「日本経済成長の結末」 飯田経夫 PHP



 著者はこう言います。

 現代物質文明が可能とする生活の「豊かさ」・快適さ・便利さ・楽しさを手に入れるためには、人間はよほどの無理をしなければならなかったに違いない。

 具体的には、

 1、「搾取の無理」

 2、「過労死の無理」

 3、「帝国主義的侵略の無理」

 4、「環境破壊の無理」

 「今こそ『マル経派』罪滅ぼしのとき」と。

飯田氏は名古屋大学教授で近代経済学者です。(いわゆる近経派)

 氏によれば、経済学では近経派は優勢であったが、論壇では

圧倒的にマル経派というか、マルクス主義哲学の擁する左翼が

主流だった。

 つい最近まで、ですから既述のように「中国の大盗賊・完全版」が2004年版が出るのです。

 1989年には、毛沢東の批判は日本ではできなかったのです。

 そのすり込みから抜け出すことのできない手合いが、メディ アにもくすぶっていて、みっともない強弁を繰り返しているのです、(と愚考します。)

 話を戻します。飯田先生ごめんなさい(合掌)

 氏の主張はこうです。

 マル経派には一定の功績があった。情け容赦ない、経済原理

から弱者を守った。改良的に、すこしずつ社会の矛盾を是正し

た。(多分に為政者の意識に働きかけて)

 ソ連をはじめとする社会主義国・共産主義国が自滅したのと

軌を一にして、左翼哲学者は沈黙して久しいのです。

 氏は今こそ資本主義・市場主義の牙が猛威を振るう中、発言

すべきではないか、と喚起して去りました。

 NHK人間大学の最終講義は「経済学が、足るを知る人間にも

っと買わせることに腐心する学問なら、なんとまあつまらない

学問に一生をささげたものかという感があります。」と、

病気の後遺症で不自由な口調で語られたのでした。

 マル経派の皆様も、

 「途中からこれはおかしいぞと思っていたが、学説の一つを伝えただけで私は信じていなかった。こんなものは一種のあほだら経だとわかっていた。信ずるものだけが救われるのだ。」

 「身過ぎ世過ぎのために、覚え慣れたるマルクス主義経済学を講義しているだけだ。」なんて言わないでくださいね。

 あまりにも情けないですから。

 翻訳学問を脱して、日本のマルクスが出現してほしいものです。



2005年2月4日


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