JAPANESE GIRLS&BOYS

JAPANESE GIRLS&BOYS

「悪魔」と「殺し屋」




……ふぅん、なかなかおもしろい話だったよ。
ああ、怒らないで、別にウソだと疑ってるわけじゃない。
そうか、それで君は罪の意識を感じて死にたいと思うわけだ。

……でも、残念だがそれならなおさら君を殺せないな。
悪魔を殺せるほど僕は度胸はないんでね。
でも……うーん、困ったな。

それなら、これを貸してあげようか。
これなら引き金を引くだけで一瞬で死ねるから、痛みを感じることもなく死ねるよ。
まぁ……実はこの銃は君が店に入ってきたときから準備してたんだ。
わかる人にはね、わかるんだよ。その人の心に何が巣くってるかがね。君からはすごい悪い気配がしてたから。

でも、君の話を聞いて、これを貸してあげる気になったんだ。
なぁに、レンタル料はいらないよ。君だけ特別さ。

使い方教えようか? ……そうか、じゃあはい、どうぞ。

あ、あとするなら外でやってくれないか? 店の中を汚されたらちょっと困るからさ。

ん? ちょ、ちょっと待、何をする気だ? やめなさい!!



銃声。



     □   □   □



「……んーっと。」

 殺し屋は、両手に構えた二丁の拳銃を下ろして、デスクから立ち上がり、その少年の死体を見下ろした。
(銃が暴発して驚いてるところを一気に撃ち殺すつもりだったんだけど、その必要もなかったみたいだな)
 その少年は顔や首から血を流して、間違いなく死んでいた。手には乱雑に半壊した銃がにぎられていて、それは先ほど殺し屋が少年に手渡した銃である。

 少年の顔や首の傷には、壊れた銃の破片が食い込み、刺さっていた。殺し屋が渡した銃にはあらかじめ細工が施してあり、引き金を引くと暴発するように仕込んであったのだ。

「言っただろう? わかる人にはわかるってね。君がこの店に入ってきたときからわかってたんだよ。君が悪魔に取り付かれた少年じゃなく、悪魔そのものだってことをな。ずいぶん手の込んだ話だったから実話だったかも知れないけど。細工した銃を普通に受け取ったってところから、心を読むことも出来ないってのもわかったし、えらくマヌケな悪魔さんだ」

殺し屋は、少年の死体に話しかけるかのようにしゃべりながら、爽やかな笑みを浮かべた。

「よかったじゃないか。願い通り死ねて。そのかわり僕の事務所が汚れちゃったけど」


殺し屋は少年の血が床の上に広がっていくのを見て、深くため息をついた。


                                       END


© Rakuten Group, Inc.
X
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: