ママのSerendipity-セレンディピティ

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Essay3

まさか私が


以前の私はコロンにもこだわりがあり、毎日のメイクにはけっこう時間をかけ、
眉毛のカットも毎日の日課だった。
ファンデーションの下地にも気を使い、コンシーラーでそばかすを隠し、
仕上げはもちろんロングラッシュのマスカラ。
髪だって後ろ、斜めあらゆる角度からのチェックは怠らず、
仕事モードの時は
必ずテーラード系のきっちりスタイルを好んだ。
身長は高いほうだがシルエットをきれいにするためヒールを毎日履いていた。

それが1児の母となった今はといえば、
ふだんは眉毛は伸び放題、
気合の必要な、たまの外出の時にあわてて手入れをする始末。
メイクの時間も超短縮され、マスカラなんか、ひからびそうなくらい使う頻度が減った。

就寝前のスキンケアもパックをする時間がまるでない。
一度授乳のときに目鼻に穴のあいたマスク状のパックをしたら
娘が泣き出した。
「オペラ座の怪人」とでも思ったか。
とほほ、授乳に専念するしかない。

髪だって一応とかしはするものの、カラーリングに行く頻度は激減、
少しの寝癖は気にせず近所のスーパーなどには出かけてしまう。

お風呂上りには娘の支度を終えた後、ソファに座らせクッションで支え、
「ママがお顔をキレイキレイしてくる間少し待っててね」と声をかけ
寝室のドレッサーに急ぐ。
でも泣き声がしないかを気にしながら顔の手入れなど満足にできるものか。

スカートをはかなくなってからストッキングもはかなくなった。
ブーツやパンプスも無縁になり靴箱でやたらかさばる物体と化した。
まさか私が、毎日ノーメイクでスニーカーにジーンズ姿で近所まで買い物に…!

でも一番の「まさか私が」は、母になって育児を奮闘してなんとかがんばっていることだ。
今日は久々に眉毛を整えてみよう、そう思ってドレッサーの前に座ったある日
右の眉毛の長さを整え終わった頃、娘のぐずぐずがエスカレートしてきた。

ママ暦も半年たてば、泣き方で「まだ放っておける」「もうやばい」が
こんな私にでも識別可能になるものだ。
「ふんぎゃあ~おんおんおん…びえ~~ん」
こりゃまずい!娘よ、いま行く、しばし待て!
ああ、神様、私の眉毛の左側がまだゲジゲジであること、
忘れて出かけたりしませんように!!
2006.3

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