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幽霊がでる家で暮らす黒人一家の所にビラヴドという少女がやってくる話。鞭でひどく打たれて農園から逃げ出し、白人につかまって子供を奴隷にするくらいなら自らの手で殺すことにしたセサの悲劇を通じて、財産として家族が売られ、リンチで仲間が殺され、逃亡して夫と離れ離れになる黒人奴隷にとっての家族観や愛情の有り方を良く表現している。幽霊が出る家に住んでいるという現在に対して、突発的にセサやポールDの過去のエピソードを織り交ぜていて、出来事の時系列や人間関係を理解するのに読解力がいるものの、理解するのに苦労する類ではなく、複雑であるがゆえに面白い。★★★★★
2008.10.22
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母と妹と3人で暮らしている少女がキックボクシングをしている少年と知り合う話。プロットは単調で伏線もなく、物語論的な面白さはまったくない。物語は恋人候補とただ知り合っただけで終わり、主人公自身が悩んでいるわけでもないのですったもんだもオチもなにもなく、父親違いの妹がいるという背景を小説の材料として生かしきれていない。若者を主人公にすれば無条件で青春物語になるというわけではなく、ただ誰某が誰某と会って何処其処で飯を食ったというのを書いただけでは小説として表現するべきことを何も書いていない。唯一見所があるとすれば等身大の女性の日常を書いたという一点だけだけれど、動的な描写のみで文体が構成されていて、主人公の思考を直接的にも間接的にも描ききれていない点でリアリティに欠ける。大人でさえ底が浅く幼稚にみえて、ままごと的世界の粋を出ない。★★★☆☆
2008.10.22
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表題作を含む怪談の短編集。一人称で過去の不思議な出来事を回想する構成で、一人称ゆえのリアリティはあるものの書き方が三人称的で、ナラトロジー的に語り手の立ち位置が中途半端なのはよくない。出てくる幽霊というのは人に害を及ぼす悪霊の類ではなく、かといって善人ばかりが登場するわけでもなく登場人物の性格の悪さも書き出しているがゆえに怪奇現象によって起きる人情が引き立っているのはよい。個々の短編としては簡潔にまとまっているものの、短編集なのにすべての短編の構成がワンパターンなのは飽きる。★★★☆☆
2008.10.15
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家庭教師をしている子供に使用人の幽霊が現れる話。家庭教師の手記という形式で進行するものの、家庭教師の存在が怪談の語り手としても物語の主人公としても中途半端で、描写に客観性が欠けているために子供が幽霊にとりつかれたというより家庭教師が勝手に幽霊のせいだと勘違いして大騒ぎしている印象をうける。子供が幽霊にたぶらかされてする悪戯というのが夜中に庭に出たり手紙を盗んだりするくらいで、幽霊は関係なしにそこらの悪餓鬼なら普通にやる程度。現代の価値観からするとホラー小説としては全く怖くない。★★★☆☆
2008.10.15
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鉄を中心とした金属の原子、製造、加工などについて書いた本。基本的な部分を広く浅くわかるのはいいけれど、その先の専門的な部分に興味を持っても情報量が少ないのが残念なところ。特殊鋼は種類が多く性質が多様なのに説明が少なく、どの原子を混ぜるとどう性質が変るのかもう少し詳しく書いて欲しい。★★★☆☆
2008.10.09
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著者が仕事で会った外道たちに困る話。外道というほどの極悪人は出てこず、変な業界人に対する愚痴を誇張して延々と述べているだけのオチの無い話だけれど、単なる愚痴をユーモラスに演出していて、他人の愚痴に付き合わされる疲労感がなく軽快な読み物としてまとまっている点はよい。★★★☆☆
2008.10.09
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王の甥のトリスタンが王妃のイズーと禁断の恋をして国を追われる話。トリスタンの冒険譚は変装したり、策略をめぐらせたりしてプロットが豊富で面白いものの、イズーの性格の悪さによるすれ違いの数々が悲劇的な恋愛を滑稽なものにしている。現代的価値観でみるとトリスタンの命がけの冒険とイズーの恋愛の軽薄さがかみあっていない。★★★☆☆
2008.10.07
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著者と両親について書いた一人称の自伝的小説。章の冒頭に出てくるポエジーな言い回しは物語から浮いていて、批判の矛先も一定せず散漫で、尚且つ最後にはまったく出てこなくなるという中途半端さ。はじめからやらないほうがましで、小説ではなくエッセイとして分けて書くべき。著者は母親には愛情を向けていても他人に対しては容赦ない憎悪を向けており、心温まる愛情の物語としてこれを書いたならテーマからも著しく脱線している。著者は医者や看護婦や葬儀屋が死に慣れすぎている対応だと批判しているが、他人の死に家族と同じくらい悲しんでいたら毎日患者を看取っている医者が精神的におかしくなる。医者や看護士も自分の家族があり日々の悲しみをやり過ごさないといけない。そういう他人の感情を理解しないくせに、自分の母親の死に対して感情移入しないことを不誠実だと責めるのは矛盾していると自覚していない。オカンの死というクライマックスで作者の視点の偏向が小説の客観性を損なっていて、それまでのオカンエピソードの伏線の積み重ねが台無しになっている。感情を書き連ねればいい小説になるものでもない。★★★☆☆
2008.10.07
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カルメンというジプシー女に恋をした山賊の話の表題作を含む短編集。物語そのものは誰かを殺したり略奪したりという派手なテーマだけれど、捕らえられた山賊が自分の恋を延々と語るという形式で、話に強弱がないためにナラトロジー的に退屈する。有名な表題作よりも他の短編のほうが簡潔で読みやすい。最後に死を持ってくるというのは短編としては効果的な手法だが、構成がワンパターンで物足りない。★★★☆☆
2008.10.03
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夫と娘が事故死し、唯一の肉親の孫娘に家を出て行かれた老婆の話。孫に日記を書き残すという形式で物語が進行していき、「誰が誰に対してなぜ書くのか」という作者と読者の関係性を明らかにすることで、一人称の小説のリアリティの根幹部分を技術的にうまく処理していてよい。年齢の違いによる反発、家族ゆえの似通った部分が物語にコントラストをつけていて、日記という文体にもかかわらず単調にならず、尚且つストーリーに人生観やポエジーをも織り交ぜて物語に深みを出している。娘が革命に入れ込んで男にだまされたり、本当の父親は某というくだりはエピソードとして月並みで目新しさがないのが玉に瑕。★★★★☆
2008.10.03
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漢方で失恋からくる病気を治す話。タイトルと内容がミスマッチで、恋愛小説を書きたいのか漢方をPRしたいのかよくわからない。友人の誰と誰がくっついたという世間話の粋を出ない文体と内容で文彩もなく、プロットも単調で見所がない。主人公の漢方の医師への片思いもそっけなく空振りして、恋愛小説としても書き方が不十分。幼稚な思考の主人公よりもうつ病のさっちゃんのほうがむしろ漢方で病気を治すテーマとしては適役。★★★☆☆
2008.10.03
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