rintojinの徒然なるままに

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詩・・・秋の花火(10月5日の日記より)


◆秋の花火◆

楽しみにしていたのに、本当に今日は楽しみにしていたのに。

何気ないことで最低な気持ちになった。

涙がぽろぽろぽろぽろ、後から後からぽろぽろぽろぽろ。

泣くな泣くな、ギュッと閉じるとじんわーりじんわり。

そしてまたぽろぽろぽろぽろ。

黙って家を飛び出した。

何も持たず、両手をポケットの中に突っ込んで。

外では季節外れの秋の花火大会。

夜空に花火の大輪が咲き乱れ、道沿いには、

人、人、人。車、車、車。

ひたすらに歩いた。花火を背にして、上を向く人を横目で見て

背筋を伸ばし、顎を引き、じっと前を見据えて。

どこかに行きたかったわけでもなく

何かをしたかったわけでもなく、ただひたすらに。

背に花火の音が響いた。激しいが虚ろに。

虚ろの中に哀しさを秘めているかのように、

季節外れの花火は響いた。

誰もいない路地を見つけて歩いた。

前面の家の窓に、お寺の御影石の石柱に、

後ろの花火が響いて映る。影の花火だ。

影の花火、それしか目にしたくない。

気がつくと誰もいないぽっかりと空いた空間に。

花火でけぶった、ダークグレーの空のスクリーンがあった。

そこで初めて正面から花火を見つめた。

手はポケットに、でも直立不動で。

長いような短いような、刹那の時を過ごした。

はじめて、そのときはじめて口の片端が軽く上がった。






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