後23キロ痩せるまで~反抗期息子とギャオス姫の奮闘記

後23キロ痩せるまで~反抗期息子とギャオス姫の奮闘記

本当の優しさとは。


早い。
そんなある日、この老人ホームに10代の男の子がすむ事になった。
一体この子はどういう子なんだろう?
少し不安だった。
その男の子の名前はスタンリー・ピッグス。
彼が住む棟からして、そんなに重病患者ではないらしい。
しかし、彼の場合は軽度の言語障害・軽度の脊椎障害があった。
でも、私は彼の本当の障害は自分自身を甘やかしている事だとおもった。
スタンリーは、始めは普通の車椅子に座っていたが、本人は動く努力をしない為に職員の手助けが必要だった。
そこで、電動車椅子を購入したスタンリーの両親。
しかし、それでもスタンリーは自分では、やろうとはしなかった。
幾等、温厚な私でも ブチ切れた。
そして、ある日私はスタンリーをある部屋に連れて行った。
その部屋は、スタンリーの父親よりも年上で、スタンリーよりも重度の障害を持っているウィルの部屋だった。
事前にウィルにはスタンリーのことを、話しておいた。
彼も、スタンリーに会いたいから連れてきてくれと言ってくれた。
ウィルは、ここに自分の母親と住んでいる。
彼の場合は、脊椎の障害と言語障害・・とにかく排泄や食事など全ての事を人に頼らなければならなかった。
私がスタンリーを連れてウィルの部屋へ入ると、ウィルの母親がウィルの通訳をやってくれた。
ウィルは「僕は君が羨ましいよ。そんなに話せるのに、そんなに動けるのに。何でトライしない? 僕は、努力してここまで話せるんだよ。」と言った。
私はスタンリーに「ウィルはあなたの為を思って言ってるのよ。 甘えるんじゃないの! ここにいる人達は あなたよりも重い障害を持っている人が沢山いるの。恥かしくないの?」と言った。
スタンリーは膨れっ面で「自分の部屋に帰る」と言った。
やはり、スタンリーには、ウィルの心は届かなかったのか?
私が、それからスタンリーを見たのは一週間後の朝だった。
それまで 私は自分の棟の患者の事で頭がいっぱいだった。
介護士助手仲間のリズが、私に「スタンリーが自分で電動車椅子を操作しているよ。ウィルの助言とあなたの助言が効いたのね。」と言ってくれた。
とても嬉しかった。
自分で出来るんだと言う事を味わって貰って本当に良かった。
スタンリーから私は「生まれて初めて僕を怒った人」と言っている。
でも、これで 何処の老人ホームに移っても自分で出来る事を見つけたスタンリーなら乗り越えられるだろう。


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