「お寺の経済学」東洋経済新報社 1500円



全国に、コンビニエンス・ストアは4万軒。

 「全国にあるお寺の数はどれぐらいか。」

 7万5000あるそうです。

 「日本で、世帯あたり最もお寺の少ない県はどこか。」

 沖縄県です。53寺院しかありません。

 世帯数との比率で言うと、8400世帯あたり1つの寺院となります。

 全国平均で600世帯あたり1つですから、14分の1となります。

 とまあ、一般人には意外な事実やら、檀家制度の歴史と権力者との関係など、真面目に現代仏教を考察しています。

 筆者は慶應義塾大学商学部教授 中島隆信 氏

 私が考えさせられたのは、「経済学は宗教か。」という項目でした。

 現代経済学は、P・サムエルソンを教祖とする宗教だとみなしている学者もいるそうです。(「宗教としての経済学」R・ネルソン ペンシルバニア大学)

 ネルソンによれば、サムエルソンが経済の仕組みを見事な数式の体系で表現し、

経済活動に科学性を持ち込んだことこそ経済学を宗教活動へと昇華させた最大の原

因だということです。

 「経済学の信者は市場メカニズムを信仰する人のことである」と筆者は言う。

うーんまいったな、私も信者のようです。小泉首相も竹中大臣も信者でしょう。

 沖縄で反戦活動が盛んなのも、反戦という宗教活動なのかもしれません。(仏教信仰という宗教が弱いぶん)

 最後に筆者は言います。寺院関係者が葬式仏教から脱却する努力を怠ると、沖縄のごとく寺院が衰退してしまうことも考えられると。(沖縄はもともと仏教が普及していなかったのです。)

 仏教が普及したのは、徳川幕府がキリシタンを取り締まるために壇家制度を
制定して、護持することを強制した体と著者は言います。


 この本を読んだ後、いろんな方々に紹介してこう質問しました。

 「ところで、都道府県で所帯あたり、もっとも宗教法人としての寺院の少ない県はどこでしょう。」

 「北海道!」という答えがもっとも多かったです。

 なお、大学のクラス会で「近代経済学も宗教でサムエルソンが教祖だそうだ。」といいますと、
 「ケインズだ。宗教の教祖だ。」との声が出たので少し驚きました。

 マルクスに対抗して出てきた貴族ケインズ。お二方とも宗教のカリスマだったとは。(とほほ)

 大学の校友会でこんな言葉があると告げられました。

 「流行り医者より、貧乏寺。」永続性があるそうです。

 まあ、どこから続く金が湧き出てくるかを、問われるでしょうが。


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