坂井 基浩のホームページ!

1999年6月号~10月号目次から


◆一念発起◆雪国まいたけ社長 大平喜信氏
「3年間の孤独に鍛えられた精神力」

◆編集長インタビュー◆日本電産社長 永守重信氏
「50%達成すれば100%できたも同然。完成度は二の次でスピードを優先
する」
―ハードディスクドライブ用スピンドルモーターで、世界市場の7割を押さえ
るガリバー企業の強さの秘密は、「完成度よりもスピード」という行動原理に
ある。どこよりも早く顧客に試作品を納めることで、変化が激しい市場で戦う
顧客の競争力向上に貢献してきた。そのスピード経営を支えるのは比類なきハ
ードワークだ。―

《編》日本電産といえばハードディスク用モーター、との印象が強いですが、
   最近は製品分野がかなり広がってますね。

【永】10年前からそうですから。最近は家電製品の分野でも、随分とうちの
   モーターが使われるようになっているんですよ。

《編》例えばどんな製品ですか。

【永】ウォッシュレットの8~9割はうちの製品ですね。ほかにもエアコンと
   か、生ごみ処理機とか、「回るもの、動くもの」はすべてが対象にな
   る。

《編》いま、なぜ市場が広がってきたんですか。

【永】環境とか省エネがクローズアップされています。それに伴って、電気を
   食わないモーターに対するニーズが、かつてなく高まっているんです
   ね。価格は安いが効率も低い従来型モーターは、「ブラシレス」と呼ば
   れるモーターにどんどん置き換わっている。それで参入機会が広がって
   きた。

《編》小型化もポイントですね。

【永】ハードディスク用モーターは、その最たるものでしょう。パソコンを軽
   く薄くするには、モーターも小さくしなければならない。ウォッシュレ
   ットも設置スペースが限られる、という点では同じです。自社が得意と
   する場面に特化し、軽薄短小技術をテコに高いシェアをとるというの
   は、京都にある会社のひとつの特徴かもしれませんね。村田製作所とか
   ロームとか、みんなそうでしょう。
(中略)

《編》社員にもまして、社長はハードワーカーだと聞きます。1日16時間、
   正月の午前中を除いて365日働かれるというのは、まさに掛け値な
   し?

【永】掛け値なし。それを26年間続けてきました。

《編》その原動力は何ですか。

【永】原動力ねえ。まあ、自分で会社をつくって、それを世界的な企業にしよ
   うとしているんだから、なんと言うか・・・。

《編》当たり前のことだと?

【永】うん。当たり前。働いていて、楽しいね、毎日。実に楽しいですよ。

《編》他の起業家でも、これだけ働けば成功しますか。

【永】寝ることや食べることなど、生活に必要な最小限の事しかせず、残りを
   すべて仕事にあてれば、1日に16時間は働ける。それを10年続けれ
   ば、成功しないはずがない。いまは市場の変化が速いので、5年で十分
   かもしれませんね。米国だったら3年でしょう。

《編》しかし、実際にそれができる人は少ない。

【永】ベンチャー企業というのは、しょせん単体商品なんです。弾が1発しか
   入っていないピストルで、機関銃を持った大企業と戦わなくてはならな
   い。にもかかわらず、ちょっと利益が出ると、休んだり、遊んだりする
   人がいる。私には、信じられないことですけどね。
(終了)

◆セミナー再録◆明光商会社長 高木禮二氏
「人並みはずれた努力をすれば、認めてくれる人は必ずいる」

「明光とは明るい光と書きます。明光はまだ小さな水滴です。その水滴が集ま
って小川となり、その小川が集まって大河となります。大河の上にはこうこう
と光る月があります。やがて、明光は悠久の大河になります」―――

 40年前、27歳で会社をつくり、営業に走り回って、何度この言葉を叫ん
だことでしょう。相手が聞いてくれようが聞いてくれまいが、必ずこの言葉か
らセールスを開始しました。(中略)

 約40年前に、それまで世の中になかったシュレッダーを採用してくれたの
は、先見性のある偉大な人たちでした。こうした素晴らしい人たちは、いまも
たくさんいるはずです。ただし、偉大な人に認めてもらうには、こちらも常人
離れした努力をしなければなりません。普通の努力では、普通の人にしか認め
てもらえないのです。

 もっとも、MSシュレッダーは決して順調に成長を遂げてきたわけではあり
ません。これまでに80数社が市場に参入してきました。数年前も、大手家電
メーカーが、わが社の24万円の製品に7万円の対抗機をぶつけてきました。

 営業社員は「ウチも7万円の製品を出してくれ」と懇願しましたが、私は、
24万円の機種で挑戦を受けるよう指示しました。シュレッダーは、あれば便
利だけれど、絶対似なければ困るというものではありません。値段が安いから
買うというものではなく、営業努力で需要を創出するものだと考えるからで
す。結局、そのメーカーは約3年で撤退しました。
(以下略)

