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出張朗読の仕事をはじめた主婦の話。一人称で、教授への相談と朗読の仕事が繰り返される構成。本の内容と朗読を聴く人物の行動がリンクして騒ぎが起きるというアイデアを書いただけの話で、主人公は猿回しとしての存在意義しかない。テーマを掘り下げるわけでもなく、話の終わり方も唐突で完成度は低い。★★★☆☆
2009.09.30
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酒好き過食嘔吐のフリーライターの女性が行きずりのトラックに乗る話。一人称による文体。頭の中でもう一人の自分の声が聞こえるところでは「意識の流れ」を使ったほうが自然なのに、一人称に固執して説明臭くなってしまうのは技量不足。「知覚」「近く」など言葉の言い換えや聞き間違いも多用しているが、さほどプロット上の効果を出していない。病んだ語り手の自分語りにしても、語りが壊れきれておらず、時折作者の意図も垣間見えて、毒舌もユーモアも中途半端な印象。また語り手が饒舌な割には自己への言及が足りず、一人称という構成の利点を生かしきれていない。★★★☆☆
2009.09.28
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少年が高校を中退して子持ちの恋人と駆け落ち同棲する話。「ぼく」の一人称の文体で、主人公の視点で物語が語られる。一人称の「ぼく」が目立ち、立ち上がりがたどたどしく描写が安定しないものの、中盤以降は仕事と恋と母親への情を回顧する少年の心理がよく書けている。構成はプロットとしては物足りないが、それもリアリズムとして評価できる。★★★★☆
2009.09.28
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大阪の在日バラックに住む老人の話。三人称による文体で、描写は短く簡素なものの、形容詞に擬音を使うクセが目立ち、意図せずして卑しさが強調されている。下ネタや在日社会の人間関係にリアリティがあるのはよい。しかし出来事が並列的で必要以上に登場人物が多く、話の掘り下げと出来事のつながりが浅くなっている。プロットとしてはよく構成されているものの、内容はソバンを書きたいのか、在日コミュニティを書きたいのか、中途半端な印象。★★★☆☆
2009.09.25
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黒人女性の結婚の話。一人称の手紙の形式による構成。手紙のわりに語りに手が込みすぎているところは逆に手紙としてのリアリティを損ねているものの、妹からの手紙が夫によって隠され、本当の父親がわかるあたりはプロットとしてうまく機能している。男性本位の結婚からレズビアンの失恋を経て、女性が自立して男女の共生を見出すという止揚と妹との再会がうまく大団円になっていてよい。★★★★☆
2009.09.24
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名刺が革命を起こして名前を奪う話。主人公によるですます調の一人称「ぼく」の文体。短編ならまだしも途中から話がだれてくるし、単調なですます調の描写に飽きてくる。プロットが収束しないまま終わるのも釈然としない。★★★☆☆
2009.09.24
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80年代に書かれたエッセイ。ブスをけなしたり、かわいい女を礼賛したり、トピックは目を引くけれど中身を伴っていない。オレがそう思うからそうなんだと一方的に主張するだけで論駁もなく、さらには作者が書きながら混乱しているのだから説得力がまるでない。★★☆☆☆
2009.09.24
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エッセイのような、である調の一人称の文体。旅行記、狂った王女の話、スペイン内戦の話、それぞれ話題としては面白く語り口もよどみないけれど、聞き語りの形式で迫力や臨場感が足りないのが残念なところ。★★★☆☆
2009.09.24
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外人が恋愛したり失恋したりする短編集。現在→過去(なれそめ)→現在という構成はワンパターンで飽きるので、もうちょっと構成に工夫がほしいところ。ストーリーは誰がなにしたという動的な描写と会話で簡潔に構成されていて、一人称や三人称ならではの描写もなく、文体には無自覚な印象。日本語の表現にカタカナのルビを振るのは実際の会話を日本語に翻訳したようなリアリティを出す一方、スラングを強調するあざとさが感じられてリアリティを損ねる。他人の恋愛を覗き見るのはエンタメとしては十分面白いけれど、そこから先の人生観の表現にまでは至っていない。★★★☆☆
2009.09.17
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受験生たちが女子寮で失恋やらなんやらをする話。登場人物ごとに4章に分かれて、各話の冒頭が自己紹介のような一人称で、その後三人称になる文体。一人称と三人称で描写の視点に変化がなく、「私」が登場人物の名前に変わっただけ。性的描写も身体的なリアリズムに至らず、テーマの追求が中途半端な印象。また章ごとに主人公を変えたことが裏目になって、描写レベルでの人物の書き分けができていないことを際立たせてしまっている。工夫しようとしているのはわかるけれど、描写技術が足りずに全面的に失敗している。変化球を投げようとして握り方を変えたけどスローボールしか投げれないような感じ。結局オーソドックスな青春物語になるんだったら、はじめからストレートに表現したほうがよいと思う。★★★☆☆
