札幌釧路夜行列車



札幌での仕事が一段落して食事をしていた。場所はススキノの居酒屋。
後輩の女の子と人生の先輩Kさんと一緒に、こちらの料理をつまみながら
ビールを飲み日本酒を飲む。2時間ほどたってから居酒屋を出ることにした。

実はKさんと一緒に、これから釧路にいこうということになっている。
夜行寝台で朝早く着く列車を予約してあった。

駅に向かうが時計を見るとまだ出発まで時間がだいぶある。
といって、もう一軒まわるには時間が足りない。それくらいの間・・・

さてどうするか、と悩んでいたがやはり酒好きのKさんと一緒である。
酒屋に入ってワインを1本と6Pチーズを買った。
これを大通り公園で飲もうというのである。今は晩秋から初冬というところ。
夜のこの時間だと寒いが、酒が入っていたせいかあまり気にならなかった。
公園内には悪ガキっぽいのがいたが、我々の方には近づいてこない。
私の姿は普通なのだが、Kさんは長身、白髪まじりの長い髪にサングラス、
それにりっぱな口ひげをはやしている。一見しただけだとナニジンだかわからない。
少し気味悪かったようで、周りの連中は逆にどこかに行ってしまった。

夜の札幌、この時間に公園で酒を飲んでいるのはさすがに誰もいなかった。
ベンチに腰掛け、まんなかにチーズを置いてワインを飲む。
これがじつにうまい。世間話をしているとあっという間にボトルがあいた。
チーズが2切れ残る。これをゴミ箱に処理して駅へと向かう。

ぶらぶらまわりを見ながら歩いていくと列車が出る30分ほど前に駅に着いた。
構内の売店でカップの焼酎と日本酒を買い込み、車内に入る。

この時期のせいだろうか、あまり混んではいない。
寝床を確認し、酒を持って窓べりで飲んでいるとまもなく列車が出発した。

少し大きな声でしゃべり過ぎてたのだろうか。
奥のほうから、うるさいぞ、何時だと思ってるんだ!と罵声が飛んくる。
寝ることにした。疲れていたせいか横になるとすぐに眠ってしまった。

まわりが少し明るくなってきたので窓の外をみると、ちょうど釧路の駅に滑り込む瞬間だった。
駅名をしるした案内板がゆっくり流れてから止まった。
車内にアナウンスが流れる。時計を見ると予定どおりの早朝の到着。
列車から降りた。思った以上に温度が低い。これではまだ外を出歩くには早すぎる。

駅で時間をつぶそうとして早めの食事をとった。さすがに朝から酒を飲むわけにもいかない。
あっという間に食べ終わってしまう。さてどうするか?とりあえず外に出ることにした。
釧路の駅前の早朝。時間つぶしができるところを探して見渡しても何もない。

と、一軒のサウナの文字が躍ってる!あそこにしよう。

中に入ってさっそく湯船につかる。朝風呂だ。
時間もたっぷりあるし長湯に浸かってたが、これがよくなかった。
湯から上がるとカーペットのしいてあるところで雑魚寝する。
少し体がだるい感じがしたが、長湯のせいだろうと思っていた。

1~2時間ほど寝ただろうか、起きてみるとだるさがとれてない。
少し熱っぽくなっていた。風邪か?とさほど気にかけずにいたが症状が悪くなっている。

Kさんはというと、・・・いたって元気だ。
私より20近く歳上なのにさっきもどんぶり飯を食べている。

Kさんは大酒飲みである。
しかし次の朝は必ずしっかりと朝飯を食べる。これは習慣になっているらしい。

Kさんの案内で市内を歩く。
港からいろんな施設の中を見て回り、夜には行きつけの店で騒ぐ予定であった。
街中を歩いていると昼飯時であったせいか、人通りが多くなっている。

歩いている人を見ると、え?半そで?

街にある気温計を見ると0度近く。寒くないのか?など熱っぽくなってきた頭で考える。
久しぶりの風邪だ。忙しかったせいかもしれない。

午後になっても直る気配はなく逆に悪化してきた。
おそらく夜は無理だろう。Kさんと相談して東京に戻ることにした。

釧路の空港まで車で向かう。まわりの景色がぼんやり浮かんでは消えていく。
出発まで少し時間があったのでビールを飲んだが味がわからなくなっていた。

飛行機は小さなもの。悪いことに台風が近づいてきて風が強くなっている。
しかし欠航にはならない。

機内に乗ってしばらくすると動き出した。風が強いらしく機体が揺れる。
窓の外に機体の羽の部分があり、ぶるぶる震えているのがよく見える。
外の景色がまるで波に揺れてる船のように上下に大きく動いている。

熱のせいなのか、台風のせいなのかよくわからなくなってきた。

隣にはKさんが座っている。
機体が揺れているが、そんなのKさんにとってみれば、へのへ~みたいだ。

うとうとしかけた頃、大きな衝撃音と共に機体は着陸して東京に戻ってきた。


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