放浪の達人ブログ



地球で最も多くの人類を殺害する生き物は?と訊かれたら
多くの人は「人間」と答えるのではないだろうか?
戦争および紛争は世界中のあちこちで後を絶たないし、
殺人事件や交通事故などのニュースをいつも聞かされているから
人類を最も多く殺害する生き物と聞いて「人間」と答えるのは尤もだ。
しかし年間75万人もの人類を殺すという地球で最も攻撃的な生き物は「蚊」だ。
こっそりと人間に近付き、皮膚を切り裂き針を突き刺して吸血行為をし、
マラリアやデング熱などの病原体を人間の体内に埋め込む。

俺は東南アジアによく行くので現地の蚊には特に注意している。
蚊取り線香は必需品で安宿に泊まったら必ず部屋で焚く。
最近はジャスミンの匂いなんかもあるから良くなったもんだ。

東南アジア全域ではマラリアによる死亡者が年間40万人以上らしい。
スリランカではそれより危ないデング熱に注意しなければならない。
デング熱は重度になると全身の毛穴から出血するという恐ろしい病気だ。
そのため一般家庭でも安宿でも天井から吊り下げタイプの蚊帳を使ったりする。
俺がスリランカに初めて行った時の初日はキリスト教徒の多い街で泊まった。
ベッドが蚊帳で覆われていて王様のような気分になって眠りに入った。
翌朝、教会から聞こえて来る讃美歌で目が覚めたのだが、
目を開けた瞬間に自分が蚊帳に囲まれたベッドの中にいることを認識できず、
「え?オレ死んだのか?それとも集中治療室?」なんて錯覚を起こしたものだ。
数日後にイスラム教徒の多い街でホームステイした際も蚊帳の中で寝たのだが、
夜明けのコーランで目覚めた時もまたまた同じようにドキリとしたものである。

太宰治の「葉」という初期の短編作品の中に蚊についての文がある。
「秋まで生き残されている蚊を哀蚊という。蚊燻しは焚かぬもの。不憫の故に」
俺は太宰は大好きだがそんな悠長なことは思わない。
哀蚊(あわれが)だろうが何だろうが蚊は殺す。やられる前にやるのである。
今ではベープリキッドなんてものがあるが、昔ってベープマットってあったなあ。
一般庶民だった我が家ではキンチョー蚊取り線香をメインに使ってたが、
ある時からコンセント差し込み式のベープマットに替わったなあ。
でもやっぱり裕福ではない生活だったから翌日はベープのマットを裏返して、
2日で1枚のマットを使ってたのも懐かしい思い出だ。

最近は動体視力が悪くなったのか年齢的なものか、目の前を蚊が飛んで来た時、
両手でパンと叩いて殺そうとしても逃げられたり両掌が空振りしたりで、
一発で仕留められずに悠々と逃げられることが多い。
そこで我が家に導入したのはテニスラケット型の道具だ。
ラケットのガット部分が電熱線になっており、握り部分のスイッチを押せば
ガット部分が通電してそれで蚊を退治できる優れものである。
ホームセンターに売っているのでコレは本当にお薦めだ。
ちなみに商品名は「蚊トリーヌ」という。なかなか素晴らしい名前だよな。


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