よんきゅ部屋

よんきゅ部屋

Jan 30, 2007
XML
この曲は、ヴァイオリンとヴィオラが1本ずつソロを受け持つ珍しい組み合わせの協奏曲で、有名なものとしては唯一のものである。モーツァルトにはヴァイオリンとヴィオラのために書かれた素晴らしい二重奏曲があるが、その流れに連なる作品であろう。モーツァルトよりも後の時代の作曲家は、室内楽ですらこの組み合わせをあまり用いていないように思われる(ベートーヴェンになるとチェロが加わって弦楽三重奏になる)。

この曲は1779年に作曲されたと考えられているのだが、いつ、どうやって、何のために作曲されたのかについてはわからないようだ(全曲の自筆楽譜が現存しないとか)。ただ、この頃にモーツァルトはパリやマンハイムに旅行をしてきたことから、そこでの音楽に影響を受けたということは推測できそうだ。それは、「協奏交響曲」というジャンルに対してパリで関わりを持ったことからだと言われている。

スコアを見て気づくのは、ヴィオラが半音高い調で書かれていることである。これに対しては弦を半音高くチューニングして対応することになる。そうしている理由はいろいろありそうだ。演奏しやすくするためかもしれないし、弦の張力を上げることで演奏効果を上げようとするためかもしれないが、本来の意図はどうだったのか、謎である。

-------------------------
第1楽章:
堂々とした雰囲気で前奏がスタート。途中きらびやかに、また優しく聴かせながらヴァイオリンとヴィオラのソロがさりげなく登場する。ヴァイオリンとヴィオラが交互に歌ってみたり、同時に寄り添うように歌ってみたり、そしてさりげなく調を変えていく中で、ヴァイオリンとヴィオラが自由に遊んでいるかのような展開はとてもスムーズである。この楽章で少し印象的だと思うのは、短調の場面でソロが解決しない音をフェルマータして、その後の展開のきっかけを作ってオケが付いてくる場所だ。あと、カデンツァも見事である。

第2楽章:
アンダンテのゆっくりとした楽章。表面的にはベートーヴェン「英雄」の第2楽章につながるような雰囲気があるが(ハ短調という意味では同じ)、あくまでアダージョではなくアンダンテというのがモーツァルトらしいように思う。また、暗く悲しいようにきこえてもそれが重さを伴わないところや、あくまで自分の心のそばにあるようにきこえるところがまたモーツァルトらしい。少しだけ長調になる部分は、聴いていると「顔で笑って心で泣く」感じがする。やはり切ないなと思う。

第3楽章:
前の楽章からは打って変わって明るく快活な音楽。ソロに3連符が多いのが軽さをさらに増しており、印象的だ。この楽章の中では、主題をヴィオラが変イ長調で弾き出す場所が好きだ。最初はヴァイオリンが変ホ長調で出てくるのだが、この調性と使用楽器との対比がすごいと思う。「なぜこういう楽譜が書けるのか」といつもながらにして思う。それと、最後にソロが一気に高音まで駆け上がる場所も好き。ヴァイオリンもヴィオラもほとんど指板の端を押さえる音で、まともな音が出る限界の場所まで行く。ヴァイオリンもヴィオラもきわめて上手だったというモーツァルトらしい書き方なのかなと思う。

-------------------------
この組み合わせにはこの曲しかないというような素晴らしい作品だなといつ聴いても思う。チェロのような低音が出ないためにあまり表現の幅は広くならないだろうから大変なのだろうが、ヴィオラとの組み合わせだからこそのくっつき具合や離れ具合がしっくり行くのだとも言える。

そういった特性も十分に活かしたという点でも素晴らしいが、管楽器の役割も見逃せないところだ。管楽器はオーボエとホルンしかないが、その浮き立たせ方や使う場所はすごいとしか言いようがないように思う。

この曲は大学生の時に、地元のアマチュア合奏団で演奏したことがある。ソロもオケもアマチュアだったが、ソロなんて今考えたらすごかったんだなと思う。仕事をしながら休みに練習するしかないのだから、きっとご苦労されただろうと思う。私はまだオケ歴の浅い頃だったので、オケパートの中で自分のことをやるのに必死だったことを覚えている。今だったら、もっと曲のことをわかって味わいながら弾けるのになと思う。また演奏するチャンスがあるといいなと思う。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  Jan 30, 2007 10:31:54 PM
コメント(4) | コメントを書く


■コメント

お名前
タイトル
メッセージ
画像認証
上の画像で表示されている数字を入力して下さい。


利用規約 に同意してコメントを
※コメントに関するよくある質問は、 こちら をご確認ください。


Re:第45回 モーツァルト/ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲(01/30)  
rokkoum さん
モーツアルトのオーケストラの、管楽器の使い方は素晴らしいですね。種類も数も少ないけれど、全体の響きを造る上で、全く効果的な使い方をしています。勿論、メロディー楽器としての使い方も、やはり、常人ではありませんね。 (Jan 31, 2007 11:47:24 AM)

Re[1]:第45回 モーツァルト/ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲(01/30)  
よんきゅ  さん
rokkoumさん

コメントありがとうございます。
モーツァルトには、本当にムダがないなという感じがします。こういう音楽を短い人生の間にあれだけたくさん...しかも出来は完璧とくれば、これはもはや人を超越している領域なんだなと思いますね。 (Jan 31, 2007 08:42:23 PM)

Re:第45回 モーツァルト/ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲(01/30)  
☆桜花☆  さん
こんばんは
聞いたら知ってる曲なんだろうなぁと思いつつ
今度探してみようと思いながらも
曲を聴きながらよんきゅさんの説明が聞けたらいいのにと
贅沢なことを考えたりします
「自分で勉強しろ!」ですよねー(T_T) (Feb 1, 2007 01:25:23 AM)

Re[1]:第45回 モーツァルト/ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲(01/30)  
よんきゅ  さん
☆桜花☆さん

コメントありがとうございます。
聴いたらご存じかもしれません。ちなみにK364というやつです。しかし、聴きながら横で説明していたらうるさがられそうですね(笑)...。 (Feb 1, 2007 08:17:38 AM)

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

Favorite Blog

ようやく一安心⁈ 魔神8888さん

第364回定期演奏会 すららさん

本番:ドイツレクイ… ピカルディの三度THさん

黄 金 時 代 ショスタコーヴィチさん
クラシック音楽は素… 会長0804さん

Comments

новое русское порно бесплатно@ Hot and Beauty naked Girls Respect to post author, some fantast…

© Rakuten Group, Inc.
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: