武蔵野航海記

武蔵野航海記

2008年02月01日
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英語のシニカル(皮肉な)という言葉はキニク学派が語源です。

日本語では犬儒学派といいますが、これはこの学派の代表的な哲学者であるディオゲネスが犬のような生活をしていたからです。

アレクサンドロス大王がコリントというポリスを訪れた時、その地の有力者は皆彼に会いに来たのにディオゲネスだけはやってきませんでした。

そこで大王の方から体育場でひなたぼっこをしていたディオゲネスに会いに出向いて、「何か希望はないか」と聞きました。

そのときの彼の答えが「あなたにそこに立たれると日陰になるからどいてください」とだけ言ったということです。

この話は非常に有名なのでご存知の方も多いと思いますが、こういう逸話からキニク学派は「皮肉」と理解されるようになったのでしょう。

キニク学派というのは洗練された哲学を否定し素朴な善だけを認めるという考えで、政府や私有財産、結婚などの社会的な約束を否定しました。

奴隷制度も認めず「徳」を非常に重視し、これに比べて財産や社会的地位などなにほどのことがあろうかという態度です。

このシニク学派のこの世の楽しみに対する軽蔑が受け継がれ、やがてストア派になって行きました。

懐疑学派というのは、道徳に対しても疑いを持ったのでこういう名前が付けられました。

人間は住んでいる国の習慣に順応するもので、それが特に合理的根拠を持っているわけではないと考えるのです。

真理など分かるはずがないということから、現在を楽しむにかぎるということになっていって、この学派は一時的に大流行しました。

しかし世の中が宗教色を深めていき、救いの道はこれしかないと独断的に教える宗教が栄えるのにつれて、この学派は衰微していきました。

エピクロス学派も現在は大いに誤解されています。

エピキュリアンは英語で美食家の意味で、エピクロス学派は快楽主義者とされています。

しかし、これは創始者であるエピクロスの弟子に娼婦が大勢いたので、そういう噂がたったからです。

エピクロスはパンと水だけの質素な食事に満足していました。

美食をすると食べ過ぎて腹痛を起こしたり、痛風になって不幸になります。

また、快楽を得るために金を稼ごうとしてあくせくしかえって不幸になります。

だから肉体的な快楽を抑制し心の平静さを得るのが一番幸せなのだという主張です。

このようにヘレニズム時代の哲学は、如何にして個人的な心の平安を得るかをテーマにしたものでした。





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最終更新日  2008年02月01日 10時37分08秒
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