イズミール





この機中では日本人はまだ珍しい部類に入っていたのだろう。複数のスチュワーデスがさかんに話し掛けてくる。食事がでたが、さらに余った分も持ってきてくれる。どうやら日本語に興味があるみたいだ。この飛行機の中では子供が泣きっぱなしだった。母親がてこずってるのを見て、英国人らしい人が自身満々で私にまかせなさい、という感じで替わってあやしたが、結局だめだった。みんな困ったような、呆れ顔だった。



飛行機は偉大である。先日あれだけ苦労して渡った海を、たった30分ほどで対岸に運んでしまう。降りるときにスチュワーデスに、さよなら、と日本語でいったら、びっくりしていたが、さ、よ、な、ら、と反芻するように繰り返して口ずさんでいた。

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空港から市内までは列車を利用した。約15円と安いが、どれぐらい時間がかかるかわからなかった。



イズミールは大きな都市だった。観光でも来る人が多いみたいだ。りっぱなビルも建っている。海沿いのうつくしい街だ。ここにはカディフェカレという名所があるらしいので、いってみることにした。しかしこれは完全な丘の上にあって、バッグを背負っているから結構こたえた。汗がだくだくと出てくる。途中で子供が3人、最後のアゴラまでついてきた。重いバッグを背負って坂を登っていく日本人の後を歩くのが面白かったのだろう。



イズミールにはNATOの事務所もある。



ところが、である。この前を歩いていると急に用を足したくなってしまった。しかたなく、NATOでトイレの場所を聞いたら、職員用のを貸してくれた。えらそうな人がトイレまで案内してくれて、用を足している間もずっと外で待ってくれていた。恐縮したしだいである。

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