勝手に最遊記

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Blind Date ―9―


俺はそうしている・・・母上のために・・。

「自分だったらどうかな?自分を救う為に、大切な誰かが世界中を不幸にしようとしたら、堪んないな。」
「!?」『自分・・・だったら?』

「あたしの為に、世界中を不幸にするような奇特な人っていないけどさ~。居たらヤメて欲しいよね。
モー勘弁って感じ!」
口調は戯けているが、その目は真剣だ。

「だが、そのヒトを助けるためには・・・!」「だっかっらっ!!」桃花が紅孩児の手を握る。

「“そのヒト”の為じゃ無く、“自分の為”にすればいいじゃない!」「・・・自分の為・・・。」

「そう。“そのヒトの為”じゃなくって。自分が勝手にって。
自分が守りたいモノ、救いたいモノの為にしている事なら・・耐えられるよね?」
「・・・・!」

「“アナタの為に世界中を不幸にしました”なんて、言われたくないよ。でも、自分の為にする事なら・・・
イイと思うよ。あたしはねっ。」ニカッと笑って見せる桃花。

「お前・・・。」紅孩児は凝視した。目の前にいる“只の人間の女”
非力で、戦う術も知らない女がこんなに強いのか・・・。

フッと紅孩児が笑った。

「お前は、女にしておくのが惜しいな・・。」
「うわ~っ!勘弁して~・・・この頃良く言われるのー!!」頭を抱える桃花「やっぱ、連中の影響かな・・・。」

「連中って・・・恐い保父に、不機嫌な太陽に、優しい女たらしか?」
「あははは・・そうそう!後ね~食欲旺盛な男の子もいるよ!
可愛いんだけど、猿って言われちゃって・・。」あははと笑う桃花の言葉に、紅孩児の顔色が変わった。

保父・・・太陽・・・女たらし・・・食欲旺盛な猿・・・・!?
「・・・お前・・・お前の連れとは・・・・まさか・・・・」


「危ねぇっ!紅!!」
ガッキイィィンッ・・・独角兕が紅孩児に向かって飛んできたナイフを剣で受け止める。

「・・・・っ独角・・!」
「デートに夢中で気付かなかったみたいだな。・・ホラ、団体さんだ。」

いつの間にか妖怪達が集まってきている。興奮状態で自我を無くした妖怪だ。
「・・・くっ。」歯がみする。こんな時に・・・!

「悪りぃがお嬢さん!退がっててくれ!」
独角兕が桃花に叫んで、妖力制御装置を外そうとした・・・が、「駄目だっ・・独角!」唸るように紅孩児が言った。

「紅っ?」独角兕が紅孩児を見ると、苦い表情(かお)で「頼む。」そう呟き、妖怪の群に突っ込んでいく。

「あの、バカ・・・!」この人間の女に、正体を知られたく無いって事か?「世話が焼けるぜ、まったく!」独角兕も突っ込んでいく。


妖力制御装置を付けていても、紅孩児の強さは並大抵ではない。素手で次々と妖怪を打ち倒していく。
独角兕もまたしかり。

「おおぉっ!!」自分へと棍棒を振るってきた妖怪の一撃を避け、顔面に飛び膝蹴りをお見舞いする。
グシャッ・・嫌な音と共に、妖怪がまた一匹と倒れていく。

「紅!コイツらあの町へと突入するつもりだぜ!!」「・・・クッ!」
祭りで人々が溢れている町。確かに妖怪が人を喰らうには格好の場所だろう。

「そうとも!・・・お前ら邪魔なんだよぉ!!」妖怪の一人が、力任せに槍を投げる。

凄い勢いで飛んでいく槍の先には・・・『桃花っ!?』紅孩児は飛び出した。

「ケエエッッヘヘヘヘッ!まずは女から死にやがれっ!!」妖怪が独角兕に一刀両断される。「紅っ・・!」

桃花は自分に向かって飛んでくる槍を、まるでスローモーションのように見ていた。
『あ・・・・。』

「うおおおぉぉぉっ!!」紅孩児が腕輪を―――――妖力制御装置を引き千切る。

バキイィィッ・・・・桃花の眼前で、槍が粉々に砕け散った。


「紅・・・君?」
恐る恐る桃花が眼を開けると、自分の前に紅孩児が立っている。
しかし、それは今まで話していた紅孩児ではなく、
鋭い爪を持ち、尖った耳と、顔に紋様状の痣が浮き出ていて、明らかに人間では無い姿であった。

「・・・・お前を騙すつもりは無かった。すまない。」「あ・・・・。」

再び紅孩児は妖怪の群へ、体を踊らせる。
独角兕も「結局コレかよ・・。」自分の妖力制御装置を外し、妖怪達へ突っ込んで行く。


妖力を解き放った紅孩児と独角兕の強さに、暴走していた妖怪達は為す術もなく・・・・
アッという間に全滅した。

―――――――――――――――紅孩児が、桃花に向き直った。

「この姿が・・・本来の俺だ。」苦い顔で。紅孩児が言った。


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