心の中に浮かぶもの(寓話)

談話その十

抜粋:ルーミー語録(寓話)

誰か一人の人間を識りたいと思ったら、
その人の喋る言葉を観察するがいい。

言葉によってその人がわかる。

仮に相手がペテン師で、
その上、人の本性は言葉でばれると誰かに言い聞かせられ、
言葉を慎み、できるだけ本性を見破られないように
よくよく注意していても(それでもなんとかわかってしまうものだ)

このことを示す、面白い話を語って聞かせよう。



Camel-girl

子供が砂漠で母親にこう言った。
「真っ暗闇な夜、鬼みたいな黒い恐ろしいやつが出てくるんだ。
こわくてたまらないよ」と。

母親は言った。
「何も怖い事なんかありません。
今度そいつが出てきたら、勇気を出してつかみかかっておやり。
幻だったということがわかるから」

「でも、かあさん」
と子供が言った。
「あの黒い奴の母さんが、そいつにも同じような指図をしていたら、
どうしたらいいんだ。
例えば、一言も口をきくんじゃありませんよ、
本性を見透かされてしまうからね、なんて忠告していたとしたら、
どうやってあいつの本性を見抜くことができるんだ」

母親は言った。
「そいつの前でいつまでも黙っていておやり。
向こうに自分をそっくり委せて、じっと我慢していると、
そのうちきっとそいつの口からふと一言洩れる。
いや、そいつが何も言わなければ、お前の口からひとりでに一言洩れる。
さもなければ、お前の心の中に何か言葉か考えがひょいと浮かんでくる。
その言葉や考えを手がかりにして、向こうの心底が見透かせるのだよ。
なぜかと言えば、
そんな時のお前はすっかりそいつの気に巻き込まれているから、
お前の心の中に浮かんでくるものは、
みんなそいつの内面がお前の心に映ってできた姿なんだから」と。


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