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商社を辞めて独立した社長とその家族の話。90年代の失われた十年をテーマにしているけれど、終わった出来事の回想として書かれているために物語に臨場感に乏しく、また渋谷で大麻でうんぬんという若者像に対する認識も浅い。また、主人公のおじさんの存在だけが浮いている。おじさんが監禁されてセックスにふけるエピソードが一番小説らしい部分といえるけれど、それが他の物語のプロットと連動していない。あとがきで出版にあたって編集して雑誌発表時とは別の小説になってしまった旨を書いているけれど、大人の事情で枚数を削られてグダグダになったのだろうかと推測する。★★★☆☆
2009.03.27
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視界が白くなって目が見えなくなる伝染病によって精神病棟に隔離された人たちの話。唯一目が見える主人公の様な役割を果たしている。精神病棟の中では人間の極限状態を書いたサスペンスとして面白く、精神病棟を抜け出してからは緊張感がトーンダウンして、涙の犬とか、目隠しされた教会の絵とか、物語前半より寓意性が高まる。目が見えないことにより見えてくる人間の愛情や残虐さなど、この物語ならではの表現力があるのがよい。★★★★★
2009.03.25
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王女サロメが恋した預言者に無視されて殺す話。大げさな比喩と悲劇的予言がものものしい雰囲気を醸し出し、サロメの恋愛の狂気が際立つのはいいものの、だからなんなんだといいたくなる。他の「ウィンダミア卿夫人の扇」と「まじめが肝心」のほうがプロットは面白いものの、本当の親はうんぬんというワンパターンな結末は飽きる。★★★☆☆
2009.03.25
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欲張りでケチな父親が息子の恋人と結婚しようとする話。父と息子とその恋人、娘とその恋人という二つの恋愛を軸に話がすすんでいくものの、最後に娘の恋人の本当の親がでてきて結婚式の金を払って解決というのはあっけなさすぎる結末。コメディとしてはそれなりに面白いものの、人生に不可欠なテーマを表現しているわけでもなく内容は浅い。★★★☆☆
2009.03.25
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不仲の夫婦が停電の夜に秘密を語り合う表題作とその他の短編集。人物の背景を語りすぎず、料理や部屋の中の仔細を描写して日常の一場面を切り取ったように描く巧みな文体は物語に臨場感があってよい。舞台はアメリカで夫婦という普遍的テーマを取り上げているけれど、登場人物がインド人なので普通の欧米の小説にはない話題の珍しさも面白い。★★★★☆
2009.03.17
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釣りと絵を描くのが好きな少年と耳が聞こえない少女の恋愛の話。基本的に動的な描写のみで物語が書かれて文彩に乏しいものの、東北弁のおかげで他の小説と差異化できている。物語は自然の中で少年少女が笑う、という典型的ノスタルジーの一本調子で展開し、伏線もなく予想通りの結末に終わる。全体的に小説展開の技巧が足りないものの、田舎の話としてごまかされている感じがする。作者がこうしたい、という意図通りには書けているだろうが、そこまで止まりの表現力。小説でなければ表現できないことを書いたとはいえない。★★★☆☆
2009.03.17
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盲目の天才美人三味線奏者春琴と世話をする佐助の話。生きている人物を描写するのではなく、死んだ人物についての伝聞を元に作者が登場人物の内情を推測していく文体。春琴の性格の激しさゆえに一層生き生きとしてみえるのがよい。★★★★☆
2009.03.12
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ニヒリスト青年医師バザーロフの恋愛と親子仲の話。すべてを否定し、自らの死をも否定するバザーロフの生き方が印象的でよい。父と子の世代間の価値観の違いもよく描けている。主人公がニヒリストな割には物語自体はニヒルというよりもロマンチックな印象。ただ主人公がニヒリストというだけでなく、ヘミングウェイの文体のように描写レベルでニヒルを醸し出せたらもっと完成度が高い小説になったと思う。★★★★☆
2009.03.12
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突然心当たりの無い裁判にかけられることになった銀行員の話。章ごとに逮捕や弁護士といった裁判に関するエピソードを書いていく形式で、主人公は裁判で不利な形成だというのに女を追いかけていて、主人公が何を考えて行動しているのかよくわからないうえに裁判の内容もわからないので共感のしようがない。カフカ的ではあるけれど、未完成ということもあって読み物としては中途半端。★★★☆☆
2009.03.06
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