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雪香楼箚記
料理のおはなし
★☆★ 今 日 の 料 理 ★☆★
素朴な疑問なんですが、NHKのあの番組、夜の九時からやってどうするつもりなんでしょう?
九時から「きょうの料理」って...... たいがいの人は晩御飯が終ってる時間帯なんだと思うんですが......
と、いうわけで、ぼくが作った料理の数々。名前はかなり適当ですが。
■ ほうれん草の柚みぞれ和え(3月1日)
ほうれん草を茹でます。和えものなので固めに。水をよく切って食べやすい大きさに切ります。
柚の実(裏庭に「落ちて」ました。笑。我が家には柚の木があるんです)の皮をおろし金でおろします。
甘皮までおろさないように、黄色いところだけをだいたい一個分くらい。
すり鉢で胡麻を半分くらい擂り、ほうれん草、柚をおろしたものを入れ、ポン酢で味をつけます。
柚が旬のころは香りにしぼってもいいですが、今の時期はもう無理です。
ポン酢のおすすめは、土佐山村の〔ゆずづくし〕。馬路村からも〔ゆずポン酢〕というのが出ていますが、土佐山村のほうがおいしいと思います。
今回は〔ゆずポン酢〕でしたが。
柚のおろし皮じゃ霙にならないと思いますが、そこのところはあまり気にせずに(笑)。
■ 白菜と油揚げの煮物(3月2日)
白菜と油揚げを適当な大きさに切ります。油揚げは大きめに切った方が出汁を吸っておいしいです。
鰹節で出汁をとり、白菜と油揚げを入れて煮ます。調味料は醤油(適量。味見でたしかめてね)のみ。
出汁の取り方。鰹節は沸騰したお湯に入れて、すぐに引きあげれば出汁がとれます。
お湯の量は適当。濃いと思ったら水で薄めてあまった分は保管。主婦の知恵。(^-^)
今はかいた鰹節を袋詰めで売っているので、お出汁をとるのも簡単です。
昔は鰹節かきといえば板前修業の第一歩でしたが、いい時代になりました。
お出汁をきちんととるのはいいことです。味がしっかりするので調味料が少なくてすみ、塩分の取りすぎが起りません。
■ 饂 飩(3月3日)
昨夜の白菜と油揚げの煮物の残りにうどんをひと玉。食べごろになるまで煮ます。
お出汁を沸騰させすぎないように注意。
江戸っ子は蕎麦好きと言いますがほとんどうどんを食べませんでした。
江戸でうどんと言えば鍋焼きうどんのことで、どうも野暮ったいイメージがぬぐえず人気が出なかったようです。
■ ちらし寿司(3月3日)
干し椎茸を水で戻し、にんじんと一緒にご飯粒にあう大きさに刻みます。今日はありあわせがありませんでしたが、もしあれば蓮根、筍の水煮も。
戻し汁と具を、醤油、砂糖、味醂、お酒で煮ます。分量はそれらしい味になるまで味見しながら調合。
かために炊いたご飯にお酢、砂糖、塩で酢飯を作ります。ここで大事なのはお塩。これが入っていないと味にしまりがなくなってしまいます。
高知ふうは酢飯に胡麻が入ります(昔はにぎり鮨のご飯にも胡麻が入っていました)。今回はそのほか隠し味にすり下ろした生姜も。
酢飯ができたら具を混ぜます。錦糸卵と茹でた絹さやを飾って完成。
干し椎茸の戻し汁は野菜を煮るときにとても重宝です。鰹節のお出汁と割って使うとよりおいしい。
ちなみに、室町時代から江戸時代いっぱい、干し椎茸といえば日本の対中国貿易において重要な輸出品目でした。
今では逆に日本が中国から輸入しています。
栄西の逸話をひとつ。
彼が中国に渡ったとき、港に停泊している日本の船に干し椎茸を買いにきた老僧がいました。聞くとお寺の食事係なのだと言います。
栄西はえらく念入りに椎茸を選んでいる老僧を不思議に思って「仏弟子の身で修行も疎かにしてどうしてそのようなつまらない仕事をなさってい
るのですか」と思ったままに質問しました。
すると老僧はこう答えたそうです。
「それはあなたの考えちがいだ。なにごともすべて修行なのです。修行であればこそ、心をこめてせねばならない」
栄西、卒然として悟るところがあったとか。
禅宗が掃除をはじめとする作務を重んずるのは、それが修行の一環だからなのです......
■ 蓮根のきんぴら(3月4日)
蓮根の水煮の薄切りパック(便利だなあ)の水を切って炒め、程のいいところで醤油、砂糖、お酒、味醂を入れ、汁が飛ぶまで煮る。
仕上げに胡麻と七味唐辛子を。
割とどこのご家庭でもやってらっしゃる一品。
ぼくは辛いのが苦手なので、砂糖主体の味付け。七味唐辛子はお愛想くらい。
ちなみにきんぴら牛蒡の"きんぴら"は金平と書きます。
坂田金時(足柄山の金太郎。熊にまたがりお馬の稽古♪)の息子という設定で、初期の江戸人形浄瑠璃にしばしば登場したキャラクター。
文化人類学で言うところのトリックスター、お家騒動などを持ち前の武勇で解決する剛勇無双の武士で、江戸歌舞伎の荒事の原型はここにあります。
きんぴら牛蒡とは、金平のようにぴりっとした牛蒡という意味でしょう。
ちなみに、金平浄瑠璃は現在まったく上演されませんが、劇中劇の一種として歌舞伎では『幡随長兵衛』の『湯殿の金平』という場面に残っています。
まあ、今の若い人は「熊にまたがりお馬の稽古」だの、「お若けえの、お待ちなせえやし」だの言っても判らないのでしょうが......
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