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若い女性が恋したり別れたりする短編集。女子高校生や女子大学生の主人公の一人称。取り繕った自分語りで汚い部分は見せないで美化した過去を語るので、失恋の痛手も再出発の決意も薄っぺらい。恋愛、セックス、フランス的なもの、失恋からの再出発という記号を適当に詰め合わせてパターンを変えただけのインスタントくささが鼻につく。物語の構造も過去形の自分語りにしてしまったことで緊張感がなくなって予定調和的になっている。見かけだけきちんと仕上がっていても中身がない。芸術家の魂が入っていない。恋愛小説というより安っぽい恋人ごっこにセックスシーンを加えたオシャレポルノ。オシャポルと呼ぶことにする。★★★☆☆【送料無料】ドイツイエロー、もしくはある広場の記憶価格:420円(税込、送料別)
2012.05.23
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詩の批評の役割やあるべき姿、伝統や宗教と批評との関連などについての論文集。特に難しいことが書いてあるわけでもなく読みやすいものの、思想や論旨の裏づけが乏しく各話題の掘り下げが浅い印象。個人的に面白かったのは「快楽のための読書」が知らぬ間にやすやすと感化をもたらすと言っている点。エリオットは芸術が読者に宗教的な感化を与えるべきだという保守的な芸術観をもっているわりに、ロラン・バルトよりもずいぶん前に読書の快楽について着目して、「快楽だけを目的にして」受身で読むのが現代文学だとみなしていたのは面白い。ただこの主張についても主張の展開が不十分で根拠が乏しいのが残念なところ。★★★☆☆【送料無料】文芸批評論第15刷改版価格:630円(税込、送料別)
2012.05.23
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ばかものの青年ヒデが失恋したりアル中になったりする話。三人称の中に主人公の一人称が混じる文体。冒頭で額子に木に縛られてからどうなったのかが書かれないまま次の章で別の話に飛んだりして物語のつながりがわかりにくい。そのうえ物語内の時間の流れが速くいうえに一行空きが多く、各エピソードが描写不足でスカスカに感じる。プロット自体は挫折を乗り越えて立ち直るという健全な物語で、丁寧に仕上げていたらそれなりに面白い小説になっていただろうけれど、物語の肉付け不足で最低限のストーリーだけをつなぎ合わせた未完成作品を読んでいるような印象。時間をかけて仕上げてから売ってほしかった。★★★☆☆【送料無料】ばかもの価格:420円(税込、送料別)
2012.05.16
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足の親指がペニスになった女子大学生が盲目の作曲家男性とともに<フラワー・ショー>というセックスパフォーマンス集団に加わって巡業する話。三人称。友人から聞いた話を小説家Mが書いたという体裁になっているものの、そういう体裁にしたところでリアリティが増すわけでもなく蛇足気味。冒頭は見知らぬ人間との出会いで物語の緊張感を保てているものの、<フラワー・ショー>に加わってからはポルノシーンの連続であるにもかかわらず緊張感がなくなってだれる。そのうえ中盤以降は主人公の話でなく<フラワー・ショー>のメンバーのいざこざのぐだぐだした話になり、主人公が親指Pをどうしたいのか、物語の焦点がはっきりしない。物語が無駄に長いわりにオチは頭を打って目が見えるようになってめでたしめでたしというご都合主義的展開で、プロットもよく練られていない。同時代性を表す言葉が「ファミリー・コンピューター」くらいで、当時の性風俗の状況を繁栄するような描写もなく、ホモ、ヘテロ、バイセクシャルというそれぞれの存在が同時代にとってどういう扱いなのかもよくわからない。あとがきで作者が言っている通り『ナチュラル・ウーマン』のほうが遥かにいい出来栄え。作品が発表された同時代に読んでいれば男根主義への問題提起をしたという意義を感じられたかもしれないのだろうけれど、物語自体が面白いわけでもなく、作者のファンでもない限り現代に読み返す意味はなさそう。★★★☆☆
2012.05.16
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精神病を隠してタクシーを運転する男が別のタクシー運転手とタクシーを交換して別人のふりをしながら別居中の妻の交際相手と会う話。三人称。描写は多すぎず少なすぎず、ストーリーの肉付けに適切な量で読みやすい。きちんと取材をしているらしく、道路の状況やタクシー運転手の勤務事情などの細部にリアリティがあってよい。プロットもタクシーを交換することによってスリリングになり、いろいろ事件がおきるので飽きないで読める。悪い点としては、主人公が30歳にみえない。タクシー運転手は老けるのが早いと描写しているものの、それでも会話の内容やら立ち居振る舞いやらが40代の話のように見えて、こんな30歳いるだろうかと疑問に思う。それから主要な登場人物に健全な人間がいないのも物語の魅力を損なっている。ハードボイルド好きなら問題ないだろうけれど、病んだ人間が暴言を吐いてばかりで、読んで楽しい物語ではない。安易に殺人とか自殺とかの結末に至らないのはよいものの、安易に暴言を言うのはよくない。会話文も癖があり、「ねえッ、もういい加減にしてッ。いい加減にしてよッ」とかの「ッ」の多様が昭和的で古臭い。いろいろ欠点もあるものの、エンタメとしてはよくできているほう。★★★★☆【送料無料】箱崎ジャンクション価格:690円(税込、送料別)
2012.05.05
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