勝手に最遊記

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Curse ―3―



「ん・・・?」珍しく、悟空が早く目を覚ました。

ゆるゆると、頭を振る。『・・・なんだか、頭痛ぇ。』体のアチコチも、ギシギシと音が聞こえそうな程、
軋んでいるカンジがする。暫くベッドの上でボーッとしていると、頭痛の方は緩やかに消えていった。

『・・・桃花ぁ。また腹出して寝てるよ。』隣のベッドを見れば。シャツの裾が捲り上がったまま
寝こけている桃花の姿。もちろん、ちゃんとスパッツを履いている。

ベッドから降り、桃花の布団を掛け直そうと・・・覗き込んだ時、ベッドが軋んで桃花の目が開いた。
「悪りぃ。起こしちゃったか?・・・桃花?」悟空が不審そうに桃花の顔を覗き込んだ。

寝起きが余り良くないのは知っている―――――が。
見る見る黒曜石の眼が大きく見開き、体が小刻みに震えだしているのだ。

「桃花?もも・・。」手を伸ばして。桃花の頭でも触ろうとしたのだが 「きゃああああっっ!!」
突然の大絶叫。至近距離に居たため、ベッドから転げ落ちてしまった。

「ってぇっ・・。桃花?なんだよ!?」頭をさすりつつ、ベッドの上で硬直している桃花を見上げた。

「ごっ・・悟空・・ちゃん?」桃花が恐る恐る尋ねてくる。「ったりめーだろ?寝ぼけてんの?」苦笑した。
「桃花っ!?どうしたんですかっ!?」八戒と三蔵が部屋のドアを蹴破るような勢いで飛び込んで来た。
そして、
「!?貴方は・・何者なんです!?」八戒が悟空に向けて戦闘態勢を取った。
「はっ八戒っ!?」慌てる悟空に、三蔵がつかつかと近寄る。

「お前・・・悟空だな?」射抜くように悟空を見つめる三蔵。その言葉に八戒が驚愕している。
「そうだよっ!何だよ、みんなしてっ・・・。」悟空には訳が判らない。

「おいっ!刺客かっ!?」遅れて悟浄が飛び込んで来て――――「・・誰だヨ?てめぇ。」睨み付ける。

「っっ!だからっ・・。」言いかけた悟空を制して、「鏡を見てみろ。」三蔵が洗面台を指さす。
仕方なく―――――起きあがり、のろのろと洗面台に向かって、鏡を覗き込んだ悟空の眼に・・・・・。


                      「おっ・・俺っ!!?」


長い 長い大地色の髪 腰まで届いている

顔全体が面長になっていて――――――少年臭さが抜け落ちていた

身長も体格も 一回りも二回りも大きくなっていて・・・・着ていたタンクトップが窮屈そうだ

「俺・・・・。」大きくなった掌を、ジッと眺めて見る。「・・・夢?」首を傾げた悟空に、
スッパアア――ンッ!!三蔵がハリセンを喰らわせた。

「イテッ!!三蔵・・・?」「何時まで寝ぼけてんだっ!状況を把握しろっ!!」そうは言ったモノの。
流石の三蔵と言えども、この状況に頭が痛いのも事実で。

「・・・桃花。ちょっとイイか?」悟浄が桃花の手や足を触る。「大丈夫・・・か?」フッと息をついて、
「!?・・・髪の毛っ!?」表面上は何も変わらない。髪を掻き上げて、地肌に近い髪の毛を露わに
させると―――――――桃花の黒髪が、ごっそりと白髪に変わっていた。

「そ、そんな・・・?」桃花の顔色がサッと青ざめる。

悟浄と八戒も沈痛の面もちで。

「・・・・チッ。面倒な事になりやがった・・。」三蔵が、吐き捨てるように呟いた。

――とりあえず。成長した悟空は着る物を悟浄に借り、三蔵の部屋へと皆が集まった。

「しっかし・・俺としちゃ、複雑な気分なんだケド?」悟浄が悟空に視線を送る。

身長が161センチ程だった悟空は、今や悟浄と並んでも遜色のない身長で。(185センチぐらい)
肩幅も、胸板も、元の体より二回りも大きく悟浄の服がピッタリだ。
そして、可愛いと言う雰囲気だったのが・・・・立派に“男らしい”風貌を漂わせている。

「そうだよね~。悟浄君がヤキモチ妬くぐらい、カッコイイよねぇ?」
バタンッと音がして、遅れて入って来た桃花の顔を見て―――――皆、息を呑んだ。

さっきまで、表面上の髪には何の変化もなかったのに・・・今は、まるでメッシュでも入れたかのように
黒い髪の間に白髪が入り交じっている。

「桃花・・・。」八戒が立ち上がり、桃花の髪を手で梳く。見れば、黒髪より白髪が多くなっていた。
「まだ、大丈夫。ねっ?」安心させようと笑って見せるが・・・・重い雰囲気はどうしようもない。

「三蔵!なんなんだよ?コレッ!」悟空が苛立ちの声を上げる。自分はともかく桃花の状態は酷すぎる。
「三蔵法師様だって、わかんねーコトもあるのヨ?悟空。」珍しく悟浄が諫めた。


ジィッと悟空と桃花の姿を見ていた三蔵が、口を開く。

「コイツらは・・・“呪詛”をかけられたんだ。」 その言葉に、皆が言葉を失った。


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