よんきゅ部屋

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Dec 18, 2007
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次回の市民オケの演奏会のメインとして取り上げられる曲。ドヴォルザークの交響曲といえば8番や9番が有名であり、曲自体がかなり取っつきやすい雰囲気を持っているので人気もある。ドヴォルザークの独自色が完成されたかたちになっていることも感じられる。一方、この第7番は、曲全体の色が比較的地味(ニ短調という調性がそれに関係しているのかも)だと言われたり、ブラームスの交響曲第3番に刺激を受けていてその影響をかなり受けているのだという指摘もある。

この曲の初演がロンドンで行われているというのは不思議な気もするのだが、実はドヴォルザークの作品はすでにイギリスでも有名であり、それを持ってロンドンへ行った際の演奏会で自作の指揮をして好評を博した。そこで、ドヴォルザークはロンドン・フィルハーモニー協会の名誉会員に推挙され、そのための新しい交響曲を書くようにとの誘いを受けたことをきっかけに書かれたのが、この交響曲である。

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第1楽章:
冒頭に「アレグロ・マエストーソ」と書いてあるが、このパターンはあまりないような気がする。スピードは速いのに、厳かにということである。冒頭は表情記号通り静かに思い雰囲気で始まり、第1主題がヴィオラとチェロで演奏される。その後不協和音の混沌とした響きが大きくなっていき、抜けたところからいよいよアレグロの雰囲気が出てくる。8分の6拍子の6拍目から旋律が始まってみたり、ヘミオラがたくさん出てきたりするので、演奏する場合にはリズムになれていかないと雰囲気がちゃんとでないので大変である。

この部分では、ドヴォルザークが作曲した「フス教徒」序曲の主題によく似た旋律が姿を現す。フスとはチェコの宗教改革者であり民族的英雄とされるヤン・フスのことで、その精神をたたえる曲が「フス教徒」序曲である。その曲に込められた精神を再現するかのように、この部分は戦闘的な音楽となっている。

第2主題は木管で登場し、弦楽器に受け継がれていくが、ここにもチェコの守護神ヴァーツラフをたたえる古い歌が形を変えて用いられている。特に木管楽器の瑞々しい響きはやはりドヴォルザークらしく素晴らしい。途中に出てくる素朴な雰囲気と独特の和音進行などは、つい先日までベートーヴェンを演奏していた自分にとっては、また違った新鮮な雰囲気を感じる。

個人的には再現部で第2主題がニ長調で出てくる場所がとても平和な感じで大好きだ。ただのんびりというわけではなく、とても晴れやかな雰囲気がとてもよく出ている。しかし、その部分がなだらかな頂点を迎えたところで曲はニ短調の暗い雰囲気(私は灰色を連想してしまうが)に戻り、一段と戦闘的にそして劇的に曲が盛り上がっていく。しかし、それもテンポが次第に緩んで、最後は厳かな雰囲気に戻っていって終わる。

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第2楽章:
素朴な雰囲気のする楽章。しかし、ならったとされるブラームスの交響曲第3番に比べると、やっぱり心の内を表に出しているような場所があるように思う。序奏は木管による素朴な旋律。やがてアメリカで吸収する音楽を先取りするような音の運び方である。続く第1主題はフルートとオーボエで演奏されるが、フレーズの頂点の和音とその後の音の進行がいい味を出している。それから少し暗い雰囲気のエピソードを挟んでホルンによるヘ長調の明るい旋律。草の緑に太陽の光と爽やかな風が当たっているといった感じだろうか。

中間部はヘ短調でスタート。低弦や金管の「ドンドン」と打つ音がやはり意思の強さを感じる。そこを抜けると変ニ長調でクラリネットとホルンが対話し、ホ長調に転調するとフルートとファゴットの対話に変わる。こういった転調と楽器の組み合わせは絶妙だ。渋いけれども味わい深いと思う。また、再現部直前に面白い響きの場所がある。この曲にはワーグナーからの影響があると指摘されることがあるが、おそらくこの和音進行のところではないかと思う。確かに、ドヴォルザークではあまりないような響きだと思う。

再現部では第1主題をチェロが演奏するが、木管とはまた違った味わいでよい。その後の暗い雰囲気のエピソードが今度はフォルティシモまで成長していき、楽章の中で使われた様々モチーフが散りばめられている。そこからなだらかな坂を下るように、穏やかな世界へと戻って終わる。

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第3楽章:
私がこの曲をあまり聴かなかった中でも唯一覚えていたのがこの楽章の旋律。スラブ舞曲にも入っているフリアントのリズムが特徴的である。全体は3拍子系なのだが、1つのフレーズの中で前半がヘミオラ、後半が通常の3拍子というつくりになっている。スラブ舞曲で言えば第1番や第8番などが近い雰囲気を持っている。

