天空の龍

天空の龍

さよなら赤ちゃん


旦那様も仕事を休んで一緒にいてくれます。

午前中は診察があるので 処置は午前の診察が終った後ということになりました。
『準備が出来たら、呼びに行きますね』と看護婦さん。

そして・・・午後近くになり呼ばれました。
「いよいよか・・」
処置の前に、一本左肩に注射を打たれます。
そして処置台にあがり、麻酔・・。
カーテンの向こうではカチャカチャと手術に使う器具の音が聞こえます。
『数を数えていてくださいね~。1から順番に』
麻酔は初めてだった私は不安でしたが看護婦さんが麻酔を入れ始めたら
数を数え始めました。
「1・2・3・4・・・・」
そこまで数えると私の意識はなくなってしまいました。

深い深い海の底に自分はいました。
水面は上のほうにあるのに、何かに足をつかまれて上に行くことが
出来ません・・。
苦しくて苦しくて・・
「ごめんね・・ごめんね、赤ちゃん・・ごめんね、ごめん・・○○ちゃん(←旦那様)」
と ずっとうわ言のように言っていたそうです。
『○○・・○○!!ここにおるぞ』
その旦那様の声で目が覚め・・そして自分が泣いていたのに気が付きました。

あの海の底から戻ってくる感覚は10年経った今でも忘れらないものです・・。

そして少しでも早く自宅に帰りたかったので、動けるようになると
旦那様に家につれて帰ってもらいました。

10週に満たない期間でしたが確かに存在していた赤ちゃん。
人間の形までには、まだなっていなかっただろうけど、頑張って生きていた赤ちゃん。
先生からは
『稽留流産は染色体の異常などで、妊婦さんの10~15%位の人におこる。決してあなたのせいではないのだから、又落ち着いたら次の赤ちゃんを授かるよ』とのお話でした。

最初の子供が空に帰ったのは 9月の中旬のことでした。。


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