◆倒産の研究◆■オカノアソシエイツ(生活雑貨品)
「新規事業の失敗で大損。手形頼みの資金繰りが破綻」

◆倒産110番日記◆八起会会長 野口誠一氏

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【1999年9月号】
◆一念発起◆グルメ杵屋社長 椋本彦之氏
「退職者に教えられた慢心の怖さ」

◆特集◆破産、解任を乗り越えた「リベンジ経営者」
【破産】本多企業会長 本多武郎氏
  「『経営者養成学校』の会長に」
【解任】グッドウィル・グループ会長 折口雅博氏
  「二度の挫折を経て億万長者に」

◆インタビュー◆フュチャーシステムコンサルティング社長 金丸恭文氏
「仲間をびっくりさせてやりたい。その気持ちが無限のエネルギーを生む」

《編》「技術的にも価格的にも非常に難しかったセブン-イレブンの仕事に熱
   心に取り組んだ動機はそもそもどこに?」

【金】「当時私は30歳になるかならないかの頃でした。やっぱり、その辺の
   年齢ですと、『あのセブン-イレブンの仕事を受注して、仲間をびっく
   りさせてやりたい』というのが最大の動機になりますね。・・・。

◆夢を追う人たち◆都市デザインシステム社長 梶原文生氏
「マンション市場に新風を吹き込む。高校尾時代の夢を一歩ずつ実現」
※コーポラクティブハウス(入居者が建設組合をつくり、地主から直接土地を
 購入して建設するマンション)
※2003年12月 4日(木)現在発表のデータ
 ●設立: 1992年6月
 ●所在地:東京都渋谷区
 ●資本金:454.8百万円
 ●売上:4,000百万円(03年3月期)
 ●経常利益:258百万円(03年3月期)
 ●事業内容:コーポラティブハウスの企画・コンサルティングなど
 ●URL:http://www.uds-net.co.jp

◆倒産の研究◆■有明製菓(和洋菓子の製造・販売)
「小さな失敗を積み重ね『緩慢な死』を迎えた老舗」

◆倒産110番日記◆八起会会長 野口誠一氏

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【1999年8月号】
◆一念発起◆ダイオーズ(ダスキンFC)社長 大久保真一氏
「夢を与え、人を生かす」

◆インタビュー◆アルプス技研会長 松井利夫氏
「買収・資本参加の対象になるのは、技術か経営者に何か光るものがある会社」
※出資を決める際、相手のどこをご覧になるんですか?
 松井:一に人柄、二にバイタリティ、三に能力です。

◆新成長企業◆玉子屋(事業所向け仕出し弁当の製造・販売)社長 菅原勇継氏
「オフィス・工場街を制した仕出し弁当(パートでも実績しだいでボーナス35万円支給)」

◆成長の研究/快進撃を続ける成長企業トップの経営手法◆ドン・キホーテ社長 安田隆夫氏
「深夜の客の心のヒダをつかむ、社員への権限委譲を徹底」
※「『見えにくく、買いにくく、取りにくい』売り場をつくる」
 「仕事にゲーム性を持たせる。深夜マーケットは巨大な金鉱」

◆夢を追う人たち◆町おこしの第三セクター経営社長 笹原司朗氏
「寂れた商店街を見事に再生。秀吉の町をガラスのメッカに」

※滋賀県長浜市の第三セクター「黒壁」と笹原社長の取り組み

◆倒産の研究◆■日本電子通信(通信機器販売)
「『脱・電話屋』を夢見て自滅。見切り発車の投資が致命傷」

◆倒産110番日記◆八起会会長 野口誠一氏

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【1999年7月号】
◆一念発起◆エステー化学名誉会長 鈴木誠一氏
「貫き通したトップメーカーへの志」

◆特別寄稿◆日本経済新聞社編集委員 井本省吾氏
「ダイエー会長 中内とイトーヨーカ堂名誉会長 伊藤を分けたもの[下]」

◆インタビュー◆コメリ社長 捧 賢一氏
「扱いが難しい商品を徹底して極める。それが競争に負けない強さの源泉」

◆倒産の研究◆■アメリカ屋靴店(靴の小売チェーン)
「消費不況に勝てなかった老舗。創業者の孫の『お粗末な経営』」

◆倒産110番日記◆八起会会長 野口誠一氏

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【1999年6月号】
◆一念発起◆キングジム会長 宮本浩三氏
「争議で悟った労使一体の大切さ」

◆特別寄稿◆日本経済新聞社編集委員 井本省吾氏
「ダイエー会長 中内とイトーヨーカ堂名誉会長 伊藤を分けたもの[中]」

◆特集◆「二代目には二代目のやり方がある!」
 1.会社を救った「孝行息子」たち
  1)星野リゾート 星野佳路社長
  2)トミー 富山幹太郎社長
  3)松井証券 松井道夫社長
 2.社内を掌握する5つの鉄則
  1)父親の意向をしっかり確認
  2)“閣僚候補”を早めに探す
  3)カリスマ性より会社の魅力
  4)会社の「膿」を取り除く
  5)現実的な経営で足元を固める
 3.息子が伸ばした会社・潰した会社

