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脳が飛び出して産まれてきた子供の衰弱死を願う若い父親の鳥(バード)が現実逃避して女友達とセックスしたりする話。三人称。文体は描写に富んでいて、生涯を持って産まれた子供をアポリネールにたとえたりするという面白い比ゆもあって、純文学としては読み応えがある。しかし女友達とセックスにふける部分は中だるみして退屈するし、駆け落ちしたデュルチェフさんを探しに行くくだりは脱線気味で、物語自体はたいして面白くない。自分の子供を自らの手で殺すかどうかで悩だ末に個人的な夢をあきらめて大人になるという過程を表現しているのは良いものの、最後に子供を助けようと心変わりするのが唐突で、それまでのプロットはなんだったのかという腑に落ちない感じが残る。最後の章が必要かどうかという点については必要だったのだろうと思う。最後の章がなければ序盤で不良にゲーセンで絡まれるというくだりがプロットとして効かせることができないので、仕込みが無駄になってしまう。★★★★☆【送料無料】個人的な体験 [ 大江健三郎 ]価格:500円(税込、送料別)
2012.11.26
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黒人女性ヤスミンの血液中に謎の知的生命体が住み着いていて人種差別主義者をこらしめる話。謎の知的生命体(たぶん雄)の一人称。謎の知的生命体の視点から人間を見ることで人間を動物として異化して人間らしさとはなんぞやというのを書こうとする試みなのかもしれないけれど、その謎の知的生命体が万能すぎて人種差別主義者を一方的に罰する勧善懲悪コメディのようなものになっていて、問題が単純に解決しすぎていて物語としての奥行きがない。それに小説と小説の登場人物についての批評を同時に展開されると物語への関心が削がれる上に、読者自身が登場人物を値踏みして人物像を推し量ることができなくなり、物語の解釈が単調になってしまい、この謎の知的生命体の一人称にしたメリットよりデメリットのほうが大きい。そのうえ謎の知的生命体が一貫して物語の主人公というわけでもなく、謎の知的生命体を差し置いてヤスミンの物語が進行していたりするので、この謎の知的生命体の存在感も中途半端。謎の生命体がヤスミンの体に住み着いて何をしたいのか動機も目的もわからず、ヤスミンのまわりでセックスや人種がらみのいざこざが起きるだけで一貫したプロットもなく、物語の先を読み進めようという好奇心が沸いてこない。原稿用紙千枚の長編小説というよりも一章あたり三十枚の連作短編集という感じで、本が厚い割りに短編小説としての読み応えしかない。★★★☆☆【送料無料】アニマル・ロジック [ 山田詠美 ]価格:860円(税込、送料別)
2012.11.26
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