけどその当時は、嬉しそうな顔を見れば自分も嬉しくてたまらなくなり、
楽しそうな顔を見ればそれだけで、幸せみたいな気分に浸っていたのだった。
当日、仕事が終わった私は急いで準備をすると、駅へ向かった。
この頃はまだ車で遠出する勇気がなくて、どこへ行くにももっぱら電車だった。
裕の街にとまる電車は、乗り継がないとない。
大きな市街地まで迎えに来て貰って、その駅で待ち合わせになった。
私は、1秒でも早く会いたくて新幹線に乗って行った。
(今思えば、結構贅沢なことをしていたんだなぁ・・)
片道、約5000円。お金はちっとも惜しくなかった。
お金で、裕と過ごす時間が買えると思えば自然と新幹線を選んでいた。
車なら3時間近く係る道のりが、40分で到着。
「着いたよ」と連絡すると、裕から電話が入った。
「もしもしー いまどのへん?」
「いま、改札でて東口の方に向かって歩いてるよー」
「わかったー じゃあ車停めたらそっち向かってみるわ」
大きな駅は、連絡通路も長い。
夜の9時を回った窓の外は、街の明かりと
道路を走る車の明かりで、闇夜にぼんやり青を濁したように見える。
通路に並ぶ窓ガラスは鏡みたいになって、歩いてる自分の姿を写していた。
・・やっぱり、スカートとか女らしいカッコしてくればよかったかなぁ。。
さむさに鼻をすすりながらせかせかと歩いた。
キレイな人、かわいい人、学生・・・すれ違うたびに、
自分の地元じゃないという小さな緊張が落ち着かなかった。
窓から視線を前に戻すと、むこうから歩きながら手を振ってる裕がいた。
妙に、ホッとしたような気分になったのを覚えている。
自然と笑顔になって「おつかれさま!」と私は駆け寄った。
裕はのそのそ歩きながら「お疲れさんー。電車やったっけ?」
「うん、新幹線!ちょっと贅沢した・・笑」
歩きながら、ポケットに入ってる裕の手がちょっと憎らしく見えた。
また、つなぎたかったのになぁ。
それから裕が予約したという居酒屋さんに行くことになった。
でも、本人も行ったことがナイ場所らしくて、
方向音痴の2人は1時間もその店を探してウロウロとさまよった。
居酒屋にも3回ほど「どのあたりですか・・?」と電話をかけた。
駅前の信号を左にまっすぐ、コンビニのななめ前ですよ、という説明通りに
歩いてみるが、どうしても見つからない。
冬の夜は冷え込んで、吐く息は白く濁る。
鼻や耳が寒さにじんじんと赤くなりそうな中、銀行の角を曲がったところで
「ん。」と裕はポケットに入れていた左手を出した。
私も手が冷え切っていて、歩きながらずっとポケットに入れていた。
差し出された裕の手を握ると、自分の手よりもちょっとだけ温かかった。
しもやけになりそうな寒さのなか、でも手を繋いだまま歩いた。
さんざん探したあげく、ガソリンスタンドの兄ちゃんに聞いたら
曲がるところを間違えていたことが判明。
ようやく居酒屋を見つけた頃には、予約の時間から1時間も過ぎていて
さすがに恥ずかしいやら申し訳ないやらといった気持ちで入店した。
向かい合わせで座って、また前回みたいに
裕はビール、私は酎ハイを頼んで、カンパイした。
ジョッキを持つ裕の小指に、あの指輪があった。
「それ、着けてくれてるんだ!」
小指の指輪は、酸化して真っ黒になっていた。
ロジウム加工していないシルバーは、使うほどに汚れる。
「うん。けどな、ずっと着けてたらなんか真っ黒になった・・笑」
「銀は酸化するからさ。磨けばまたきれいになるよ」
「うん、歯磨き粉で磨くといいって教わったやん、
だからやってみたんだけど・・傷ついたらイヤやから、ちょっとでやめといた」
傷なんて。
手作りの時点で傷だらけの指輪なのに。
大事にしてくれてるのが、歯痒くなってしまった。
裕はちょっと変わってる人だった。オカシイとかいうわけじゃないけど、
私だったら何とも思わないことに、すごく興味を持ったりする人でした。
ビールを飲み終わった裕は、お品書きを見ながら
「コエン・・ザイム、キューじゅう・・・ってなんや?」
「コエンザイムキューテンて読むんだよ!そんなメニュー載ってるの?」
「これ、コエンザイムキューテン入りって書いてある。
すいませーん、これ下さい。」
聞きなれない単語に興味を示したらしく、早速注文。
白桃ハイのコエンザイムQ10入り、というメニュー。
運んできたホールスタッフの人に、すかさず質問攻撃。
「コエンザイムキューテンてなんですか?これ飲むとどうなるんですか?」
「えっと、女性の肌とかに・・」と言いながら、
私のほうへ視線を送りヘルプを求めるスタッフさん・・
「肌とかに、いいんですよね!」「そうですよね、プルプルになるんですよね!」
私はスタッフさんに調子を合わせて助け舟!
