~*卒業TIME*~

~*卒業TIME*~

2006.07.01
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カテゴリ: *※小説1※*
海はエジプトの空港にいた。ここに櫂がいる。やっと会える。海は悠から貰った住所を手にタクシーに乗た。こっちの言語はわからないけど、悠が紙に書いてくれたのでなんとかなった。そして、櫂のいる所へ向かった。
「ここに、櫂がいるんだね。」
やっと会える。数時間でも会えないのが寂しい。一緒にいたい。最後まで―
そして、到着。大きな事務所みたいなところ。
「櫂!」
叫んだ。とにかく叫んだ。誰も知り合いのいないこの地で櫂、ただ一人を探す。
「君・・」
後ろを振り向くと日本人の男性が立っていた。
「櫂君に何か用が?」
櫂のことを知っているらしい。
「私、櫂の彼女です!櫂に逢いにきました。」
「そう、案内するよ。櫂君がいるところへ。」
「ありがとうございます。」
早く、櫂に逢いたい。
そして、早速事務所の中に入った。
「自己紹介が遅れたね。僕は櫂君の父、悠の友達で、飯田と言います。こっちで古代遺跡について調べています。それで、この間悠から連絡が来て櫂をそこに置いてほしいって。僕も櫂君の夢は知っていたし、残り少ないってことを聞いて・・。櫂君は頑張っているよ。僕の手伝いをいろいろしてくれて。」
飯田は少し悲しげに言っていた。
「そうですか・・。」
「君がここに来た理由は知っているよ。実は悠から聞いていたんだ。櫂の知り合いの子が行くからよろしくって。海ちゃんだよね。」
「はい。」

「櫂君、」
「友達が来たよ。」
櫂は椅子に座っていた。
「海・・。」
「櫂」
「なんで・・?」
私は櫂のもとへ駆け寄った。
「突然行くなんてひどいよ。なんで、そんなことしたの?」
「・・・」
「私は櫂と一緒にいたかったのに・・・どうして、連れてってくれなかったの?」
「・・・」
「海、外で話そう。飯田さん、ちょっと行ってきます。」
「あぁ。」

「海、俺は海にこれ以上迷惑は掛けられないから・・。だから・・」
「何言ってるの?迷惑なんて・・水臭いよ!ずっと一緒にいるって決めたのに・・。」
「俺は!夢、叶えたくて・・。」
「だったら私も連れてってほしかった。櫂のこと好きだから。愛してるから。」
「海・・・」
「このまま櫂と一緒にいなかったらもっと苦しい。」
「・・・」
「みんなだって悲しいし苦しい。」
「俺は・・」
「櫂の気持ちもわかるよ。夢を叶えたいって気持ち・・。でも、私は夢よりも櫂を選ぶ。櫂のやったことが間違いとかじゃなくてただ・・私も選んでほしかった。誓ったはずだよ。最後まで一緒にいるって。」
「海・・・。」
「櫂君!」
「飯田さん。」
飯田さんは二人の所にきた。
「櫂君、日本に帰りなさい。」
「え・・?」
「本当は帰りたいと思っていたのだろ?仕事をしているときも海ちゃんのことばかり考えていたのだろ?」
「・・・」
「帰ったほうがいいよ。本当は夢なんてどうでもよくなったんじゃないのか?」
「櫂?」
「本当は・・・・帰りたかったです。みんなに、海に会えないのが苦しかった。辛かった。海が来てくれたときものすごく嬉しかった。」
「じゃぁ、帰りなさい。チケットあるから。」
飯田さんはこうなると思って用意していたのだろう。
「はい。」
櫂に迷いはなかった。海は嬉しかった。でも、櫂の残りの時間はもう、ない。

二人は空港へ向かい、飛行機に乗った。
「海・・愛は産まれた?」
「何、言ってるの?まだだよ。」
「そっか・・俺、愛見れるかな?」
「見れるよ。名付け親でしょ?見なきゃ駄目だよ。ちゃんと、『愛』って呼んであげて。」
櫂は何も言わなかった。
「気分悪い。」
櫂の顔色が悪くなっていた。
「櫂?大丈夫?」
「ちょっと、寝る。」
「えっ?」
恐かった。寝ることが死ぬことになるではないかと。
「大丈夫だよ。俺はまだ死なない。眠くなっただけだから。」
そう言って櫂は寝た。海は櫂の息を常に確かめた。寝息が聞こえるたびに安心した。
何時間経ち、やっと日本に着いた。
「櫂、日本だよ。」
声をかけても櫂は目を開けない。
「櫂、櫂。」
体を揺らしたが反応がない。乗客員の人たちはぞくぞくと降りていく。
「櫂!」
「んっ」
櫂は目を覚ました。よかった、よかった。しかし、櫂は自分で立ち上がることができなくなっていた。いろんな人の力を借りて、櫂を運ぶことができた。そして、タクシーに乗った。
「○△□病院まで、急いでお願いします。」
「櫂、もうすぐで病院だから。」
「う・・み・・・あ・・り・が・とう。」
小さな声で声を絞り出していた。
「俺・・う・・みに・・出逢えて・・よかった。」
「櫂?」
「海の・・・こと・・好きだよ。・・愛・して・・る。」
海は涙を流した。もう、櫂は・・死んでしまう・・。
「クリスマス、倒れたりして・・ごめん。も・・っと一緒に・・・いたい・・よぉ・・。」
「うん」
「俺は・・あな・・たの・・こと・・が・・・好きです。」
「私も、櫂のことが好きです。櫂と出会って幸せでした。櫂と出逢ったことで私の人生は幸せになれました。いろんなことがあっても櫂と一緒にいれて・・・幸せでした。」
櫂は私の肩に頭を乗せ、ゆっくりと息をしている。
「もっと、一緒に・・・いたかっ・た。俺・・夢・よりも大・・切なこと・見つけた。それ・・は・・愛だ・よ。海・・と出逢って・それ・見つけた・・。あり・・がと・う。」
「う・・ん・グッ。」
「もっと、もっと伝えたい・・・ことあるけど・・時間・ないね。愛に愛情、たくさん・・注いであげて。俺の・・分まで・・。」
「うん・・」
「あ・・りがとう・・。海・・」
櫂はゆっくり目を閉じた。海は見えないようにしていた。涙で隠していた。ただ、寝ているだけなんだ。そして、数分後病院に着いた。櫂はもう、・・海は櫂を背中に背負った。病院の中に入るとみんながそこにいた。たぶん、飯田さんが連絡をしたのだろう。
「海・・・。」
「櫂、病室に運ぶからみんな手伝って。」
みんなはわかっていた。櫂が・・・死んでいるということを。

ベッドに寝かした櫂は静かに寝ているようだった。





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Last updated  2006.07.01 14:01:12
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