―――――転校生がやってきた





003・shine




「今日、一年生のクラスに可愛らしい女の子が転校してこられたそうですよっ!」



ここは都立海原高校。


一人の少女が熱っぽく話している。


彼女の名前は本田透。


草摩家の呪いの事を知っていて草摩紫呉氏の元で一緒に暮らしている身だ。



「へぇ、そーなんだ」


「初耳ね・・・」


透の隣の椅子に腰掛けていた二人の少女達が其れに答える。


「魚ちゃんも花ちゃんも知らなかったんですね」


透は笑みを絶やさない。


「つーかオイ、お前知ってたか?」


「俺に振るなっっ!」


魚ちゃんこと魚谷ありさは後ろを振り返って其処にいたオレンジ色の髪をした少年に問う。


「そんなモン知るわけ・・・・・・・知ってる」


知るわけないと言いかけたがその少年は思い当たる節があるのか俯いて肯定した。


「夾くん、知ってらしたのですね」


透は夾と呼ばれた其の少年に視線を向けると微笑んだ。


「お前そういうのに興味あったんだ」


ありさは目を見開いて言う。


この少年は普段こういう事には疎いのだろう。


よほど驚いているのが目に見て取れた。


「ちっげぇよ!!アイツは――――」


「本家に住んでるからね」


「由希くんっ」


夾の背後からまた少年が現れる。


綺麗な瞳で整った顔立ちの彼は由希という名のようで。


「草摩の方なんですかっっ!?」


透は凄く驚いている。


「うん。といっても本当は草摩の人間じゃなくて、訳あって本家に居候してるだけなんだけど」


由希が説明する。


「は、はぁ・・・・と言う事は私のようなものなのでしょうか?」


透は困ったように眉を歪ませながら問う。


「そうだな・・少し違うんだけど似たようなものと思って良いかも」


由希は曖昧に返す。


「そうなんですか・・・・?」


透も如何返して良いのか分からずに曖昧にしか相槌を打てなかった。






+++




「でねでねっ、このコがマオなのーーーーっっ!!」



昼休み。



屋上に居るのは透・由希・夾・撥春・紅葉・そして真央だ。



「貴方が真央さんですねっ!宜しくお願いします」


透が笑みを向ける。


「こちらこそ宜しくお願いします」


真央も笑顔を返した。


「君がはとりの家に居候してる・・・?」


由希が聞く。


「ハイ。ついこないだからなんですけど、お世話になってます」


真央は笑顔のまま今度は由希の方へ視線を向ける。


「俺は草摩由希。よろしく」


其れに由希は王子スマイルで答えた。


「俺は・・草摩夾」


夾は視線を手もとの弁当に向けたままぶっきらぼうに言う。


「よろしく御願いします」


真央は律儀にお辞儀を返した。



「あのねあのねっ!本当に抱きついてもヘンシンしないのよーーっっ!」


紅葉がホラネと真央に抱きつく。


「本当だね・・・」


由希は驚いているようで。


「凄いでしょ・・・」


撥春が、何故君が自慢するのか、少し誇らしげに言う。


「凄いですっっ!!!」


透は驚く―――――――否、感動しているようで、瞳を潤ませていた。



「で、慊人はどう言ってんだよ?」


其の場の空気を冷たくする一言。


其れは夾の口から発せられた。


「あぁ・・・・ウン。何か様子を見るって・・・・はとりが言ってた・・・」


撥春が少し地面に視線を落としながら呟く。


「大丈夫なのっ!真央はボクが守るんだからっ!!」


そう言って紅葉は真央をもっと抱きしめた。


でも真央にはその紅葉のほうが震えている気がして。


抱きしめ返した。



「あっ・・・あのっ!真央さん、今日、紫呉さんのお宅に行ってみませんか??」


其の言葉の主は透だった。


「え?」


真央は其の意図が掴めずに聞き返す。


「いっいや、真央さんともう少しお話もしたいですし・・・由希くんも夾くんも良いですよね???」


透は指をあちらこちらに泳がせながら答えた。


其処には必死さが滲み出ていて。


「ああ・・・・うん。俺は良いけど・・・」


「勝手にしろ」


紫呉と透以外のその家の住人の返事を聞いて、真央はうーんと困った様に眉根を寄せて。


「じゃあ・・・・・お邪魔しようかな・・・?」


最終的な結論を出した。


真央の言葉に透はいつのまにか固くなっていた表情を崩す。



透がこの空気をなんとかしようと思って言ったのだろうか?


そう考えると申し訳無いと思う反面、真央の心の中には暖かい気持ちが流れ込んできて。


其れは他の皆にも同じだったらしい。


皆の顔には安堵の色―――笑みが浮かんでいた。



そして透の顔に浮かんでいる笑みと、その後ろから照りつける太陽が、心の底から眩しいと思った。











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