勝手に最遊記

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Darling ―7―



「たっだいまぁ~!」桃花の声に、悟空が飛び出してきた。

「桃花!お帰りっ!大丈夫だったかっ?」まるで子犬のようにつきまとう。
「え~?ナニ、大丈夫ってさぁ?」苦笑しつつ、おみやげの肉まんを渡してやる。

早速、肉まんにかぶりつきながら、
「だって(モグモグ)・・エロ河童が一緒だっただろ?(モグモグ)・・心配で。」
「ヒドイ言われよう・・・。あのね、その肉まん、悟浄君が買ってくれたんだよ?」
桃花の言葉に、悟空が思わず吐き出しそうになる。

「っ・・ぐっ!ま、マジで?」「もー大マジさっv」複雑な顔の悟空を見て、
「昨日のコトでさ、色々たかってヤッタの。だから悟浄君を怒らないでね?」にっこり笑う。
「そうだったんですか。」
いつの間にか背後(うしろ)に立っていた八戒が、頷いている。

「・・八戒ちゃん。ただいまっ。」『・・・・・・いつの間に?』
「お帰りなさい、桃花。」八戒が微笑みながら、
そう言うことなら、お仕置きはパスしてあげましょうかねぇ・・悪寒が走る様なことを呟いた。

「そのエロ河童はどうした。」三蔵が不機嫌な顔で部屋へ戻ってきた。
「あ~うん。お金使いすぎたみたいで、この町の賭場に行って来るってサ。」
「――――チッ。単独行動は慎めって言ってるだろうが・・・。」

「でも、でもね、早めに帰って来るって!未だ夕方でしょ?夜の早いウチには帰ってくるから!」
桃花が慌てて取りなす。『・・お金を使いすぎたのは、あたしの所為なんだし。』
しかし、三蔵はますます眉間に皺を増やしつつ、
「部屋へ戻ってろ!バカ女。」言い捨てて、煙草を取り出した。

なんですってぇ~・・と、桃花と三蔵の喧嘩が始まろうとしたのを、八戒が止めた。
「はいはい。桃花、僕の部屋でお茶でもしませんか?」優雅に誘われれば、頷くしか出来ない。

「ソレじゃあ、三蔵。・・・ゆっくりして下さいね。」
策士らしい笑みを浮かべつつ、桃花を部屋から連れ出す八戒。
残された(哀れ)悟空も、慌てて後を追う。

「・・・・・・・・クソッ。」火も付けていない煙草を、三蔵がへし折った。

八戒と悟浄の部屋で―――――八戒に煎れてもらったお茶を飲みつつ、呑気に過ごしていた。

「・・・三蔵も、気にしてたんですよ?」
「あ~うん。判ってるよ?判ってるケド・・・ツイ、ね。」ペロッと舌を出す。
あの美貌眩しい(?)顔で、罵詈雑言を浴びせられると、無性に腹が立つのだ。
その辺を八戒に説明すると、
「桃花らしいと言うか・・・普通の人は、恐れをナシちゃうんですけどねぇ。」
悟空が横で、首をブンブン縦に振る。――尤も、悟空の場合は、長年躾られてきた賜物なのだが。

「だ~って三蔵ってば、他人に自分の領域(テリトリー)に入らせるのは嫌がるクセに、
自分は何もかも知ってなきゃ機嫌悪くなるんだモン。ほんっと、我が侭だよね?」
桃花の言葉に、八戒が笑みを漏らす。『・・・判ってるようで、判ってませんねぇ。』

確かに、三蔵は自分の領域に踏み込まれるのを極端に嫌う。
そして、自分以外の人間が何をしようと・何を考えてようと、一切、興味が無い。


                “自分が認めている人間以外は”

ソレは、悟空であり、悟浄であり、自分・八戒であるのだが――――――『桃花もですよ。』

でなければ、あの三蔵がいつまでも旅に同行させる訳が無い。
『認めたくないんでしょうけど。』 だから、憎まれ口ばかり叩く。

もう少し素直になれば・・・でも、その様子を見ていて“面白いから”イイかな、なんて。
思ってしまう僕は、“いけないヒト”ですかねぇ?・・・八戒が、ほくそ笑んだ。


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