勝手に最遊記

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Blind Date ―6―


「しらみつぶしに探すしかねぇだろ!?・・・ったく、面倒かけんじゃねぇよ!」
人混みを縫うように進みながら、三蔵が怒鳴った。

『三蔵、殴らなかった・・・。』三蔵の背中を追いながら、不思議に思う。
「なー、三蔵!」「なんだっ。」「・・・怒ってないのか?」・・・・・・スパアアァァッッッン!!
「痛っっってえぇぇ~!!」悟空が頭を押さえて飛び上がった。

「そんなこと言ってる場合かっ。祭りとなれば柄の悪い連中や、酔っ払いが大勢いる。アイツが絡まれでもして見ろ!
コッチが迷惑かけられるんだ。・・刺客の妖怪が混じって無いとも限らんしな。」

悟空の顔色が変わる。
「・・そっか。早く見付けなきゃな!」「・・ったく・・・。」急ぎ足で人混みを泳ぐようにかき分けて行く。

「不機嫌な太陽とは何だ?」焼きトウモロコシを頬張りながら紅孩児が聞いた。
「あー、あたしの連れ!いっつもさ、こ~んな風に眉間にしわ寄せてんの!」
そう言って、自分の顔の眉間に皺を寄せてみせる桃花。

「・・・恐い顔だな。」
「でしょ~?・・まぁからかうと面白いんだけどね。」思い出したのかクスクス笑う桃花を見て、
「俺の連れも面白いぞ。すぐに俺を子供扱いするが、俺の為なら何でもしようする・・・・いい仲間なんだ。」

「そっか!紅君も幸せ者だねっ?」「・・・お前もな。」二人は顔を見合わせて、笑いあった


「・・・簡単には見つかりませんね。」八戒は繁華街の中心にいた。祭りで人が一杯の広場を抜けてくると、
ココに辿り着いたのだが桃花の姿は見当たらなかった。

「トラブルに巻き込まれてなければ良いんですけど・・・。」特別美人と言う訳ではないが、
男の目を引く容姿ではある。加えて警戒心に乏しく、戦闘能力など皆無なのだ。

祭りでさんざん酔っ払った男達が、飲み直そうと繁華街に流れてくる。

『せめて桃花にジープを付けていれば・・。』後悔の念が込み上げてきて、思わず座り込みたくなる。

その時、


「すご~い!悟浄って、太っ腹なのねぇ~?」女の嬌声が聞こえてきた。
「!!」八戒が近くの酒場を見ると、

「まーねー。いい女には金なんか払わせネェよ?」浴衣姿の女を両脇に抱えて悟浄が酒場から出てきた。
キャー!嬉しいぃ~・・・そんな女達に鼻の下を伸ばしている悟浄に、

「・・・・・いいご身分ですね、悟浄?」一気に冷水を浴びせるような声が聞こえた。

「・・・はっ・・八戒・・。」親友がいつも通りの笑顔を浮かべて立っている。いつも通りのドス黒いオーラー
を背後に漂わせつつ・・・・。

「一緒に来てくれますよね?・・・ちょっとトラブルがあって。人手が足りなくて困ってるんですよ。」
笑顔に深みを持たせつつ、迫る八戒に逆らう術もなく「ハイ・・仰せのままに・・・。」悟浄が頷いた。

「そういうことで。スミマセンがこの人を借りていきます。」浴衣姿の女達に、礼儀正しく八戒が挨拶して行こうとしたが、

「ちょっと待ちな!ウチの女達と遊んで置いてそりゃーねぇだろ?」わらわらと人相の悪い男達が、路地から出てくる。

「・・・ハァッ?遊んだって、俺が酒を奢ってヤッタだけだし?別に手も出してねーんだから、アンタ等に文句を言われる
筋合いじゃネェと思うけど?」悟浄が尤もな反論をする。

「酒飲んだだけでも、一緒なんだよ!!」男達は引き下がる気配を見せない。
浴衣姿の女達も、ニヤニヤして見ているだけである。

八戒が突然、ポンッと手を打って、「判りました!悟浄、“美人局”ですよ!」
「“美人局”って・・・あの、アレか?」悟浄が情けない顔をする。

「はい。本来なら、悟浄がホテルにこの方達を引っ張り込んだ所で、ヤクザさん達が出てくる予定に
なっていたと思うんですけど・・・僕が来ちゃいましたので。予定変更なさったんでしょ?」
ニッコリ笑顔で解説する八戒。

「はぁ~・・・ったく。この頃女運、悪いんじゃねーか?俺・・・。」思わずため息を付く悟浄。
「何、ペチャクチャ喋ってンだよ!金を置いてかなきゃ痛い目見るぞ!」
「へぇ・・・見せて見ろよ?」
悟浄の深紅の眼が、ヤクザ達を睨み付けた。


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