2006.01.06
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脱サラして農業を始め14年。夫婦2人で年間3000時間以下の仕事、週休は4日相当。自然と日々触れ合い、質の良い作物を育てるゆとりある農業――こんなライフスタイルを実現したブドウ農家が綾町にある。

 県道を外れ、同町南俣の台地に上ると、ビニールハウスに「葡萄(ぶどう)園スギヤマ」の看板が見えてくる。約70アールの園で桃、ナシなども栽培。夏にはブドウと桃の観光農園を開く。

 経営者の杉山経昌さん(66)は言う。「綾は『月収1万円で生活できる町』を目指せばいい」。リビングコスト=「生きるための経費」が少なくても豊かに暮らせる町。この考え方が「労働3000時間、週休4日」の背景にある。

 「休みの4日間で自分たちが食べるものや『豊かさ』をつくる。21世紀のユートピアですよ。そんな町には黙っていても人や企業がやって来ます」

 都内にある外資系半導体メーカーの営業統括本部長だった。昼は営業、夜は接待。日付が変わって帰宅すると、国内外から届いた大量のEメールが待っていた。「空の雲を見上げる暇もなく」、気が付くと49歳になっていた。「人生を取り戻したい。自然とともに暮らす農業をしよう」。千葉県で育ち、趣味で農作業をしたことはあった。仕事を辞め、一家で綾に移住した。

 就農前に詳細な計画を立てた。年間労働時間は夫婦で3500時間。年収650万円、経費150万円、生活費200万円なら、手元に300万円余る――など。

 「最初はうまくいきません。でも徹底して数値化したから、何が足りないか、どこを改善すればいいかすぐ分かったんです」。8年目で目標を達成した。

 「現代の農業は経営40%、マーケティング40%、物作り20%」と言い切る。作物ごとの面積、種や肥料、資材などの経費、作業方法を数値化してパソコンに入力。シミュレーションをして毎年の計画を立てる。収穫、出荷時期を他の農家とずらすなどして付加価値を高める。「農業の世界は宝の山。合理化できる部分がたくさんある」

 「食」は、生きる上で欠くことができない。それなのに、海外の産物に押されて国内品の価格は下がり、生ゴミが社会問題になる。「日本では食べものの価値が低すぎるが、やり方次第で高められる。農家はもっと豊かになっていい」と言う。

 時には“百姓”仲間と夕食や茶を囲み、農業について語り合って夜が更ける。就農から14年。杉山さんの生活には「食」と生きる豊かさがあふれている。


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Last updated  2006.01.07 01:19:56
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