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――――私の予感は当たるんだよ
でも当たったところでどうなるの
私は無力なんだから
009・護衛任務と嫌な予感
「じぃぃぃぃぃぃぃぃぃちゃん」
「・・・・・・・・なんじゃ?」
チアキは火影をじぃーーと上目に見つめて其の名前を呼んだ。
其れは光景としてはとても愛らしく微笑ましかったが、里一の忍者火影にはチアキから発せられている無邪気とは到底言えない笑みに気付き顔を顰める。
「任務」
「は?」
チアキはさっきの表情とは一転、むすっとしたしかめっ面を見せると其れだけ呟いた。
火影も流石に何の事かと問い返す。
「任務・・・もっと面白いモノやらしてよ」
チアキは唇を尖らせる。
フイッと顔を背けるのは自分でも子供っぽいと思ったからだろうか。
「あのな・・・」
そんなチアキの様子に苦笑しながら火影は言う。
「忍者は里の為の者じゃ。里の住民の例え小さな願いでも叶えてやらなならんだろう?」
「それはそうだけど・・・」
もっともな正論だった。
「わかればよい。では任務に行って来い」
「・・・・・・・・りょーかい」
チアキはまだ納得いかないといった表情で火影の部屋を去った。
チアキが元の世界に戻れる兆はまだ全くと言って良いほどにない。
チアキも表面的には元気だが、チアキのことを深く知る者はまだこの里にはいなかった。
「チアキの前に居た世界にはチアキのことをよく知る奴がおったんじゃろうか・・・」
火影は見知らぬ者に意味のわからないヤキモチを妬いた事に自分で苦笑しながらもまだ殆どが謎に包まれた少女のを思うとそう呟かずにいられなかった。
+++
―――――ガサガサ
木の葉の揺れる音に混じり少年達が動く。
遠くからはそれを見守る男。
「目標との距離は?」
其の男が言う。
其れに答えるのは先程の少年達。
「やれ」
冷静に下すその命令と同時に皆は草陰から飛び出す。
「つっかまえたぁーーーっ!!!」
「にゃーーーーーーー!!」
聞こえたのは一人の少年の大声と猫の断末魔のような叫び。
「よし、迷子ペット“トラ”捕獲任務終了」
其の男―――――カカシがそう告げた。
迷子ペット“トラ”捕獲任務――それこそが今日のチアキ達、第七班の任務だった。
+++
そして今、トラとその飼い主であるマダムしじみとの感動の再会中である。
しかし其れは到底“感動”とは言えないような暑苦しい再会となった。
決して痩せているとは言えないマダムに抱きしめられるトラは窒息寸前で。
このまま逃がしとくほうが猫にとって良かったんじゃないかなどと思ってしまったチアキは自分で其れに叱咤する。
が、他の面々も似たり寄ったりの事を考えていたのでチアキは別に其れを責める必要はなかったのだ。
「オレってばもっとこうスゲェー任務がやりてーの!他のにしてェ!!!」
火影に次の任務を言い渡されたがナルトはそれを思いっきり拒否する。
自分と同じ事を言っているナルトにチアキはハハハと乾いた笑いを出した。
「バカヤローー!!」
それを見て火影の隣に座っていた男――イルカがナルトを叱る。
自分の以前受け持っていた生徒が火影に失態を晒すというのはやはり教師としては立場が無いのだろうか。
最もイルカにとってナルトには特に深い思い入れがあったようだが。
しかしそれでもイルカに口答えし任務を変えるよう要求するナルトに火影は任務についてを説明する。
そんなことを言ったところでナルトは全く訊いていなかったのだが。
「けどオレってばもう・・・!いつまでもじいちゃんが思ってるようなイタズラこぞうじゃねェんだぞ!!」
ナルトが口を尖らせて言ったその言葉に空気が少し柔らんだ―――とチアキは思う。
其れがなぜなのかは深く追求しなかったし、格別引っかかりもしなかったが、その空気はとても心地よく感じた。
「分かった」
其れはここにいるこの男にもそうだったのか―――火影も微笑を浮かべて言う。
ナルトを見て、それからチアキの方にも笑いかけた。
その苦笑混じりな笑みは泣き喚く子供を玩具であやす時のよう。
実際、似たようなところなのだが。
「お前がそこまで言うなら」
火影は言う。
皆は少し驚いた表情を作る。
ナルトでさえもそうだったのは自分で言ったとはいえ、その言い分が通るとは思っていなかったのだろう。
「Cランクの任務をやってもらう。・・・・・・ある人物の護衛任務だ」
護衛という格好良さげな響きに喜びを感じるのは自分だけではないはずだとチアキは思う。
他人の不幸を喜ぶようなこういう考えは不謹慎だとは思うが迷子ペット捕獲任務よりはよっぽど遣り甲斐がありそうだ。
そうして火影に紹介され入ってきた人物は―――――普通のおじさんだった。
大名様でもましてやお姫様でもない、酒を持って現れた其れはどこにでも居る、頑固じじいという称号が似合いそうな男だった。
「なんだァ?超ガキばっかじゃねーかよ!」
其の男は開口一番そう言った。
ここに来てからガキ扱いが多いなとチアキは思う。
以前は幾分も年上の者からも敬語を使われていた身だ。
それが心地よかったと言うわけではないが、やっぱり見ず知らずの者に子供扱いされるのは慣れない。
これから護衛される癖に飄々とした態度で思い切り偉そうな其の男―――タズナがチアキは少し気に食わなかった。
それに何より、その男からは嫌な感じを受けていた。
どこか不快感を与える其れは何かとチアキは考える。
そしてタズナが近寄ってきた際に臭った酒と煙草の臭いによるものだとチアキは其処で考えを打ちきった。
なんとなく其れとはまた別のようだったが考えてもわからないし、わかったところで何が変わるのかとも思ったのでそれ以上は深く考えないことにしたのだ。
その時チアキが其れに気付いていれば展開は変わったのかもしれない。
だがどちらがよかったかと言われるとそれは答えられない。
結局は運命なのだ。
変える事など出来ない。
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