「へー そうなんや。じゃあおれ肌がプルプルになってまうなぁ・・
あ、でも結構いけるでコレ。コエンザイム美味いやん♪」
あごにちょびっと生やした髭を擦りながら、裕はへらへら笑っていた。
そうして2時間くらい飲んでから、またふらふらと宿を探し歩くのだった。
今思い起こすと、毎回ビジネスホテルに泊まっていたのは
お金がもったいないことをしていた。
駅の近くで飲むことが多かったせいもあるけど。
飲む前だったら、それこそラブホテルの方が安上がりだったけど
なんとなく、そういった場所で宿泊しようという流れにならなかった。
私も裕も、そういった場所を提案することはこの先にも1度もなかった。
駅裏の、ビジネスホテルが並ぶ通り。寒空の下を歩いて、少し酔い醒まし。
適当にここにしよか、と決め手「部屋空いてますかー」と入る。
前回は2人だとツインしかなかったけど今回はセミダブル、ダブルがある。
一番安いから、ということでセミダブルの部屋にしたけど
安いから、よりも同じベッドで一緒に眠れることしか私は考えてなかった。
鍵を渡され、小さなエレベーターに乗り込み、部屋の階まで昇る。
グウン・・・と動き出すエレベーターの中、
ドアの前に立つ裕の後頭部あたりをぼんやり眺める。
狭い室内に入ると、上着を壁のハンガーに掛けて私はベッドに座った。
裕はまた「飲み物買ってくるー」と部屋を出て行こうとしたので
「また飲むの?もう止めにしなよ。」と呆れながら声を掛けた。
ドアの向こうで「もう酒じゃないから大丈夫!」と言う声が聞こえた。
ふと、独りになる瞬間。私、何をしてるんだろうな・・という思いが浮かぶ。
キチンと付き合ってるわけじゃないのに。
私は裕の彼女なわけじゃないのに。
これでいいのかな。でも、私が裕に好意があるのは確かだし。
これでいいのかな。いいんだよな、きっと今は。
ガチャ。とドアが開いて、紅茶の赤い缶を片手に部屋に入ると
「紅茶やから、安心し!」と裕はニカっと笑った。
プシッと缶を開けて、ぐいっと飲んでから
「ふー」と息を吐いて、私の隣に座った。
ちょっと沈黙。それとなく私は尋ねる。
「明日、どうする?」
「せやなー・・晴れたらどっか行ってみよか。」
「うん!」
「て、どこ行く?」紅茶の缶を、小さなサイドテーブルに置いた。
「うーん。。。どっか散歩しよか。」
「おう。ええよ。」
また沈黙。
隣に座っている裕との距離は、20センチくらい。
酔った振りして肩に寄りかかるとか、できたらな。上手く甘えられたらな。
なんてことを私はコソコソ考えていたけど、
横目でチラっとのぞいた裕の顔は、思いつめたような表情に見えて
そんなことを考えている自分が、ひどく不純な人間に思えた。
「あのさ、・・ゴリが前に“メールの相手間違ったんじゃない?”って
聞いてきたことあったやん?あれ、ないから。本当に。」
それはもう、丸ゴリも忘れかけていた話題だった。
まさかその話が出ると思わなかったから、思い出すのに少し時間がかかった。
「え・・ああ、海行こうってメールね。
だって、1回も行ったことないのになぁって思ってさ。」
「行ったことないから、行こうなって言ったんだ。
別のヤツとかとは、そんなメールとか、してへんから。」
なんだろ・・なんだろ・・裕はどう答えて欲しいんだろう・・
落ち着いた口調で静かに喋る裕には、
さっきまで居酒屋で“コエンザイムキューテン”と言ってた陽気さはなかった。
もしかして、その時の返事で少し怒らせてしまったのかなと思った。
「・・そか、わかったよ、冷たい言い方してごめんね。」
「ん・・。」
張り詰めたような空気で、沈黙が続いた。
コツコツと鳴る時計の秒針の音と、通り過ぎる電車の音が聞こえる。
裕は残っている紅茶を少し飲んだ。
「・・あのさ・・・」
「うん?」
「…おれな、この前会ったときに、
“付き合うとか、もうちょい先にしよう”って言うたやん」
「・・うん、言ったね。」
「ごめん・・自分でそう言うたのに、やっぱりアカンねん。」
「?」
「・・電話すると会いたくなってまうし、
メールしてると、うわめっちゃ抱き締めたいとか思ってまうし
・・・なんか、もうアカン。おれゴリのこと、好きだ。」
「・・・・」
嬉しい 嬉しい うれしい 認められた。受け入れられた。
だけど私は言葉が出ない。ここでもまだ、見栄えのいい言葉を探していた。
「こういうこと、メールや電話で済ませたくなかったから
だから、今日どうしても直接会って言いたかった。」
「うん、…うん、ありがとう。すごく嬉しいです。
私も、裕のことは前会ったときからずっと毎日考えてたから。
好きっていうのも、伝えたかった。でも私も自分で
