転校生



ぼくが転校してきたとき
教室のなかで
とりわけきみは輝いてみえた

ぼくがたどたどしい挨拶をするのを
きみは笑顔でうけとめてくれたね

すぐに人の輪に溶け込んだぼくを
きみは遠くからながめていたね

悪友と乱暴な口をきいたり
女子をからかったりするのに
きみは驚いてはいたが
実はぼくのほんとうの心根を見抜いていたんじゃないかな

廊下ですれ違うとき
きみの手にぼくの手をかるくぶつけても
いやがるでもなく
騒ぐでもなく

次のときも
手をひっこめることなく
なにげないそぶりだったね

そして次のときは
きみの手をにぎろうとするぼくを
受け入れてくれて
ほほえんでくれたね
ひんやりするその手を
ぼくの手でそっと暖めてあげたくなったんだ

ただ、それだけで幸せだった♪
お互いに

学校からの帰り道で
偶然きみと出会って
気がついたら
手をつないでいっしょに歩いていたね

ぼくはきみに合わせてすこしゆっくり歩こうとすると
きみはぼくに合わせてすこし早足になったね

ただ、それだけで幸せだった♪
お互いに

いつもきみは何かぼくに言いたげだったね
けど、ぼくはきみと会って、きみと手をつないで、きみとおしゃべりするだけで幸せだったから
それ以上のことが言い出せなかった

そして、ある日きみは引っ越していって、
別の中学に転校生として行ってしまった

こんどはきみが転校生になったんだね
きみの笑顔、きみの髪の香り、きみの口ぐせ
きみとのことはいまも
思い出ではなく目の前の現実のように
よみがえるんだ

いつかまた
会えるような気がしてならないよ
だって、きみとぼくは
似たものどおしだから
2人とも転校生じゃないか
だって、きみとぼくは
・・・・・・


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