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2015.01.23
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カテゴリ: 小説
表題作とその他の昭和30年前後ごろに書かれた短編集。

「楼蘭」は漢と匈奴に侵略されていた小国楼蘭がゼン(善+おおざと)善に移してかつての故郷楼蘭を奪還しようとするものの楼蘭は砂漠に埋まってしまい、20世紀になって発掘される話。小説というより歴史の説明書という感じで、ひとつの国の数百年の歴史を短編でまとめるのに無理があり、場面がほとんど展開せず説明に終始する。楼蘭という国について描いたというだけで、楼蘭人を十分に描いたとはいえない。

「洪水」は漢の部隊が洪水に飲まれる話。河が氾濫するのは河に悪鬼がいるからだと河を攻撃するあたりがわけわからん。

「異域の人」は匈奴を討伐した漢の班超の生涯の話。ふつうの伝記。

「狼災記」は部隊を帰路につかせた陸沈康が他種族の女と七夜契って狼になってしまい、二人の契りを見た張安良を襲う話。変身した後に旧友に会うという展開は「山月記」に似てるけれども中国を舞台にして怪談っぽく仕上がっている。

「羅刹女国」は男に尽くす代わりに男が心変わりすると食ってしまう妖怪みたいな羅刹女が住む島に難破した船がたどり着く話。最初に羅刹女は男を食うのだと説明してしまったせいで、島民が次々と消えていく事件が読者にとってサスペンスにならず、怪談としての演出方法が間違っている。

「僧加羅国縁起」は王女が虎と結婚したものの子供が連れ去り、村を襲う虎を息子が退治する話。玄奘三蔵の大唐西域記に紹介されている話だそうな。創作じゃなく古典翻訳みたいなものだろうか。

「宦者中行説」は漢と匈奴の和睦のために老上単于に漢の女を嫁がせる役に選ばれた中行説がそのまま匈奴に重用されて漢を攻めた話。ふつうの伝記。

「褒ジ(女+以)の笑い」は美人だけど笑わない褒ジが周の幽王の後宮に行くことになり、褒ジの機嫌をとるために度々烽火を上げていたら、敵が攻めてきて烽火をあげても兵士が来なくて褒ジが笑う話。これも創作というより中国の逸話を日本語で書き直したものらしい。

「幽鬼」は光秀が本能寺の信長を襲撃しようと進軍していると自分が滅ぼした波多野一族の武士の亡霊を見て殺される話。肝心の信長討伐の場面が端折られていて盛り上がらない。

「補陀落渡海」は補陀落寺の金光坊が渡海することになるものの覚悟が決まらず、海に落ちて島に流れ着いて助かったところをもう一度渡海させられる話。最後に清原上人について「金光坊にの渡海に同行したこの若い僧のその時の心境がいかなるものであったか、それを知る手懸りは何一つ今に残されていない」という文があるものの、この文章は蛇足。それを言うなら金光坊の心境の手懸りもないのだから、この小説に書かれた金光坊の心境は作者の想像によるフィクションだとわざわざ作者が仄めかす必要はない。

「小磐梯」は田畑測量調査員が磐梯に行ったら磐梯山が噴火する話。一人称で報告する形式だけれども、口調が落ち着きすぎて場面の臨場感がない。

「北の駅路」は知らない人から駅路図を送りつけられて、送り主の作家志望の男が手紙で自分の人生を語る話。で?っていう。

冒頭の表題作がいちばんつまらなくて、他の短編はエンタメとしてまあまあ面白く読めるものの、他の本からエピソードを持ってきたり、どこかで見たことがあるような話を中国風にアレンジしたような感じで、独自性が乏しい。物語が一本調子で、何か出来事が起きて終わりというだけで物語の演出が乏しく、これで終わりなの?という物足りない読後感。昔の作者や読者は小説の完成度は気にせず、珍奇な物語というだけで満足していたんだろうか。

★★★☆☆





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最終更新日  2015.01.23 10:49:23
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