勝手に最遊記

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Darling ―16―



八戒は気を吸収されてしまうために、後方で三蔵の前に立っている。

観自在菩薩・・・・皆空度一切・・・・般若心経・・・・「・・・魔戒天浄っ!!」

―――――――――ドオオオンンッッ―――――――――経文が放たれた・・・・・。


「ギュウジュウウゥゥッッッ!!」・・・・・・・・・・・・・肉塊がドンドン浄化されていく。

「コレで・・・終わりましたね。」八戒が安堵の息をついた、瞬間。

「な・・・!?」散らばった肉塊が、また集まり始めた。「なんだよ!?コレッ!!」

悟空の苛立ちの声をあざ笑うかのように―――――「・・キヒヒヒヒ・・ムダ・・ムダ・・。」
肉塊に顔が浮かび上がる・・・・「オマエラ・・ヲ・・オオオッ!?!」肉塊の動きが止まった。

「・・タ・・タスケ・・」「イヤダ・・イヤダアアアッ」「オレ・・オレノ・・」幾つもの顔が浮かんだ。

「・・あの人達・・・。」一つ一つの顔に、見覚えがある。自分と悟浄を襲って・・喰われた仲間。

一つに纏まりつつあった肉が、バラバラに動き始めた――――「オッオイッ!ダメダッ・・オマエタチッ」
リーダー格の男の顔が叫ぶ。しかし、吸収されていた仲間達は逃げ出すことを止めない。

肉塊が、五つに別れ―――――小さくなった肉片は、壊死していく―――――「アアァァ・・・。」

「・・オレハ・・チカラヲ・・テニイレテ・・ハンパナッ・・・」既にリーダー格の男の肉も、壊死寸前だ。

「そーゆー寝言はさ。あの世で言えっての。」悟浄が冷たい一瞥をくれて、肉を踏み潰した。


「ああ~っ!完徹しちまったな~!!」悟浄がうーんと背伸びした。

太陽が昇り始め―――――眩しいほどの光が満ちている。「・・爽やかな朝・・。」ハイライトを銜えた、
【ガウンガウンッ】―ボッ―――――――ハイライトに火が付いた。

「さっ・・三蔵!てめっ・・!」ピタリと狙いを定めている三蔵。
「――フンッ。この俺に手間暇掛けさせやがって。」
「三蔵。しょうがないじゃないですか。」八戒が割って入る。「・・八戒。」悟浄がホッとしたが、
「・・・桃花まで危険な目に合わせたり。子作り出来ないからって聞いて
惚けたり。僕らまで見殺しにしようとしたり・・「だあああああっっ!!」悟浄が頭を抱えた。
隣では、悟空がゲラゲラと腹を抱えて笑っている。


桃花は少し離れた場所に座り込んで―――――眺めていた。『良かった・・・悟浄君。』
悟浄にとっては、とても。・・とてもツライ事が判ってしまった。でも。

みんな。みんな、その事をサラッと流している。――大したこと無い――そんな風に。
大げさに慰めるワケでもなく――――腫れ物に触るよう気を使う事もない・・・『ホント、良かった。』

そんな事を思っていると、「もーもかちゃんっv」悟浄がドカッと目の前に腰を下ろす。
「・・・悪かったな。またまた巻き込んで。」苦い顔をする。
「いいって!・・良く判らないけど・・・悟浄君だけの所為じゃないでしょ?」
不審な点が多かった。後で、三蔵と八戒に話そうと決めている。

「・・・・・キレイだねぇ、悟浄君の髪。」思わず呟く。

太陽の光が増してきて―――――目の前にいる悟浄の髪を透かしている。
深紅の髪は、太陽光線の加減によって同じ色調では無く、色んな朱に見えた。

「・・キレイ、か?」自らの手で、一房摘んでみる。『昔は“血の色”にしか見えなかったけどな。』
尤も―――あの生臭坊主達との出会いによって、そんな風に思わなくなったけど。


「桃花。聞きてぇコトが、あんだけどよ。」    『それでも』

「んん?何?」                   『聞きたい』


             「俺の髪と眼・・・どんな色だと思う?」『どんな風に見える?』

「はぁ?」
「いや、お前さ、言ってただろ?悟空の眼がお月サンとかどうとか・・・。」

「ああっ!!」ポンッと桃花が手を打つ。「・・・ん?悟浄君、自分の色がどんなのか、分かんないの?」

「いっ?いや・・」紅だっつーのは判るけど・・「決まってるじゃん。」桃花は満面の笑みで言った。


                     「愛の色 だよ。」


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