勝手に最遊記

勝手に最遊記

A Rose Prison ―10―



沁紗の姿を探すが、何処にも見当たらない。

「・・!?八戒、音が聞こえるっ。」
悟空の言葉に、皆が耳を澄ませる。

・・・・・・ピアノの旋律が流れている。

「この曲・・・“月光”ですか。」

ピアノソナタ――月光――

一説には、死人を送る曲と言われている。


「・・コッチだ!!」駆け出す悟空を、皆が追った。


「綺麗ですよ・・・とても。」
聚楓が満足げに頷いた。

三蔵は縛り上げられていた・・というより、磔にされていた――――薔薇の蔓で

上半身を裸にされ、白い肌に食い込むバラの刺が、紅い血を滴り落としている。

キャンドルで浮かび上がったその姿は、酷く扇情的で、官能美を醸し出していた。

苦悶の表情を浮かべながら、
「・・・っの、変態・・ヤロー・・。」悪態を付く。

痛みで徐々に体の感覚が戻ってきている。
『絶対、ぶっ殺すっ!!』紫暗の瞳が、挑戦的に聚楓を見た。

「嫌だなぁ、そんな顔して?」
クスクスと聚楓が笑いながら三蔵に近づく。

三蔵の顔に、アロマキャンドルを向ける。

『・・・っ!?』クラリ、と、頭の中が揺れる。

「この甘い香りがね・・貴方の心と自由を奪うんだよ。」
可笑しそうに笑って、
「だからね、貴方は逃げられないんだよ?この薔薇の牢獄から・・。」

三蔵の首筋から流れる血を、舌ですくい取る。

三蔵の顔が怒りに歪んだ――――――パタン。ピアノの音が止んだ。

「どうしたの、沁紗。」

「・・・ご主人様。あの方達が、この部屋へやって来ます。」
沁紗が扉へと近寄る。

「そう。・・良い薔薇の肥料になるかなぁ?」

その言葉に、三蔵がキツク唇を噛んだ。


© Rakuten Group, Inc.
X
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: