つれづれなるままに―日本一学歴の高い掃除夫だった不具のブログ―

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2018.07.02
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カテゴリ: 洋画(欧米系)
スウェーデン映画。犬、というのはまず第一にスプートニクのライカ犬のことだ。人間の都合で、宇宙に出され、餓死した。物語の主人公もまた犬小屋、じゃなかった、東屋にいる。おじさんの社宅のそばにある東屋だ。

何故そんなところにいるのか。大人の都合である。イングマルは家にいたかった。お母さんが病気だった。お父さんはいない。いや、いるのだが帰って来れない。赤道直下にいるのだ。というわけで、お母さんの静養のために、子どもたち(言い忘れたがイングマルには兄がいる)は別居することになった。

シッカンも。シッカンというのは日本語だと病気のようだが、犬の名である。犬は預けることになった。少なくともイングマルは信じていた。けれども実際は、どこでも飼えなくて、殺処分されたのだった。そのことを知ってショックを受けたイングマルが犬小屋、じゃなかった東屋に引きこもる。それが冒頭のシーンであった。

だから映画は、大部分が回想シーンである。犬のように、大人の都合で、殺されぬまでもあちこちを転々とさせられる子ども(たち)。救いはないのか。ある。物語りのあちこちにちりばめられているおおらかな性的ユーモアである。​ 『小さな恋のメロディ』 ​よりも刺激的だが、そのユーモアに救われている。

中でもサガは象徴的だ。男の子のようななりをしていて、ボクシングもサッカーも強いが、実は女の子である。イングマルをまず友として認め、仲間となり、異性としてみるようになる。その移り変わりが観ていて甘酸っぱくもほほえましい。ついに彼女がスカートを穿いてイングマルと「宇宙船」に乗ったように、物事は変わるのだ。宇宙船もやがて大地に帰ってくる。少年は少女になり、子どもは大人になる。

思春期前の子どもたちのみずみずしい姿を切り取って見せたという点において、本作は​ 『トリュフォーの思春期』 ​にも劣らぬ傑作である。



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Last updated  2018.10.01 01:30:45
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