失敗する事



 数学の様に、パンづくりにも『公式』があって、それはどんなパンであっても当てはめることができる。良い職人というものは、その公式をどれだけ知っていて、どれだけ応用できるかにかかってくる。

 同じレシピをつかって、同じ材料で作ったとしても、初心者と熟練者では、全く違ったパンができる。それは、公式を持っている数の差が出るからだ。

 パンづくりの公式を知っていれば、レシピを見ただけで、パンの焼き上がりまで想像できる。吸水から、ミキシングの度合いから、発酵の具合、整形のポイント、焼成時間や温度。すべてが頭の中に描くことができる。
 そして、公式を知っていれば、頭の中にある完成図からレシピを逆算して作り上げる事もできる。

 その公式を学ぶのに、一番近道なのは?
 もちろん、良い師匠につくこと。
 いや、それよりも、失敗することかも知れない。

 だが、失敗した時に『ただ後悔するだけ』というのは公式を学ぶ近道にはならない。最初に書いたように、パンづくりは合理的で科学的だ。だから、失敗には必ず明確な答えが用意されている。失敗した時に、『どうして失敗したのか』を自分の頭で考える事が大事なのだと思う。

 そうやって、失敗した経験をたくさん持ち、たくさん考えた分だけ、自分に『パンづくりの公式』が身についていく。まさに、失敗は成功の元なのだ。

 パンづくりに失敗はつきもの。まるで、平均台の上を歩くかのごとく、パンを作る行程というものはシビアなものである。踏み外して落ちるのは、ある意味で、良いパン職人になるには当然の過程であるといっても、過言ではないだろう。

 だから、失敗しても落ち込む事はない。次に失敗しないようにはどうすればよいかを考える事を忘れなければ良いだけ。そうやって、パンづくりの道を一歩一歩あゆんでいけば良いのだ。

 失敗を怖れてはいけない。失敗した分だけ、成長できる可能性はある。


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