抱きたかった

生まれていたら H16・春・新小6 だった

ある春の日 わたしは 逢いたかった子供と永遠の別れを告げた

そう 流産したのだ   もうすぐ5ヶ月目にはいる胎児だった

その子は男の子 『眞琴 まこと』と名前をつけた

精神的からの突然の破水

まだ 幼稚園にも行ってない2人の子の世話のため

わたしは体力的にも胎児を育てる事ができなかった



霊安室に眠る我が子逢いたさに

看護婦さんに必死の思いで 病室に棺を持って来てくれるようお願いした

『絶対に棺は飽けないで下さいよ!』

わたしがショック受けると思い 看護婦さんが気遣ってくれた

でも わたしは看護婦さんの言う事を無視し

小さな箱を開けてしまった

我が子の顔を一目だけでも見たかったのだ



冷たくなった小さな身体

目も鼻も耳も 指の1本1本 キレイに揃っていた

わたしはその小さく冷たい身体を手のひらにのせた

わたしの手のひらに眠っている眞琴は 旦那の寝顔にそっくりだった

わたしは泣いた 声にならないくらい泣いた 

どう 謝っていいのかわからず泣いた



眞琴の命日には 毎年かかさず 供養をしている   

今もかわらず 逢えなった兄弟たちも

お菓子と牛乳とそしておもちゃを持ちよって

眞琴に手を合わせている



眞琴を亡くし 数年たち 平穏な暮らしをしていた初夏

それは 長女の小学校の運動会代休の日だった

子供たちは 家のなかをジャングル状態にして

楽しげに遊んでいたのだ

今のうちにと わたしは 洗濯・食器洗いetc.と セッセと動きまわるなか

突然 長女が 『お父さんに似た赤ちゃんがいるよ!』と叫んで来たのだ

「お父さんに似た・・・??」

わたしはその言葉に直感した        眞琴だ!!!!!!

わたしには見えない眞琴の姿

長女は知るよしもない  眞琴の顔

眞琴がわたし達に逢いに来てくれた

そう 悟った時に 涙があふれ 

嬉しいのと 母の懺悔と 眞琴に逢いたいという気持ちが

一気にあふれだした

長女は親しげに 見えない眞琴に声をかけている

「何ココにいたの??」  「あら、、そっちは駄目よ」 などと・・・・




長女も知らない眞琴の顔

わたしも もう一度逢いたかった 

そして もう2度と 抱き寄せる事もできない胎児の身体

長女が知らせてくれた 我が子の訪れ

わたしは 眞琴に願う

もう一度生まれてきて

あなたの兄弟の子でもいい

いつか飼う ネコでも犬でもいい

わたしは きっと あなたの存在を見つけ出せるから

わたしのもとに 戻って来てと・・・・・



長女が見た あの 「お父さんに似た赤ちゃん」は

きっと 流産した眞琴だったと 今でも確信しているわたしであった


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