放浪の達人ブログ

車内音楽

   【車内音楽】

つい先日、山仲間のコウベ氏と徹夜日帰りハイキングに行って来た。
岐阜県の焼岳という2400mちょいの初級コースの山だったのだが、
まだまだ残雪が多かったので谷間の雪渓を直登して山頂を目指した。
アイゼンを持って来なかったので太い木の枝を拾って杖代わりにして登り、
他に誰もいない山頂でのんびりと弁当を食べた。
白山、槍ヶ岳、穂高、乗鞍、南アルプスなどが360度見渡せる快晴だった。
下山時は急斜面の雪渓を登山靴のまま一気に滑り降りて来た。

それにしても50歳を過ぎた中年男性が徹夜日帰りで山歩きをして
平湯の露天風呂に入ってから車で帰宅というのは厳しいものである。
随分前にコウベ氏が平井堅の「瞳を閉じて」のシングルCDを持って来て
それを車内でエンドレスで聴きながら運転した時は子守歌を聴いている気分で、
まるで天にも昇る気持ち、いや、運転しながら天に昇ってはイカンのだ、
それはまさしく居眠り運転での事故を意味するのだから。

コウベ氏はそういう状況に対する配慮がまるでないのである。
山行きの車内BGM用に「島唄」のCDを持って来たこともある。
「あのさ、このCD、山で聴く音楽じゃねえんじゃない?」と俺が言っても
全く意に介さないところがいつもマイペースの彼らしい。

今回の山行きで彼が持って来たCDはこれまたヤバかった。
そのミュージシャンのファンの方もおられると思うので名は伏せるが、
アメリカ人の2人組男性デュオの透き通るような歌声の大ヒット曲
「ナントカへ架ける橋」とか「サウンド・オブ・ナントカ」とかは、
まあ確かに名曲なんだが徹夜明けのドライブ中に聴く曲ではないな。
うっとり聴いているといつの間にか目を閉じてしまいそうになる。

何度かそのCDがリピートで流れ、コウベ氏が「そろそろ替えるか」と
別のCDをセットしたのだがそれがまたきれいな声のシンガーだった。
しかし俺はどうもきれいな声の曲が好きではないのである。
確かに歌は上手いし売れに売れた名曲だが、あの鼻にかかるような歌い方が
俺にはどうも生理的に合わないというかハッキリ言って苦手だ。
特に「♪今咲き誇る~」だとか「♪今惜別の時~」だとかの部分は
卒業式の合唱の時にさぞかし歌いにくかったんだろうなあ。
こちらも読者さんの中でファンが多いだろうから名前を伏せておこう。

俺の同級生に永田氏というヤツがおるのだが、彼の車内BGMは
「川のせせらぎ」「鳥のさえずり」というヒーリング・ミュージックだ。
対して永田氏のヨメさんはバンドを組んでいる程のツワモノで、
しかもヘヴィーメタルをガンガンに聴く女性である。
彼ら夫婦が一緒にドライブに行く際は一体どちら側の曲を聴くのだろう?
とにかく共通点が全く見いだせない夫婦なのに未だに離婚はしていない。

ちなみに俺達夫婦の音楽の趣味は「ストーンズ」「スライダーズ」「RC」など
2人ともロック好きで非常に似ているので一緒に車に乗った際も
車内BGMが苦痛、ということはなくホッとしている。


© Rakuten Group, Inc.
X
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: