―――――――脆く壊れそうな日常
                 嘘で固めたくだらない平凡





000・悲憤慷慨-ヒフンコウガイ-







『物価急上昇』


『●●家の御令嬢行方不明』


『連続妖怪殺人犯逃走中』



くだんねぇ


柄にも無く新聞広げてたらそんな活字が飛びこんできやがった。


少し首を傾けると紅い髪が視界に入ってきて


慣れた仕草で耳に掛ける。



何もかもくだらなく思えた。


巷を騒がす事件を見ても


俺なんかには関係ない。



そう思うと手元の紙の束がどうしようもなく邪魔なモノに思えて。



投げ捨てようとしたら何処ぞの緑の青年が瞼に浮かんだ。



『物をその辺に捨てては行けませんよ?』



笑顔で脅迫する顔と声がそれは鮮明に。



「チッ」


小さく舌を鳴らして実際にはいない者に反抗の意を示しても。


其れは自分の耳にだけ届いて消えて行く。


そんな自分がどうしようもなくカッコ悪くて。



俺は目の前に広がる活字の波に顔を埋めた。




















「お尋ね者ですか。皆さん大変ですねぇ」



心にも無い事を呟いて見る。



あちら此方の看板には見知らぬ者の顔と謝礼金が書かれた紙切れ。


はっきり言って目障りなだけだ。


そんな事を思っても決して顔には出さず。



自分もある意味お尋ね者だったのかなぁ


なんて考えて。


辛い過去が蘇る。



それでも笑みは崩れない。


自分で其れに気付いて


さすがだなぁ


なんて思ってみたり。



「クク」



小さく声に出して笑って見た。


苦笑にも似た色の笑みは自嘲に聞こえたから。


口を閉ざす。



笑みが消える。



もう一度口端を上げてみたら。


笑みが作れて。




こんな自分と世界が嫌になった。


全部が嘘っぱちに見えたから。









© Rakuten Group, Inc.
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: