ぬちぐすい。

ぬちぐすい。

信心深い二人




~ 信心深い二人 ~



おととしのお正月。
ある男の子と女の子は
違う日に 違う場所で 違う時間に
同じ事を神さまにお願いしていました。

「あの人と両想いになれますように・・・」



去年のお正月。
また 男の子と女の子は
違う日に 違う場所で 違う時間に
同じ事を神さまにお願いしていました。

「あの人と両想いになりたい・・・」




そして 今年のお正月。
また 2人は違う日に 違う場所で 違う時間に
同じ事を神さまにこう拝んでいました。



「神さま あの人のことを想い続けて3年目・・・
毎年 神さまにお願いしてきました。
けれども 未だに両想いになれないということは
もう あきらめろ・・・って ことなのですね」



「わかりました・・・。決心します。
あの人のことあきらめます・・・」





天でそれを聞いていた神さま。
びっくりして飛び上がってしまいました。




神さまは この2人を 今年 結びつけようと考えていたのです。


去年までは 2人とも少し幼すぎたので 今年まで待ち
四月の桜が満開のころ二人を・・・と
いろいろと考えを巡らせていたのです。




それがそれが・・・
「どうしてこうなっちまったんだ・・・」




神さまは困り果て 二人にもう一度
「両想いになりたい」と思うように 二人の心に呼びかけました。





すると・・・




女の子は「私って駄目な女ね。
あの人のことは忘れることにしたのに・・・」と
好きでもない男の子と あの人を忘れるために付き合い始めました。





男の子は「僕は駄目な男だ。雑念を取り払わねば・・・」と
猛勉強を始めました。
あの人への想いを断ち切るために。





桜



そして 四月。
桜の満開のころ・・・





女の子はいつしか本当に相手の人が好きになり
幸せな日々を送っていました。



男の子は猛勉強のおかげで
とても難しい大学に合格することができました。









神さまのため息が・・・
桜の花びらを舞い上がらせました。







END





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