「歴史とは何か」 岡田英弘 文春新書



「日中両国国の歴史観のすり合わせ・共有をする。(あるいは日韓両国のーーー)」という言葉が飛び交う今日です。

 そんなことが可能なのか。著者は難しいといいます。

 歴史とは何かを定義してこういいます。

 「歴史とは人間の住む世界の説明である。」 時間と空間に沿い、一個人の体験を超えて把握すること。

 「人間は、時間を直接認識できない。」

 「歴史を成り立たせる四つの要素」

 1、直進する時間の観念
 2、時間を管理する技術
 3、文字
 4、因果律の観念


 この定義の上に立つと歴史のない文明がありますね。

 そうです。インド文明です。輪廻・転生という思想がある限り、
歴史はありません。

 同様にイスラム文明も歴史のない文明だと著者は言います。神の意思が第一義ですから。
 しかし、「歴史は自分の立場を正当化する武器になります」

だから「歴史のない」イスラム文明が歴史を持ったと。

もうひとつ、ひじょうに重要な文明だが歴史のない文明があります。

アメリカ文明です。

アメリカ文明には現在と未来しかないのです。

 権力者・王朝が正当性を誇示するためにつくったのが歴史である以上、歴史観の

共有など、日本語とラテン語のすりあわせを試みるみたいなものかもしれませんね。

 げんに中国は沖縄は中国固有の領土だと主張しています。

 一読をお勧めします。690円


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