放浪の達人ブログ

時代言葉

   【時代言葉】

俺はアクセサリー店を閉めてからは自宅でネット販売をしている。
毎晩2階の仕事場にあるパソコンで取り引きのやり取りをしたり
商品写真を撮ったり商品説明文を打ち込んだりしているのだが、
ネットというのは昼間はそんなに売れず、夜になると売れ始める。
そんなんだから昼間家にいても仕事にならないからもったいない。
かかって来る電話は電気代が安くなりますだとか光回線だとかばかり。
だから昼間は某企業のカメラマンとして1日2000枚以上の写真を撮っている。

その企業では年配の人が多いので昔懐かしい言葉をよく耳にする。
たとえば金曜日には「今日はハナキンかあ」と言う。
ハナキン、つまり「花の金曜日」という意味だ。
俺はこんな言葉は今までに一度も使ったことはない。
それから椅子に座る時に「よいしょ」とか無意識に言うことがあるが、
「よっこいしょういち」と言うのを聞いた時にはさすがに失笑した。

俺の義父は約80歳だが、以前電車で伊勢神宮に行った時に
「国鉄の汽車でお伊勢さんに行ってきた」と言った。
国鉄?今はJRだろ!汽車?いやいや今は電車だろ!

汽車というのはどうも昭和のフォークソングによく使われる。
もうその頃は当然電車の時代なのに、なぜか汽車である。
おそらく語呂的に3文字の「キシャ」の方が良かったのだろうか、
或いは哀愁を誘うためにあえて汽車という歌詞にしたのかは不明である。
余談だが1930年代のアメリカのブルース(通はブルーズと言う)には
「汽車」「教会」「赤」という歌詞が含まれているのが正統だと聞いたことがある。

昭和の歌には「俺・僕」の代わりに「おいら」を使う曲が多くあるが
実社会において自分のことを「おいら」と言うヤツは今まで会ったことがない。
あの「おいら」というのは一体なんなのだろう?

現在の学校において未だに学生が普通に使っている言葉で、
しかしちょっと待てよというのに「下駄箱」と「筆入れ」がある。
下駄?今はみんな靴だろ!筆?いやいやボールペンやシャープペンだろ!
まあ最近は「靴入れ」とか「靴のロッカー」とか「ペンケース」と言うようだが。

今や電話のダイヤルとか受話器とかも使わなくなっているスマホ時代だ。
言葉は知っているけど使わない、そういう言葉はどんどん衰退していくんだろうな。
先日何気なく使っているのに「なぜだ!?」という名称に出くわした。
アメリカザリガニである。皆さん「え?普通にそう呼ぶけど」と思うだろ?
でもアレ、よく見てみろよ。ザリガニじゃなく何で「ザリエビ」じゃないんだ?
アレどう見てもエビだろ!カニじゃねえだろ。
いやはや言葉というのはなかなか面白い。


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