2009.09.17
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社会から批判されたルソーが各地を転々としながら夢想した話。随想なのか自伝的恨みぶしなのか中途半端な感じで、ルソーの背景をしらないと楽しみどころがわからない。★★★☆☆
2009.09.16
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アイヌ地方で難破して食人した船長の話。ですます調の一人称から船長の食人事件の戯曲へと変わる構成。一人称が説明臭くて心理描写も無いので一人称である必然性があまりなく、むしろ三人称でよいと思う。事実を基にしながら、ひかりごけを使って物語を小説的に昇華させているのはよい。他の短編も見所があるが表題作より劣る印象。★★★★☆
2009.09.16
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文学賞の受賞者を予想・批評した本。文学賞の選考委員を小ばかにした批評が面白く、ゲストの島田雅彦の話も面白い。ただの辛口批評として終わらず、小説家の背景を知るという芸能界のスキャンダル報道の様な楽しみ方も提供しているのがよい。ただし話題に出ている小説をあらかじめ読んでいないとつっこみの面白さが半減する。★★★★☆
2009.09.16
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コインロッカーに捨てられた二人の子供が育って殺人をする話。養子に引き取られるまではそれなりにリアリティがあるのに、上京して話が進むにつれてリアリティがなくなり、マンガ的になっていく。挿話として語られるダイバーの話の方がリアリティがあって本編の主人公たちより面白いという本末転倒。構成は各人物の話を交互に描いていくやり方だけれど、アネモネは唐突に出てきて不自然な印象。ヒロインのような扱いだけれど、ハシとキクの間のつなぎのような存在感しかない。テーマは暴力だけが強調されすぎて飽きる。キクはシラフで殺人をしているのに、いまさらダチュラに頼る必然性はあるのだろうかとオチも疑問に思ってしまう。暴力に対するアンチテーゼもなく、キチガイが殺人して終わりというのは肩透かしをくらった気分。暴力を書くならダチュラを使った後の世界こそ書くべきで、孤児をテーマにしたいのか暴力をテーマにしたいのか中途半端。★★★☆☆
2009.09.14
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ホラー短編集。たいてい一人称「おれ」による文体で、短編のせいか主人公の書き分けができてなく、どれも似たような人物なのが残念。各短編の構成は明瞭で、政府やNHKへの批判を内容に盛り込んでいるところは良い。★★★☆☆
2009.09.14
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鉱物学者が火山に入って地球の中心を目指す話。語り手のアクセルは叔父さんに従うだけで、狭い地下ならではの葛藤や団結があってもよさそうなのに、結局強引に丸め込まれただけというのはやや物足りない。★★★☆☆
2009.09.07
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精神薬の飲みすぎで精神病院に搬送されたフリーライターが病院を出るまでの話。主人公の一人称による口語調の文体で、病院の実態を暴くために書いたという名目になっている。ここは物語論として辻褄があっていてよい。キャラ立ちしている、入院から退院までのプロットがはっきりしている、描写のテンポが良くユーモアがある、細かく章を分けていて読みやすい、というのはエンターテイメントとしては立派な出来栄え。しかしプロットありきで話が進んでいく印象で、登場人物もステレオタイプ気味。主人公は精神病院の告発をしたいのか、自分の物語を語りたいのか、焦点が中途半端になっているのはよくない。変な人を出せばその分波乱万丈になって小説を書きやすくなるものの、リアリティがなければ人間軽視でしかない。★★★☆☆
2009.09.04
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無鉄砲な青年が教師として四国に赴任して生徒や教師たちとけんかをする話。坊ちゃんの一人称によるぶっきらぼうな文体。主語が省略されていることが多く、「おれ」が邪魔にならなくてよい。ストーリーとしてはたいしたことは無いものの、印象に残る主人公を描いているのがよい。★★★☆☆
2009.09.03
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江戸時代、伊達家の仙台復興のためにイスパニアに行った武士の話。小説すばる新人賞受賞作に加筆したようだけれど、そのせいか場面の構成と時間の展開が飛び飛びになっていて、序盤は話の焦点が定まらない。である調の三人称の文体は描写というより叙述が多く、序盤のオランダとの戦いでしんがりを務める場面や、雄牛と戦う場面など、肝心のアクションシーンの描写が省かれて後日談として語られているのはつまらない。恋人が出てきてから戦争と恋愛という二項対立の展開が定まり、ようやく安定したストーリーテリングに移行する。主人公はキャラ立ちしているのはよいものの、脇役はくどき上手な相棒、おしゃべりな従者、肝っ玉おかみさんというステレオタイプな印象。主人公に十分ユーモアがあるのに、周辺の人物が演出過剰気味でリアリティを損ねている。★★★☆☆
2009.09.01
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