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2016.01.02
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カテゴリ: 教養書
渡り大工として50年以上文化財を修理してきた人間国宝級の宮大工が中世建築について語った本。
大工の道具、規矩術、礎石の仕組み、土壁の強度、軒の美しさを出すための垂木の工夫、蟇股、五重塔や多宝塔の構造、和釘のよさ、木の文化の衰退、現代の建築と中世建築の違い、ゼネコンに雇われて師弟制度がなくなった宮大工業界の厳しい金銭事情、宮大工の元締めの名古屋の伊藤家での大工修行の様子など、建築に興味がある素人が雑学として読む分には面白いものの、広く浅く話題に触れていて全体としての情報量はそれほど多くなく、一時間もあれば読み終わってしまう。話題自体は面白いのでもっと掘り下げてほしいところ。もっと詳しく語れる知識がある著者なのに、さらっとうわべだけ書いて流してしまうのはもったいない。「日本の心と技と美しさ」というサブタイトルがついている割には美について語った部分が少ないので、建築美術について興味をもつきっかけにはなるだろうけれどこの本だけでは物足りない。
著者は政府の予算が少なくてゼネコンにピンハネされて弟子を雇う金もないから弟子を取らないと言っていて、偉い人がこういう姿勢ではいけない。2002年に書かれたようだけれど、就職氷河期の若者余りのときでさえ若い宮大工志望者が弟子入りを断られていたというのだから、若者不足で各業界が基幹人材を取り合っている現代なら宮大工を志望する人はほとんどいないんじゃなかろうか。著者は宮大工は頭が良くないとできないというものの、よっぽど神社仏閣が好きでない限り優秀な建築関係者は宮大工よりもゼネコンに行くだろう。著者は金儲けには興味がないから会社を作らなかったと言っているものの、会社というのは社長が儲けるためだけにあるのではない。頑固ないち職人に資本主義社会での立ち回りを期待するのは無理なのかもしれないけれど、宮大工の知恵を残したかったら素人向けに本を書くよりも若手宮大工への技術伝承の仕組みを整えるべきだろうし、そのために法人化して暗黙知と利益を社員で共有するという選択肢もあったはずである。自分は弟子は取らないから若者は師匠がいなくてかわいそうだけど自分で学んでね、という態度では中世の職人が仕事をとられないように技術を秘密にしてそのまま技術が失われたのを現代でも繰り返しているように見える。語りつぐだけでなくて実際に技術を継承してほしいもんである。

★★★☆☆

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最終更新日  2016.01.02 13:33:05
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