一里塚・・・




旅人たちが  疲れを癒し  一息つける様に  そこには大きな樹が


植えてある・・・・・。


冬でも葉が落ちない  常緑樹・・・・・・。





いつからだろう・・・・・・

随分と長い間  急斜面の坂道を  重い荷物を抱えて登っていた。。。

いつも笑って  ずっと笑っていたのに。。。。。

いつからだろう・・・・・・

笑顔が  消えてしまったのは。。。。。


全力で  ただひたすらに  必死で登り続けた。。。。。


『 後 少し。。。後 1歩。。。これを越えれば 

  なだらかな道が待ってる。。。。。』


抱えた荷物を  傷つけない様に  大事に守りながら・・・・・

ひたすら  振り返らずに  登り続けた。。。。。

そして、最期に  登り上がって待っていたのは   『壁』


見上げても。。。。果てしなく大き過ぎる        『壁』


その『壁』には  所どころに  石が埋め込まれていて

まるで  命綱なしで  その石を掴んで  這い上がれ・・・と

言ってるみたいに・・・・・・。


私は その石を掴み  全力で歯を食いしばり 這い上がってきた。。。。

時には ズリ落ちそうになって  片手で石を掴みながら。。。。。

手の皮が ずる剥けになって  血だらけになりながら・・・・・・

そう・・・血だらけになりながら・・・・・・・・・・・・・


必死に  這い上がってるのは  私だけ・・・・・・・・?


そう  悟った。。。。。



『壁』を  這い上がり切った所に待っていたのは・・・・・・



・・・・・・『裏切り』・・・・・・・・・・・・・


待っていた 『裏切り』の後ろには まだ 急斜面の坂道が続いていた。



「もう、勘弁して・・・。 もう、何も見えない。。。聞こえない。。。

 もう、歩けない。。。  これ以上  もう  力が出ない。。。。。」



・・・私は  最期の決断を  下した・・・・・




今まで  大切に守り 抱えてきた荷物を下ろし・・・・・

這い上がってきた  『壁』の上から  一緒に堕ちようと・・・・・・。



流れない涙を流しながら  身体の力を抜いて  私は足を前に出した。。




その先は  『奈落の底』 。。。。。。。





その時  後ろから  声が聴こえた。。。。。。


「 ここにおいで。  後 もう少しで(光)が待ってるよ。。。」


音楽のような  美しい声・・・・・・。




『もう、歩けない。。。登れない。。。。。

 全てが 失くなってしまった。。。終わってしまった。。。。

 愛も  真実も  魂も・・・・・

 努力して 築き上げて来たモノ  何もかも全てが・・・・・

 だから  もう、終わらせて。。。楽にさせて・・・・・・・』



「大丈夫。。。。何も 終わってなんかいない。。。。。。

 これからが  あなたの 『道』が 始まる時。。。。。

 だから もう少し頑張って  ここにおいで。。。。。。」




・・・・・・・・ 私は  考える ・・・・・・・・・・。

『壁』の上の  淵に佇みながら。。。。。。。。。。。。

もう少し  歩こうか。。。。。?

それとも  このまま堕ちようか。。。。。?


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



どれぐらいの  時間が 経ったろう。。。。。。


私は  最期の 『賭け』 に出た。。。。。。。



「もう少し  歩いてみよう。。。。それでもし、これ以上の裏切りが

 あるのなら・・・私は もう 歩かない。。。。。。。

 もう  何も 信じない。。。。愛さない。。。。。。」



急斜面の坂を  再び 歩き始めた。。。。。

1歩、1歩。。。。。。


顔を上げて  何気なく。。。ふと、 前を見た。。。。。。。



瞬間的に  目に飛び込んできたのは・・・・・・





      『 一里塚 』





あまりにも 突然に現れた   『 一里塚 』・・・・・・・。





様々な  目的と 目的地を持ち。。。。。

様々な  道を歩く。。。。。

様々な  旅人たちを受け入れる  『 一里塚 』。。。。。

疲れを癒し  語り合い  ひとときの安息を与える場所。。。。。。



時には  包み込むように 優しく。。。。。

時には  笑い転げるほど 楽しませ。。。。。

時には  激しく 力強く 心を安定させてくれる。。。。。

大きな樹の  安らぎの場所。。。。。。。。



・・・・・・・・・私は  迷う・・・・・・・・・・・・・・

この 『 一里塚 』に  座っていいのか・・・・・?

この 『 一里塚 』は  私を受け入れてくれるのか・・・・・?

一度  座ってしまったら、 もう 動けないんじゃないか・・・・・?


座りたい。。。。。座りたくない。。。。。

眠りたい。。。。。眠りたくない。。。。。

抱きつきたい。。。すがりつきたい。。。。

抱きつくモノか。。。。。すがるモノか。。。。。

負けるものか。。。。。逃げるものか。。。。。。




「人が  人を 必要とするのは  当然の事。。。。。

 人が  ワタシを必要とする限り ワタシは永遠に 在り続ける。。。。

 例え  極悪非道な人間であろうとも。。。。。

 人が  ワタシを必要とする限り ワタシは存在し続ける。。。。。。。

 だから 大丈夫。。。。。。

 あなたも  ここで 眠りなさい。。。。。。。

 ここで   一息 つきなさい。。。。。。。。

 今までの疲れを癒して  『次の世界』へ 旅立つまで

 ここで  ゆっくり休みなさい。。。。。。。

 様々な  旅人たちと  語り合い  笑い合い  励まし合い。。。。

 そして  『次の世界』へと 旅立ちなさい。。。。。。。

 もう、  あなたは  自由なのだから・・・・・・・

 心のままに。。。在りのままに。。。あなたの姿 そのままに。。。。」




数年ぶりの  心からの  安堵感。。。。。

数年ぶりの  心からの  笑顔。。。。。。

数年ぶりの  素直な   裸のままの心。。。。。




新しい世界へ 歩いていかなければならないのは  解ってる。。。。。

どんなにずっと ここに居たくても  必ず 出発の時は訪れる。。。。

名残り惜しくて  別れたくなくても。。。。。。

旅人たちは  それぞれの道に向かって  歩き出す。。。。。。

次に  又  再会する・・・その日を願い  約束して。。。。。。。

この 『 一里塚 』は  そんな人々を  見守り・癒し・支えて

見送ってきた。。。。。。。

様々な  出逢いと  別れを  繰り返し。。。繰り返し。。。。。。

様々な  再会と   別れを  繰り返し。。。繰り返し。。。。。。

何度も 何度も    受け入れて。。。。。。。。。。。。

何度も 何度も    旅立たせて。。。。。。。。。。。。

悠久に流れる   時間のように。。。。。。。。。。。。。

悠久に流れる   時間が終わるまで。。。。。。。。。。。



決して  変わることのない  真実の姿  そのままで・・・・・・・

いつまでも   いつまでも 。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。





・・・・・・・座ってみようか・・・・少しだけ・・・・・



          この  『 一里塚 』 に・・・・・・・・




・・・たぶん  『自分だけの 一里塚 』にして



        座り続けたいと  思うかも知れないけれど・・・・・・










2005・04・06











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