刹 那

刹 那

自転車と影



自転車で坂を下る

目の前の景色が いつもより少し早く通り過ぎて

風の音が微かに 耳を横切っていく

このままどこまでも 遠く走ってゆけたら

僕の世界は 彩りを知るのに


自転車で坂を下る

左腕に光る キラキラとした時計の針は

確かに動いているのだけれど

このままいつまでも 遠く走っていられたら

僕の世界は 時を止めるのに


音をたてて走る 小さな自転車の影は

いつも僕を惑わせる

「 現実など 知らなくてもいい 」と

誰かが囁く気がするから

今もそう 僕の世界は回り続ける





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