勝手に最遊記

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Promise ―20―



「そーそー!何やっても桃花が起きないモンだからさ?
“このバカ女ー!起きろーっ起きろーっ!!”ってお前のほっぺたをギュウゥってさ。」
思いだしたのか悟浄が吹き出す。

「・・そう言えば悟浄は“こーゆー時には、王子様のキッスが目覚ましになる”って言って、
三蔵に発砲されましたよね?」
「・・・お前にゃ、気功で威嚇されたしな。」

二人の話を笑いながら聞いていると、岩陰に―――三蔵が居た場所に、煙草の吸い殻を見付けた。

三時間でこんなに吸えるのか!?・・そう思えるほどの、吸い殻の山。

『んっとに、素直じゃないなー。』そう思いつつ、
自分の目覚めを、苛々しながら待っていてくれていたと思うと・・嬉しい。

「・・桃花。」悟空がクイクイと袖を引っ張る。
「んー?どうしたの?」振り向くと、悟空がジッと見ている。
「大丈夫か?」
「・・・大丈夫だよ。」にっこり笑う。そして、

「悟空ちゃんは幸せ?」唐突な桃花の言葉に、悟空はポカンとしたが、
「幸せに決まってんじゃん!前にも言ったろ?」ニカッと笑った。
「・・うん!だよね?」桃花も笑う。

・・・幸せだ。幸せだって、悟空ちゃん言ってるもんね。

                  『約束は、守られてる。』

―――――誰と?  誰と約束したんだっけ?

胸に残る、この想い。

不快な訳じゃない。 悲しい・・訳じゃない。

とっても、とっても、懐かしい想い・・・・いつか、想い出す事があるんだろうか

「・・・にしても~っ!ほっぺたが痛いーっ!三蔵~責任取れ~っ!!」
三蔵の背中を追いかけ、桃花が走り出す。
「っと、待てって!桃花っ!?」悟空も駆け出す。

「未だ駄目ですよー!走ったりしちゃ・・!」はあ~っとため息を吐きながら八戒が追う。
「・・また、ハリセン喰らうぞ、ありゃ。」悟浄がハイライトを銜えつつ、追いかける。

そして―――――・・・「煩いっ!!クソバカ女っ!!一生、寝てろっ!!」

三蔵の憎まれ口と、桃花の悲鳴と、ハリセンの音と、悟空の制止の声と、八戒の非難の声と、
悟浄の笑い声が青空に響く―――――――。

                          「・・・なるほどな。」
いつもの通り、下界を覗き見していた観世音菩薩が、呟いた。

「菩薩様?どうかされましたか?」二郎神が訝しげに様子を窺う。
「いや・・別に。」

昔・・・あの事件が起こる前――――金蝉達の様子がおかしいと思ったことがあったな。
あの時は、確かめようとする前に・・・「面白いじゃねぇか。」ニヤリと笑う。

「おい、二郎神。」「―――は。」

「あの女・・三蔵達に同行している桃花って女の過去、調べとけ。」
「はっ?それは、どういう・・。」
「いいんだよ、俺が調べろって言ってンだから、調べろ。」

シッシッと二郎神を追い払い、また下界の様子を覗く。

面白い・・・運命の悪戯か?まぁ、そんな事はどうでもいいがな。
いずれ、近いうちに――――あの女に逢う事になるだろう―――予感がする。


―――――――――――――――ソレが幸か不幸か・・・桃花達には未だ判らない。


                  第12話  完


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