◆倒産の研究◆ブルート(ゲームソフト販売チェーン)
「加盟店にそっぽを向かれ売上激減。頼みのメーカーにも見放される」※下記に詳細

◆倒産110番日記◆八起会会長 野口誠一氏

「倒産の研究」
1999年6月号「ブルート」ゲームソフト販売チェーン
◇見出し◇ 「加盟店の大量脱退で売上激減頼みのメーカーにも見放される」
 中古ゲームソフトの販売店をFC展開し急成長。その後、メーカーと友好関
係を築き、新品ソフトの扱いを増やした。
 しかし、中古ソフトの需要は根強く、加盟店が大量に脱退。
 最後は、頼みのメーカーからも見放された。
         以上、本誌より

ここから坂井のまとめ
 ゲーム用中古ソフト販売の草分け的な存在だった。中古ソフトは4割から6割
近い粗利益が確保できる半面、価格設定や仕入れを間違えると売り損じて収益
を圧迫する。山崎社長は市場動向を見ながら買い取り価格と販売価格を設定
できるシステムを独自に開発。これを武器にFC展開し、最盛期には300店を
超える業界トップの中古ソフト販売チェーンになった。

 ☆転機☆
 1994年ソニー・コンピュータエンタテイメント(以下SEC)がプレステを発売して
家庭用ゲーム機市場に参入。

 当時、家庭用ゲーム機市場は任天堂のスーパーファミコンの独壇場。任天堂
の親睦団体で、初心会がゲーム機本体やソフトの配給を一手に握っていた。

 対照的にSECは「流通革命」を掲げ、既存の問屋を通さず、小売店に直販
卸す仕組みを提案した。ブルートのような中古ソフト販売店にも、商品を扱う
よう声を掛けてきた。プレステ用の中古品を販売しないことを条件に。

 ☆山崎社長の読み☆
 山崎社長は当時、社員に「時代を先読みすることが大事。SECがどれだけ
シェアを取れるかわからないが、CD-ROMという新たなメディアの登場で
ゲームソフトの低価格化は避けられない。価格が下がれば、中古ソフトが存在
する理由は薄れていく」

 過渡的な措置として、プレステ用新品ソフト、その他のゲーム機用の中古ソ
フトを扱う新業態を開発。新業態の店はゲームソフトに加え、音楽CDや書籍、
パソコン用ソフトなどをそろえた複合店で、立地条件に応じて売り場面積が
異なる二つのタイプの店を使い分けていく計画だった。

 プレステに賭けた山崎社長の読みは、ある意味で的中した。SECが参入し
てからわずか2年で、家庭用ゲーム機の7割近くがプレステになったからだ。

 ☆誤算☆
 中古ソフトの需要はプレステでも依然根強かった。プレステ用ゲームソフト
は平均4,500円で、スーパーファミコン用ソフトよりも2~4割ほど安いが、
ゲームソフトを頻繁に購入する子供たちはプレステでも安い中古ソフトを
好んだ。

 中古ソフトへの依存度が高い従来タイプの店は、プレステの中古ソフトを
扱わないと、経営が成り立たなくなってきた。それでも、加盟店にプレステ用
中古ソフトの扱いを禁じ、音楽CDや書籍などで利幅が取れる新業態店に切り
替えるよう口説いて回った。

 しかし、新業態の初期投資にかかる4,000万円と、値引き販売による粗
利益の減少(20%を切る)と、返品の禁止(不良在庫を中古として安く売る
ことも禁止)が足を引っ張った。

 ☆解説☆
 業界関係者はこう解説する。「ブルートはSCEに依存しすぎた。買掛金など
SCEへの負債は他社の10倍近くもあった。中古ソフトを扱うことで、SCE
との関係が悪化することを恐れたのだろう」。

 実際、SCEはある段階まではブルートを支援していた。98年3月から支払
条件を現金から80日サイトの手形払いに変更し、実質3ヶ月の支払猶予を
ブルートに与えている。しかし、SCEに頼り続けるブルートを加盟店オーナーが
見切った。相次ぐ脱退に278店あった加盟店は、半年間で141店まで減少
し、加盟店向けの売上が激減した。あわてて社員の削減、直営店の売却などの
経費削減に努めたが、売り上げの落ち込みを補えなかった。

 「山崎社長をはじめブルートの幹部は真面目で熱心だった。ソフト販売店の将
来について真剣に考えていた。だが、理想に走りすぎた。明日のメシ代をどう
稼げばいいのか示せない経営者には、誰もついていかない」。

 ブルートの看板を外し、プレステ用中古ソフトを扱う他のチェーン店に鞍替え
した元加盟店のオーナーはこう話す。 END

【データ】
負債総額…80億円
社長について…ニュービジネス協議会「ヤングアントレプレナー(若手起業
家)賞」受賞
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