冒頭のアウフタクトから始まるリズムが何とも変わっていて難しいが、旋律自体はとても親しみやすい。主部は楽器や伴奏を変化させながらこの旋律が何度も登場する。やっぱり踊りというのは繰り返されることで高揚感が出てくるというのは、どこでも同じということなのかなと思ったりする。中間部直前で旋律が面白い展開を見せる。和音の使い方といい、アクセントの場所といい、これでもかと書かれたフォルツァンドといい、こういうのをきっちりできたらカッコイイんだろうなと思う。

中間部はテンポを落として少しもやっとした印象の音楽。弦楽器が多くの場所で細かくトリルのような音型(ただし、アクセントのないトリル)をずっとつづけているために、そう感じるのだろう。しかも一度に扱われる構成要素は多くなく、きわめてシンプルになっている。そこから舞曲が復活していくブリッジとも言える部分もうまくできればカッコイイだろう。

主部に戻った後、終結部の中で一瞬落ち着く部分もあるが、ここでまたちょっとワーグナー的な和音とターンの組み合わせがある。ヴィオラとオーボエにそれを割り当てているところがなかなか面白いところだ。最後は盛り上がって終わる。CDを聴いていて「この音はどういう楽器の組み合わせなのか?」と思った後でスコアを見ていると、いろいろな発見がある。演奏は聴き手には一つのものとして届くが、演じ手としてはどういう要素からできているのかを知っていて演じることが大事なのだと、スコアを見るたびに感じる。

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第4楽章:
冒頭の第1主題から不協和音を多用し、さらにフレーズが解決しないまま次のフレーズへと行ってしまうので、心の中に燃えるものがあって次から次へといろいろな思いがわき出しているんだろうなと思わせる音楽。3連符で急速に駆け上がる動機が多用されていながらも、随所にアクセントが書かれていて、それでも滑っていってはいけないという引っ張られ感のある動機も多用されているのも特徴。劇的な要素満載の楽章だ。ニ短調というのもやはりそういう雰囲気を後押しする要素なのだろうなと思う。

第2主題はイ長調の落ち着いた音楽。ドヴォルザークがたまに書いたポルカの素朴な雰囲気がそこにはあるのだが、それがまた激しく燃え出すが最終的にはやはり短調へと戻っていく。展開部はそこまでで使われた要素を使いながら、また激しく転調していく。それぞれの調に応じてさまざまな要素を組み合わせている要素は見事だと思う。

再現部では、第1主題がティンパニのリズムに乗って激しく展開されており、第2主題はニ長調で、1回目よりもクリアな感じがする。終結部はトロンボーンの響きとヴァイオリンの分散和音があるが、きっちりできればこれまたカッコイイ。最初の頃は滑るなという感じで運ばれていた音楽がここでは突進モードに。そして、最後の最後でなんと「モルト(とても)」マエストーソと書いてあり、堂々とした旋律が歌い上げられ、強い音のまま終わる。第8番のように駆け抜けるようでもなく、第9番のように手を振るように終わるわけでもなく、真正面から堂々と終わっているところが、やはりこの曲の魅力だと思う。

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この曲については、これからずっと勉強していくことになる。大炎上していた心のエネルギーを表現に変えていくべきだと思っている。せっかくこの曲を演奏する機会をもらったのだし、そうするのが一番いい。誰よりも深く味わう心づもりでやっていこう。「○○フィルの演奏だったらここは遅いからそうするべき」ということではなく、楽譜から自分なりに読み取れることを表現できるようにしたい。もちろん、そういった演奏をできるだけ思いこみを排して参考にしていくべきであることは間違いないとは思うが。

これがプロの指揮者なら生活に関わることなのでそれこそ精神を削ってやる作業なのだろうが、幸運なことにわれわれはアマチュア。自分の好きな演奏だのいろいろとこだわりはあったりするのかもしれないが、それをコピーするのでは芸がない。むしろ、自分の知っていること、感じたことを指揮者はどうやってアプローチしてくるのか、それをきいて「そういう考え方があるのか」という新しい発見をどんどんしていきたいと思う。指揮者はその場の響きなどをすべて考えて計算しながら演奏へのアプローチを決めているわけで、その場で最善の響きを出すことを考えている。だから同じ演奏はありえない。そんな一期一会を楽しむことが大事なのではないかなと私は思う。

たとえ、ここで書いたことと違うイメージを指揮者が語ったとしても、その意味を探るのがまた楽しいではないか。それを工夫していく過程も楽しいだろう。自分でそのことをもっともっとわかって演奏していきたい。この曲をものにしていくことがきっと自分の転機になるのだと思う。あとで振り返れば思い出深い曲になるはずだ。





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Last updated  Dec 18, 2007 09:13:37 PM
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