“焦らないよ”って言っちゃったからな・・って、思ってたんだ。」
「そか・・ありがとう。」
「こちらこそ!笑」
裕は緊張がほどけたように「ふぃー・・」っと息を吐き出すと、
「今日な、会う前からいつ言おう、いつ言おうって
このことばっかり考えててん!やっと言えてスッキリした!」と笑った。
いつもの調子の裕。いつもの掴めないような空気の裕。
私もなんだか安心して、「いや、でも嬉しかったよホント」と笑った。
私は嬉しくてニヤニヤしながら、寄りかかって裕の左肩に頭を乗せた。
裕のほっぺたが、頭にくっつくのがわかる。
「ゴリなにひとりで笑ってん!笑」
「裕だって笑ってるじゃんか!笑」
「おれはあれや、嬉しくて笑ってる!」
そのまま裕の腕が丸ゴリの背中に回って、ぎゅっとなる。
それにあわせて、心はキューっと締められるような感覚になった。
幸せは切ないことなのかもしれない。
幸せは儚いもので、いつも途切れながら現れるのかもしれない。
だからこんな風に、つなぎとめたくて誰かをギューと抱き締めるのかもなぁ
だからこんな風に、真似して心もキューっと締め付けてくるのかもなぁ。
「やっと、こういうこと堂々とできるな」
肩越しに、裕の声が届く。私も「そうだね」と笑う。
「たぶんなぁ、今すっごい好きやで。
おれ、好きになると他のこと何も見えなくなるからなぁ」
それが本心だろうと、冗談だろうと、一種の口説き文句であろうと、
関係なかった。そう言ってくれるなら、それが私にとっての事実だった。
抱き締めあっても、キスをしても、それ以上には進もうとしなかった。
正しくは、私が拒否していた。丸ゴリのまったいらな胸に裕が手を置いた時、
「だ、だめっスよ!」と手をどけた。恥ずかしかった。まったいらなのがorz
そしてこの頃の丸ゴリには、「マグワイア=純粋じゃない」的な思考があった。
裕と知合う前に追いかけていた殿方に、
マグワイア直後に去られたこということもあり
そういう関係を持つことに対して、マイナスイメージしか抱いていなかった。
全てが過ぎ去った今、振り返ると
それこそが裕が何も言わずに消えた理由かもしれないと、実感している。
あの頃は「マグワイアできなくたって、好きって気持ちを通じてよ」とか思った。
でも、今ならなんとなくわかる。
気持ちだけじゃ物足りなくなるんだ。気持ちが通じ合ってしまえば。
何か証明するモノが欲しい。カタチが欲しい。満たして欲しい。
その欲求の矛先が、ただ1人だとしたら、ひょっとして純愛なのかもしれないなぁ。
(と、今更全てが終わってしまったことを、たまに後悔しています。)
手をどけた私に「わかった・・じゃガマンする」と裕は笑ってくれてた。
その対応が、どれだけ優しいことなのか最近わかったよ。ごめん。
ベッドによこになると、裕はあっという間に寝息をたて始めた。
土方だもんな。。。疲れるよな。
「んガッ・・・」とたまにかくいびきを聞きながら、私も眠った。
ジャンル別一覧
出産・子育て
ファッション
美容・コスメ
健康・ダイエット
生活・インテリア
料理・食べ物
ドリンク・お酒
ペット
趣味・ゲーム
映画・TV
音楽
読書・コミック
旅行・海外情報
園芸
スポーツ
アウトドア・釣り
車・バイク
パソコン・家電
そのほか
すべてのジャンル
人気のクチコミテーマ
まち楽ブログ
榛名湖イルミネーションと花火✨【冬…
(2024-11-29 11:46:13)
みんなのレビュー
#PR【レポ】明日9:59までのクーポン…
(2024-12-01 22:30:09)
自分らしい生き方・お仕事
^-^◆ mail メール めーる mail
(2024-12-02 01:00:09)
© Rakuten Group, Inc.
X
共有
Facebook
Twitter
Google +
LinkedIn
Email
Create
a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧
|
PC版を閲覧
人気ブログランキングへ
無料自動相互リンク
にほんブログ村 女磨き
LOHAS風なアイテム・グッズ
みんなが注目のトレンド情報とは・・・?
So-netトレンドブログ
Livedoor Blog a
Livedoor Blog b
Livedoor Blog c
JUGEMブログ
Excitブログ
Seesaaブログ
Seesaaブログ
Googleブログ
なにこれオシャレ?トレンドアイテム情報
みんなの通販市場
無料のオファーでコツコツ稼ぐ方法
無料オファーのアフィリエイトで稼げるASP
評判のトレンドアイテム情報
Hsc
人気ブログランキングへ
その他
Share by: